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キミのくれたモノ  作者: 山路空太
32/53

32.限定メニュー

「きゃっ」

夏澄は耳を両手で塞ぎこんでいる。


「申し訳ございません。今日入ったばかりの新人なもので……」

受付の人が何やら先程のお姉さんを注意している。


「あのー……、受付を……」

僕の一声で説教をやめる。


「コホン、失礼しました。では、二名様ご案内しますね。あと、食後にデザートを頼む際にはこれを店員にご提示ください」

受け取ったのは特別券と書かれた一枚の紙だった。


「これは?」

僕の質問に対して店員さんはえ?知らないの?と言わんばかりの顔をしながらも返答する。


「一日百組限定スイーツが頼める特別券になります。毎回開店後一時間でなくなってしまう超人気でそれを目当てに来るお客様も沢山いるのですが……」

「それってもしかしてあの特大パフェの?」

待ってましたと言わんばかりに目を輝かせた夏澄の質問に少し声色が明るくなる店員さんが答える。


「そうですそうです!とっても美味しいんでオススメなんですよ!ってあ……すみません。ご案内致しますね……」

我に返った店員さんにテーブル席へと案内される。

「ごゆっくりどうぞ」


案内されたテーブル席に着くと夏澄は早速メニュー表を広げる。ありとあらゆる卵料理がずらりと並んでいる。夏澄の言うオムライスをはじめ、天津飯、オムレツ、玉子焼き、だし巻き玉子に茶碗蒸し。どれもこれも目移りするようなものばかりだ。


「結局答えの方が先に出てきちゃったね」

少し残念そうに夏澄が言う。


「そうだね。まぁでもラッキーなんじゃない?後ろの人からはもう貰えて無さそうだったし」

そう言いながら先程の光景を思い出していた。


「今日はここまでで特別券終了となります。申し訳ありません」

そう言うお姉さんの声に後ろの人達はあからさまに肩を落としていた。中には列から外れて別の場所に移る人達までいたくらいだ。それだけでも人気っぷりがわかる。一つ楽しみが増えたのだ。


「公星決まったの?もう呼んじゃうよ?」

夏澄の声で現実へと戻される。


「僕はオムライスにするよ、ライスは炒飯に変えてもらおうかな」

「あ、そーなんだ。じゃあ私天津飯にしよっと」

(あんなにオムライスを推してたのに天津飯?)

驚く僕を他所にもう店員さんがこちらに来ている。


「ご注文は?」

「オムライス一つ、ライスを炒飯に。あと天津飯を一つ、以……」

「あ、だし巻き玉子一つお願いします。以上で!」

夏澄が割り込んで言う。

店員による注文品の確認後に思わぬ質問が飛んでくる。


「失礼ですが御二方はカップルに見えるのですが合っていますか?」

「そうなんです。初デートで」

「あ、そうなんですね。実は只今期間限定で特別券をお持ちのカップルさんは特大パフェの代わりに超特大パフェを注文出来るんですよ。そちらになさいますか?」

「じゃあそれを食後にお願いします!」

間髪入れずに夏澄は答える。僕は夏澄と店員のやり取りを見ているだけしか出来なかった。


「かしこまりました。それでは準備させていただきます」

特別券を回収して厨房の方へと戻っていった。

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