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キミのくれたモノ  作者: 山路空太
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5.演劇

 あの恋バナから数日が経ったある日のこと。

それは六時間目のLHR(ロングホームルーム)の時間。


「学級委員の二人は前に出て来てくれ。文化祭について決めなければならないことがあるはずだろ。それと青木、夏海、吉岡の三人はこれ終わったら職員室の私の席に来てくれ」


先生の声に学級委員の二人は静かに前に出る。


「今年の文化祭は五月九日金曜日が校内祭、十日土曜日が一般祭となります。私達二年の出し物はクラス一丸となって行う劇だそうです。いきなりですが今日はテーマや役を少しでも決めていきたいと思います」


 この菫高校では文化祭が早い。

クラス替え直後でクラスの親睦を深める意味があるのだろうが、生徒としては忙しくてたまったものではない。


「はいはーい、私台本担当しまーす。ベースはロミジュリとかでどう?」


 ちなみになっちゃんはイベントが大好きである。

いつも率先して引き受ける。


「他に意見がなければ決定としますが、皆さんよろしいですか?」


 皆は無言の肯定を示していた。

クラスの皆はなっちゃんの言う事の大半はすぐ聞き入れる。

なっちゃんの人望と信頼は素晴らしいものだ。


「それでは決定としますね。軽く役を決めておきたいのですが、誰かやりたい方や推薦したい方はいますか?」


「ジュリエット役はかすみんで! みんなもいいよねー?」

またもやなっちゃんが言った。

しかし皆(主に男子)が納得してしまったのと、後ろで青木くんが黒板に書いてしまったことで、いつのまにか決定となってしまった。


最初は動揺していたがみんなに推されてしまい、

「え……、あ、が、頑張ります」

と一言。

どうやら断るのが苦手らしい。

しかし、こうなるとまたもや男子は黙っていなかった。

ロミオ役はなかなか決まらず、ついには面倒だからとクラスの男子全員のくじ引きに。

別に僕は遠慮するのに……



出席番号順に引いていったので僕は最後の残り物。

皆が一斉に開ける。


クラス一のお調子者、小山(こやま) 涼太(りょうた)が高々と当たりの紙を掲げていた。


「ではロミオ役は小山くんで決定とします。他のクラスと被ってしまった場合は抽選となりますのでご了承下さい」

この日はこれで解散となった。




 翌日の昼食時に吉岡さんが教卓の前に出て声を上げる。


「皆さん聞いてください。ロミオとジュリエットは五組と被ってしまいました。抽選の結果一組は他のものに変えないといけなくなりました。どうしますか?」


 えー、と皆がため息混じりにこぼす。


「配役まで決めちゃったしなぁ。じゃあ男子が女装で女子が男装の逆ロミオとジュリエットとかどう?」

 またしても蓮希の発言にクラスの皆すぐさま面白いと拍手で同意した。


 吉岡さんは少し悩んだ様子を見せながら言った。

「一応生徒会に聞いてみますが、却下された場合はもう一度聞きますので考えておいてください。ありがとうございました」


 この日の放課後には少しでも内容を変える事を条件に逆ロミオとジュリエットが許可されたと青木くんの口から告げられた。



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