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キミのくれたモノ  作者: 山路空太
38/53

38.恐怖の病院

あたりは(ほの)かな緑がかった光に包まれており、手元のライトが照らす一筋の道以外にも多少様子が伺える。


今のところ何かが出てくるという雰囲気はあっても幽霊の気配はない。

本当に幽霊がいたとしたら気配があるのか定かではないが……


手元のライトが照らす先には沢山の椅子が並んでいる。

光を左に誘導すると、そこにはカウンターのような机に、受付と書かれた札が目に入った。


「ここが受付か……」


「そうみたいだね……」

お互いに聞こえるくらいの小声で姫華と会話する。

受付のカウンターの横を素通りしようとした時だった。

ガサゴソッ。

たしかに何かが動く音が聞こえる。

姫華と二人して思わず体をビクッとさせる。


ピカッ。

突然の光に視界を奪われる。


「キャー」

「うわぁー」

「ひいぃー」


俺と姫華は声を上げる。

しかし、何故か相手側も声を上げている。

そんなことを疑問に思いながらも、恐る恐る声の方をライトで照らす。


ライトで照らされた人の姿は、どう見ても警察官の服装だ。


「どうしたっ、大丈夫か?」

その人の後ろからもう一人の警察官らしき人物がそう声をかけて近付いてきた。


「なんだ、君たちは何しにここにきた?ここは立ち入り禁止だぞ?」


「いや……その……」

状況があまり飲み込めない俺たちは返答に困っていた。


「どーせ肝試しに来たんだろ。悪い事は言わんから引き返せ。今は二年前に突如行方をくらましたサイコキラー、霧崎(きりさき)が潜伏しているかもしれないと警察が捜査しているところだ」


そんな説明を受けていると、先程の刑事が慌てたように近付いてくる。


「せ、せんぱいー、大変です。入り口が何故か開きません」

慌てた口調で言う新米?刑事にあきれた様子の先輩刑事が言った。


「あーここは凶悪犯罪者が沢山いたからオートロックなんだ。つまり君達も出口からしか出られない。」


「な、なるほど……」


「まぁ今は多くの刑事が中にいるが、安心は出来ないぞ。なんかあったら大声で叫べば近くの警官が飛んでくるだろう。それと、今は閉鎖された場所が多いから四階の渡り廊下でしか出口のある棟に行けないからな。じゃあな」

新米刑事を小突き、再びカウンターの奥へと歩いて行った。


まるで役者さんのような演技だった。

感心するのもそこそこに姫華と再び進む。

病室は全てドアが開いており、どこからお化けが出てきてもおかしくない。

ただ、先程の刑事の言った通り、普通にライトを持った警察官たちがウロウロしている。

そのおかげかあたりは先程よりは明るく、視界もはっきりしている。


すれ違う警官たちはみんな俺たちを見てあきれた顔をする。

そんな警官たちが沢山いるせいでお化けか警官か判断出来ず、俺たち二人はずっとビクビクしていなければならない。


階段を見つけ、ゆっくりと上へあがる。

この時、まだ俺たちは知らなかった。

この先に待ち受ける恐怖は比べ物にならないものだと……

まだまだ地獄は始まったばかりだったのだと……

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