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キミのくれたモノ  作者: 山路空太
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4.恋バナ

翌朝、目を覚ますと、八時二十分。

そう、八時二十分。


「あぁ〜〜〜〜、しまったー、寝坊だ」

何で起こしてくれないんだよ……と愚痴りながら階段を駆け下りる。



「明日はお父さんもお母さんも早朝に用事があるから寝坊しないようにね」


昨日の母の言葉を思い出す。

寝癖も直さずにパンを頬張りながら出て行く。


「こうくんが寝坊って珍しいね」

呼び鈴を鳴らす前に出て来た蓮希が言った。


「昨日勉強で夜更かししたからぁぁぁ……」

欠伸をしながら答えた。

僕達は急ぎ足で学校へと向かう。


「はやくはやくー、こうくん遅れちゃうってばー」


余裕のなっちゃんに対して息が切れる僕。

なっちゃんってほんと元気……

ギリギリ予鈴に間に合った僕達はすぐに席に座る。

朝のパンが飛び出てきそうだ。




午前の授業を目をこすりながらもなんとか終え食堂へ向かう途中だった。


「こうくーん、一緒に食べよー」

後ろからなっちゃんの声がする。


「ああ……」

振り向くと吉岡さんもいることに気付く。


「かすみんも一緒ねー」


驚く二人を他所(よそ)に蓮希は鼻歌を歌っていた。

食堂に着くと蓮や姫華も合流する。

二人は吉岡さんを見て驚いた表情だった。


しかし、僕を除けば皆コミュ力が高いのでものの数分で打ち解けた。

また、四人は容姿が整っているので周りからは一際目立っている。

何故この輪の中に自分がいるのか分からない。

そんなことを考えていると会話はいつのまにか恋バナになっていた。


「レンレンとひめっちはいつも仲良いけど付き合ったりしないの?」

なっちゃんは思ったことをすぐに口にするタイプだ。


「いやいや、付き合ってはねーよ、なぁ姫華」

「そ、そうそう、友達だよ! 友達……」


蓮と姫華は否定しながらあさっての方向を見ている。蓮も姫華も少し顔が赤みを帯びている。

僕は前から気付いていたが二人はおそらく両想いだろう。

なっちゃんはこれを見ても気付かないほど鈍感だ。

それに比べて吉岡さんは勘付いたらしかった。

照れを隠すように蓮は切り返す。


「それより蓮希と公星はどうなんだよ」

「えへへー実はねー」

もじもじする仕草をとる蓮希に気付かずに公星は即答で答える。


「仲良しの友達……というよりもはや妹みたいな感じだね」

なっちゃんは何故かムスッとしていた。

「私の方がお姉ちゃんでしょ!」

どうやら怒っていたのは妹という部分だったようだ。


「夏澄ちゃん好きな人は?」

表情を戻した蓮希の前で蓮が質問する。


「私はまだいない……かな?」

「そーなんだ。公星とかどう?」

すかさず蓮が言う。


「え、えーと……」


「ちょっと蓮、困ってるじゃない。ごめんね夏澄ちゃん」

微妙な空気が流れた。



それを察知したのか蓮希は突然、


「こうくんってさーまだ初恋すらないらしいよー。お子ちゃまよねー」


「ちょっ、なっちゃん」


周りの霧を一気に吹き飛ばし、暖かい笑いに包まれ、一気に場が和む。


「ところで夏澄ちゃんの初恋は?」


蓮が口を開いた。


「んー、小学校の時かな?」


「そうなのね。どんなひ……」


姫華が口を開いたところで予鈴が遮る。


「やべっ、次体育だ。姫華急ぐぞ」


「待ってよ蓮。あ、またね」


二人は急いで行ってしまった。


「じゃあ僕たちも少し急ごうか」


三人は小走りでその場をあとにした。

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