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キミのくれたモノ  作者: 山路空太
30/53

30.白銀の迷路

 俺は手を握られたまま先ほどのシーンを思い返していた。


「蓮君と姫華はデートしておいでよ。公星は私が見とくから」

「じゃあお言葉に甘えて」


 姫華ならてっきり「そんなの悪いよ」と断りそうだと思っていたのに。しかも今俺の手を握って前を歩いている。

どこに向かっているのだろう?

こっちは確か……え、あっ。

手の感覚がなくなると共に看板を発見する。

「鏡の迷宮 ミラーラビリンス」


「あれ一回行ってみたかったのよね。見た目も綺麗だし。蓮迷路とか好きでしょ?」

 振り返ってピカッと笑った姫華を見て思わず抱きしめる。迷路が好きなの覚えててくれたんだ……


「ちょ、れ、蓮?う、嬉しいけど、みんな見てるから……」

 だんだんと消え入るような声に我に帰る。周りを見回すと数人がこちらをまじまじと見ていた。

「ひゅーひゅー」

「いやー青春だねー」

 色々言われて恥ずかしくて顔が真っ赤になる。


「も、もう行こっか!」

 再び手を引かれ、入り口へと向かう。

 入ってみると周りは本当に鏡ばかりだった。迷いそうだと思った俺は姫華の手をしっかりと掴む。


「迷いそうだし離すなよ」

 返事をする代わりにギュッと握り返される。

 ところどころには現在地とゴールまでの地図がある。分かれ道が沢山あるがこの地図と現在地がなければ確かにゴールまでたどり着けそうにない。

 〜十五分後〜

「あれ?さっきから思ってたけど現在地が行きたい方と逆に進んでね?」

 そう思うが口には出さないでいた。


「ねぇ……蓮……さっきから思ってるんだけどこれ道合ってる?」

「俺も思ってた……あはは」

「あ、見て、これ。地図反対になってるんじゃない?鏡に写して見るんじゃ……」


 そう言われて鏡に写る地図を見る。

「ほんとだ。よく見たら隅に小さく地図って反対に書いてるじゃん。気付かなかった……」

「でもこのままでも遠回りでも着くよ」

「そだな。気を取り直して行くか」

 先程よりも力強く足を踏み出す。手にも自然と力が入る。


「見て!出口!」

 はしゃぐ姫華に手を引っ張られる。初めて見る姫華だがやはり可愛いな……

「やったー到着!いえーい」

 姫華とハイタッチをする。この時間がいつまでも続けばいいな。ふとそんなことを考える。


「なんか達成したら腹減ってきたしとりあえず戻るか」

「そうだね、私行きたいところあるの!いい?」

「いいよ」

 やったーとまたもやはしゃぐ姫華。

 ところで行きたいところってどんなところだろう?

 二人は目的地に向け歩き出す。

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