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キミのくれたモノ  作者: 山路空太
35/53

35.クマのくーちゃん

「ねぇ蓮、これ終わったらパレード観に行かない?もうすぐ始まるはずだから」


ジェットコースターの最前列で時計を見た姫華にそう言われる。


「ああ、十五時からってポスターに書いてたっけ?あと五分くらいで始まるのか、よし、じゃあこれ終わったら行くか」


「うん!」


楽しい時間はあっという間に過ぎる。

一時間も待ったというのに自分の番は何ともあっけない。

それでなくても姫華と居ると時間が早送りされていくのに……。

はぁ〜………。


「こら〜、ため息なんてついたらダーメ。幸せが逃げて行っちゃうでしょ?」


すこし膨れた姫華に注意されてしまう。


そんな顔でも可愛らしくて、隣で笑ってくれるだけで幸せなのだと改めて思う。


(姫華といるだけで幸せだから別に他の幸せならいいけどな……)


「え?急にそんなの反則だよ……バカ……」

顔を赤く染めた姫華に軽くパンチをもらう。


「え?俺何も言ってないよな?」


「言ったよ……わ、私がいれば……その……幸せ……って恥ずかしいから言わせないでよ!」


顔が沸騰したように熱くなるのが分かる。

どうやら心の中で思ったことをつい言葉に出していたようだ……。

恥ずかしい……、穴があったら入りたい気分だ。


「あっ、向こうから大きな音がするよ。きっとパレードだよ、よし、行こう」


無理矢理恥ずかしさを押し込め、話を変える。そのままの勢いで姫華の手を引き、大きな音と群がる人々の方へと歩みを進める。


近付いて見ると思ったよりも人が多い。

やはりパレードは人気のようだ。

先程並んでいた列なんかとは比べ物にならない。

一番人気のクマのくーちゃんが登場した時には鼓膜が破れる程の大歓声だった。

隣の姫華なんかは手を握ったままぴょんぴょんと飛び跳ねていた。


気付けば時刻は十七時。

合流は遊園地の出口のゲート前にあるくーちゃん像の前に二十時丁度。


「時間ってあっという間に過ぎちゃうね」


「そうだな。俺一個だけ行きたい所あるんだけど、まだ時間あるからもう一つ姫華が行きたい所行こう」


「え、どこ?」


「内緒。あとでわかるからさっ」


「えー、まぁいいけど……」

少しムスッとした顔をしている。


「私まだ行きたい所二つあるからなぁ……。んー、おばけ屋敷!おばけ屋敷行こうよ」


「怖いの大丈夫か?手握っててやろうか?」


「わかんないけど蓮がいるから。言われなくても握っとくもん」


「そ、そうか……」

勢いで言ったものの予想外の返答に照れてしまった。

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