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キミのくれたモノ  作者: 山路空太
27/53

27.目的地到着

 電車内には沢山の人で溢れていた。

 スーツに身を包んだ会社員。

 部活動に向かうと思われるジャージを着た高校生達。

 夏澄と姫華をドア近くに配置し、僕と蓮は二人を囲うようにして立っている。



 キイィィィ。

 金属と金属が擦れて悲鳴を上げ、電車はカーブへと差し掛かる。

 車内の人達は揺れに耐え切れず僕達の方へと流れてくる。


 蓮は吊り革に力を込め、背中に人が倒れてきても少し動くだけだった。

 一方で僕は他の人同様に倒れそうになるところを懸命に耐える。

 いつもより長く感じる三秒。

 カーブはもう終わりを迎える。


 僕はもう少しの辛抱だと吊り革を掴み直そうとした。

それと同時に後ろからドンッと肘で押される。

吊り革から手が離れる。

「やばい、倒れる」


 反射的にドアに手をつく。

あと数十センチ右にずれていれば……考えるだけでも冷や汗ものだ。

 ついた手の横で夏澄はいつも通りの顔をしている。

 さっきより何倍も長く感じるたったの五秒間が過ぎ去る。


「ご、ごめん」

 カーブを終え、手をどけながら夏澄に謝る。


「何で謝るのよ。公星は悪くないわよ。それに当たってないし。それより公星こそ凄い勢いで倒れてたけど手は大丈夫なの?」


「大丈夫大丈夫」

 姫華の質問にすぐに答える。


「次は笠松駅、笠松駅です。右側のドアが開きます、ご注意下さい」


「おっ、もうすぐ着くぞ」

 蓮の一言で全員外を見る。

目的地はもうすでに見えている。


 駅に着き、改札を出る。

 久し振りの遊園地に期待を膨らませる三名と例外一名。

 徒歩十分。

目的地に到着、と同時に開園する。


 土曜日ということもあり人は電車の時とは比べ物にならない。

 すでにチケットを持っている僕達は人と人との隙間を縫って入り口を通り抜ける。


 憂鬱な僕の中には、ちょっぴりワクワクしている僕も同居していた。

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