第2話 サイキック少年
21世紀、世界各国…いや、日本の中でも、混乱に乗じ利権を得ようとする者がいた。それは政治家だけではない。新興宗教、富豪、暴力団、テロリストなど様々である。日本はいつ滅んでもおかしくは無かった。
「ケッケッケ、ここがお前らの墓場だ!大人しく死ぬがいい!」
デパートで騒ぎが起きていた。カマキリがたの怪物が現れたのだ。しかし人質の中に1人、電話をかける男がいた。
「あ〜もしもし、ああ、ああ、そうそう、今すぐお願い。分かってるよ。やる、やるから。」
「おい!なに電話してる!お前から殺してもいいのだぞ!」
カマキリが男に近づいた。しかし、男は一歩もひかなかった。
「そんな大口叩いてられるのも今のうちだぞ。もうすぐスケットがくる。」
「って、テメエ!よくも助けを呼びやがったな!もうゆるさん!死ねええええ!」
「ちょっと待った。」
カマキリが鎌で男を切り裂こうとした時、弱々しい声が窓から聞こえてきた。
「あ?誰だ!」
カマキリが振り向くとそこには中学生の制服をきた少年がいた。身長は低く、メガネとダサい髪型。どこにでもいるダサい男子だ。しかし、彼は宙に浮いていた。
「その人達を放すんだ。」
「エスパーか…。だが、俺は昆虫の頂点に立つカマキリだ!半端な力があああああああ」
話してる途中でカマキリの首がもがれた。
「……終わりました。“佐久間”さん。」
「よーしよくやった!じゃあ混乱に乗じて爆薬とれるだけ取ってくぞ!」
そう言うと佐久間と少年は、買い物カゴに手榴弾と銃弾を詰めるだけ詰めて逃げていった。
佐久間は中古のアパートに住んでいた。少年は中学生、もちろん親と暮らしているが、今日は佐久間のアパートに居座っていた。
「佐久間さん、こんなに盗んで大丈夫なんですか?」
「これは盗みじゃない。制裁だ。法律国家の日本で禁止された危険物を売るのは許せないだろ。だから盗んだ。ほら、立派な理由があるだろ。」
「はあ…。」
佐久間の屁理屈に少年も言いくるめられた。
「そうだ佐久間さん。ちゃんとヒーローやってくれるんですよね。」
「あ?ああ?ちゃんとやるさ。そのうち。」
「佐久間さん…またおんなじ事いって…。あ、ニュースです。」
佐久間の部屋にある19インチのテレビに先ほどのニュースを報じていた。
『先程の怪物騒ぎは、ヒーローが駆けつける前に死亡しているのが見つかりました。そして駆除した者は少年で、佐久間という男と商品を盗んで行ったそうです。』
「佐久間さん、僕、犯罪者になってます。」
『そして検査の結果、違法デパートと認定された当デパートは閉鎖されます。』
「なに!よく使ってたのに…。まあいい。よし!今日の報酬だ!大事に使えよ。」
そう言って佐久間は少年に500円を渡した。
「では、明日も日本のために頑張ろうな、“サイコ”」
佐久間はそう言うと少年を見送った。
少年の名は“斉藤光一”、またの名をサイコ。最強の超能力の持ち主である。