episode1【俺様がアイドル..?】
Jaber×Wockのメンバー達と社長の出会い
__20xx年4月1日PM18:00
日が暮れ、だんだんと夜の顔を出しつつある都内の中心部・新宿。
これから夜の街へと繰り出すスーツ姿の大人や派手な化粧を施した女性。また会社から自宅に帰ろうと帰路を急ぐサラリーマンや学校終わりの学生など様々な人が集まる駅前。
皆それぞれ自分の目的を果たそうとしている中、駅前の広場では大勢の人々が足を止め自分のすべき事を忘れ、目の前で繰り広げられている光景に釘付けになっていた……。
人々の視線の先に見えるのは、重低音を響かせ脳内を震わせるような激しいロックを奏で、観客を湧かせ満足げに笑う少し派手目なボーカルと淡々とギターを演奏する2人組であった。
『「〜♪~~~♪♪」』
2人が最後の曲を演奏し終えると観客からは拍手が沸き起こり無事演奏をやり遂げたボーカルとギターは軽く手をパンッと合わせる
「ここまで聴いてくれてありがとうな!!…お前ら、オレ様達の演奏サイコーだったよな!!!」
ボーカルの言葉に導かれるように観客からサイコー!!!!とのコールが聴こえるとその声に満足そうに笑い、次も同じ場所で演奏することを告げ観客を解散させ、後片付けを始めた
「なあ、凪…!今日のオレ様最高に調子良かったよなぁ!」
『いや、お前……Cメロの最後音程が間違ってたぞ。久しぶりの歓声で狂ったか?』
「はぁ!?ンなことあるわけねェだろ!!!凪、てめぇだっt」
「 「ねぇ、貴方達。アイドルに興味はないかしら」」
テキパキと手際よく片付けを進めていた2人だったが凪の言葉が火種となりああだこうだと口論を始めた2人は、背後からカツンカツン……と自分達に近付いてくる足音に気づかず、突如少し大きな声で発された言葉に2人は一斉に女性の方を向いた。
そこにはスーツ姿でアッシュグリーンの髪色が特徴的な女性が立っていた。
『「アイ……ドル??」』
女性から発された言葉を再び繰り返すように呟く2人。しかし自分達に何が起こっているのか整理しきれていない2人はきょとんとした表情で固まる
「あぁ……えっと、ごめんなさいねいきなり。私はアイドル事務所を経営している仁科瞳という者よ。はいこれ名刺。」
二人の様子を見た瞳はついいきなりスカウトしてしまった事を軽く謝りながらも、ポケットから名刺を取り出す。手渡された名刺をじっと見つめた2人は再び瞳の方を向き口を開いた
『スカウトされたのは嬉しいんですけど、俺達が目指しているのは……むぐっ!!』
「へぇ……アイドルか、なんか面白そうじゃねぇか!!オレ様達をスカウトするとはオバサン、目が肥えてんな!!イイぜ、そのスカウト引き受けてやるよ!!」
凪が瞳に断りを告げようとしたのを凪の口を抑えて遮った羚斗は満更でも無さそうな表情とどこかキラキラと目を輝かせながら了承の言葉を告げる。羚斗の言葉に開放された凪は溜息を吐き、瞳はオバサンと呼ばれた事に再び心を痛めながらも嬉しそうに微笑んだ
「うふふ、そう言って貰えて嬉しいわ。貴方達の演奏はとても素晴らしかったの。それをこんな路上でなんて終わらせるのは勿体ない、と思ってしまってスカウトさせていただいたわ。ボーカル君は了承してくれたけど、君はどうするのかしら?」
後先考えずに了承した羚斗に呆れていた凪は瞳の問いに暫く考え込むが羚斗の楽しそうな希望に溢れた瞳を見て
はこれはどうにも止められそうに無いと察すると共に、
アイドルという道を辿っていけば自分のやりたい事を出来るかもしれないし、アイツには俺が居ないとダメだよな。と決意すると暫く紡いでいた口を開いた。
『俺の名前は天霧凪。ギターしかやったことが無いですけど、アイドル……羚斗と一緒にやります。コイツ……羚斗は、俺が居ないと1人で突っ走ってしまうので。』
「ちっ……うるせぇぞ、凪!……でもあんがとな」
「ふふふ、2人はホント仲が良いのねぇ。じゃあ、凪君とええっと……オレ様ツンデレ君でいいのかしら??」
凪にはすっぱりと断られてしまうのではないかと思っていた瞳だったが、返答を聞き2人のやり取りにクスクスと笑いながらもそう言えば羚斗の名前を聞いて居なかったと、プライドの高そうな羚斗から名前を聞き出すにはこうするしかないか、と印象から名前を捏造するとダンッと大きな足踏みと共に噛み付くように羚斗が騒ぎ出す
「あぁ!?オレ様はツンデレ君じゃねぇし、誰がツンデレだ!!!オレ様は榊羚斗だ!!!覚えろよ!このオバサン!!!」
「あらごめんなさい?まだ名前を言われていなかったから、榊羚斗君ね。あー、そうねえ…一応分かってるとは思うけど私が社長だから口の利き方には注意してね。減給しちゃうから。では、改めて。……当事務所代表の仁科瞳です。貴方達が円滑に活動出来るよう最善を尽くして行きますので共に頑張りましょうね」
正式な名前を聞き出すと先程から自分の心を痛めていたオバサン発言に釘を刺すように微笑みながらそう告げると決心の付いた2人の目を見てはすうっと息を付くと背筋をぴんと伸ばし真剣な表情を2人に向けるとそれに答えるように2人も何処か引き締まった様子で瞳を見つめ、これ以上ない大きな声で返答する
「『よろしくお願いします!!』」
こうして瞳……いや247プロダクションの第一歩が始まったのである。




