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キミのくれたモノ  作者: 山路空太
45/53

45.オバケと小悪魔

「ハア……ハア……着いたけど蓮達は?」

 辺りを見回しても見当たらない。

「蓮くん達少し遅れるってー。走った意味ないじゃんかーバカ公星」

 ポカっと頭を(はた)かれる。

「いてっ、僕じゃなくて蓮達に言いなよ。僕らも遅れたけど」

 ムスッとしたまま夏澄は表情を変えない。


「公星! はぁ……わりー最後ちょっと時間食っちゃって」

「はぁ……ごめんね二人共」

 二人して息が上がっている。

「僕らもちょっと遅れたしね。まぁいいから早く帰ろう」

 さっきと違って二人を責める様子の全くない夏澄は呑気に欠伸をしている。

「あ、最後写真撮ろうよ! 四人でさ! あのーすいませーん、写真撮って貰っても良いですか? ……ありがとうございます」

 スマホを渡して夏澄が戻ってくる。

「ほら、並んで並んで!」

「ではいきますよ。ハイ、チーズ」


「「「「ありがとうございました」」」」


「よし、じゃあ帰ろうぜ」



 帰りの電車は行きとは違って()いていた。

 四人で座ったのだが僕以外の三人はすぐに寝てしまった。騒ぎ疲れたのだろう。左肩には夏澄が、右肩には蓮、その更に隣に姫華が寝ている。両肩が塞がり身動きを取ろうにも取れない。かといってすることもないんだけど……

 しかし三駅しかないのにみんなして爆睡とは……起きるのかな?


「次は梅坂ー、梅坂です。右側のドアが開きます。ご注意下さい」

 アナウンスが聞こえる。

「三人共起きて! 降りるよ!」

 眠たそうな目を擦りながら無事に降りることが出来た。


「ふあぁー、ねみーな……」

 まだ半目の蓮が言う。

「明日学校なのしんどいね……」

 続いて姫華が言う。

「いきなり現実に戻さないでよ姫華ちゃん」

 頭を抱えながら文句を言う夏澄。

 確かに僕も憂鬱だ。今日は色々あったし。

 そこで今日のことを振り返り一人で顔を熱くする。



「おいっ……おいっ公星!」

「ビックリした、いきなり大きな声出さないでよ蓮」

 周りの三人はキョトンとしている。

「はぁ? さっきからずっと声掛けてんのにお前が聞かねーからだろ。聞いてんのかよ」

 それに同意するように二人も頷く。

「うそ? ごめんごめん、考え事してた。で、何だっけ?」

「はぁ……ったく。ちゃんと夏澄ちゃん送ってけよって言ったんだよ。じゃあまた学校でな」

 顔を手のひらで覆いながら蓮はそう言うと姫華と歩き出す。

 僕達も反対側へと帰っていった。


「公星なんか考え事?」

 そんな夏澄の質問に正直に答えることはなく、

「明日学校嫌だなって」

 と無難に返しておく。


「へー、公星でも学校嫌だって思う心があったんだ」

 そう言って顎に手を当てながら、ふむふむと頷いている。

「僕って夏澄の中でどんなイメージなの?」

 夏澄は首を傾げながらうーんと考えるポーズをとる。


「勉強オバケとか? 学校大好き、勉強大好きみたいな? まあぶっちゃけ変人」

 夏澄は至って真面目だという顔をしている。

「ぶっちゃけたね……僕もみんなと同じ人間だよ」

「えーうそー」

 食い気味に笑いながらオーバーリアクションをしてくる。

「僕のことじゃあ何だと思ってるの?」

「だ・か・ら! 勉強オバケ!」

 そこまで言われたら乗ってやるさ。

「じゃあ夏澄に取り憑いてやるー」

 両手を少し前に挙げてオバケのようなポーズで言う。

「きゃー、取り憑いて私のお風呂覗く気でしょ。公星のエッチ、スケベ、変態!」

「そんなこと考えてないんだけど……」

 そう言うが、そこまで具体的に言われると少し想像してしまう。僕のバカ……

「でも今ちょっと想像したでしょ?」

 図星を突かれるが、冷静を装って返す。

「別にそんなことないよ。というか変人から変態に変わったんだけど戻してくれない?」

「あら、変人は否定しないの?」

 ニヤニヤと小悪魔のように微笑みながら痛いところをついてくる。

 話題を変えたまでは良かったのだがら返す言葉が出てこない。僕はそのままだんまりを決め込んだ。


「公星怒った?」

 前を歩く僕の背中をツンツンと指先で押してくる。

「怒ってないよ。ちょっと言い返せなくて悔しかっただけ」

 そう返すと、夏澄はさっと僕の横にピタリとつく。

「良かったー、流石に言い過ぎて怒らせちゃったかと思ったよ」

 俯いたように地面の小石を蹴りながら夏澄は言う。

「あんなことで怒んないって夏澄じゃあるまいし」

 その言葉に夏澄は振り返り、「なにおーっ」と頭をポカポカと叩かれる。

「あはは、ほらもう着いたよ。明日も学校だし早く帰らないと」

「そうだね。じゃあ気を付けてね。バイバイ」

 夏澄が家に入るのを確認して自宅へと向かう。


「「もう少し一緒に居たかったなぁ……」」


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