episode0【独立】
オリジナル男性アイドルユニットとその社長のお話です
オリジナルではありますが、多少参考にしているものもあります。ご了承ください
ーー私はどんなことがあっても、諦めない。
20XX年2月14日 都内某所
今日はバレンタインデー、放課後となった学園内では恋をしている乙女たちが緊張した面持ちで愛しの人に愛を伝えに教室を去るなか、
楠木財閥の一人娘である楠木瞳はすでに迎えに来ていたリムジンに乗り早々と帰宅を進めていた。
『お嬢様、今日は随分とお早いですねぇ。いつもは此処で小一時間は待たされますのに』
「良いじゃない、たまには。私だって早くお家に帰りたい時だってあるのよ、黒井。あ、もっとスピードをあげてちょうだい、今日はとても早く帰りたいの」
黒井の言葉に少しばつが悪そうに眉を下げつつ、後部座席から身を少し乗り出し速度を上げるよう命ずるとやれやれ、といった様子で主人の言う通りにこなす黒井に満足げにしながら、鞄に入っている一通の手紙を見つめ、これからおそらく始まるであろう自分の新たな物語に胸を踊らせていた瞳であったが、彼女を待ち受けていた現実はあまりにも酷いものであった……
「お父様!!!…………なぜ、何故なのですか!!私はお父様に任された仕事をきっちりとこなして来た……!それなりに実績だってある……!それに、例えアイドルを始めたとしても、自分の任されいる物はきちんと投げ出したりはしません……!!それでも、ダメなのですか……!」
『この楠木慎太郎の娘で、このグループの跡取りであるお前がアイドルになろうだなんて、このグループの顔に泥を塗るつもりか?……アイドルだなんて実にくだらん……!』
帰宅した瞳を待ち受けていたのはオーディションの合格通知とそれを見て激怒した父、楠木慎太郎の姿であった。
慎太郎は娘の言葉も耳にせず、瞳宛に届いた合格通知書をその場で破り捨て、机から身を乗り出し必死に抗議する娘の頬を叩く。怒りの感情に煽られ力強く振られた平手から放たれた一撃はパァンッ!と大きく乾いた音を書斎に響かせる。
一瞬何をされたかわからなかった瞳であったが、次第に頬が痛みをヒリヒリと認識始めると強く慎太郎を睨み付け、破かれた通知書を手にもつと決意を秘めた瞳で真っ直ぐに慎太郎を見つめた。
「…………わかりましたわ。お父様のご意向は。私が楠木グループの娘だからということで否定されるのであれば。私は今日一杯でこの屋敷から出ていきますわ」
迷いなく真っ直ぐに自分を見つめ、決意表明をした娘に慎太郎は一瞬目を丸くするも、お前のような出来損ないに何ができる、と小馬鹿にしたように鼻で笑った。
『ふん。貴様のような楠木の名に誇りを持たん奴など私には必要ない。勝手にするがいいだろう。二度と私の前に姿を現すな』
「ええ、勿論です。私だって娘の夢を潰すようなクズとは一緒に居られませんわ……!今まで面倒を見てくださりありがとうございました。貴方こそ二度と私の前に姿を見せないでくださいまし」
父の返答に動じることもなく強く睨み付けたままそう告げるとくるりと身を翻し破られた通知書をぎゅっと握りしめながら沸々と沸き上がる怒りを抑え込み瞳は屋敷を飛び出した。
今まで通っていた名門校を中退し、名を楠木から母親の旧姓である仁科に変え、仁科瞳となった瞳は勘当された後新たにアイドルオーディションを受けるもののどういう訳か全て不合格という結果になっていたーーーー
To...Be next....→




