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キミのくれたモノ  作者: 山路空太
26/53

26.待ち合わせ

 翌日、午前八時四十五分。

僕は梅坂駅のホームに蓮と来ていた。




 時は蓮希との補習の勉強よりも前。

 勝負の金曜日の夜に来た一通のメール。


「明後日の日曜日空いてる?まぁ空いてなくても空けといて。笠松遊園地のワンデイパスを五枚譲ってもらったんだけど、姫華ちゃんと蓮くんは空いてるそうだからWデートします。拒否権なし!梅坂駅に九時!時間厳守で。蓮希ちゃんも誘ってきてね」



 補習の前に起きて確認した。

これもまた憂鬱な気分を増長させていたのだ。

遊園地は"普通"の人にとっては楽しい場所だろう。

生憎、僕は普通ではない。

というのも遊園地があまり好きではないのだ。

 理由は至極単純。

乗り物に弱いのだ。

憂鬱でしかない。

勝負の件が無ければ絶対に行かないのに……

予定がなかったから良かったものの、行くのが決定事項というのは強引ではないか?




 とまぁそんなわけで蓮と集合十五分前にいるのだ。


「今日蓮希は来ねーのか?」


「蓮希は補習。一応伝えたから昼からでも来るんじゃないかな?終わったらメールくれるはずだから大丈夫だよ」


「そういえば補習か、今日は確か担当が熱血体育教師の松岡先生だったはずだぜ。あの人合格点出るまで帰さないって聞いた事あるし、来れねーんじゃねーの?」


「昨日勉強したし大丈夫だよ。多分……」


「まぁ気にしてもしゃーねーな」


「何がしょうがないの?」


 不意に後ろから声をかけられる。

 二人共遊園地に行くとは思えないようなスカートだった。

 夏澄は水玉のブラウスに青いデニムスカート。

 姫華はパステルピンクのワンピースに麦わら帽子。


「おっす、蓮希が補習なんだけど担当が松岡先生だから来れねーかもなって話。姫華のそのワンピ良いな。その色似合ってるし可愛い。夏澄ちゃんも可愛いね」


 話の説明とサラッと服装を褒める蓮。


 夏澄は僕の前で、

「どう?」

 と言わんばかりに手を広げている。


「夏澄って脚長くて綺麗だね」

 ふと思った感想をそのまま述べる。


「服装見なさいよバカ……でもありがと」


「んじゃ揃ったし行くか」


「まもなく、一番線に各駅停車、那浪(なろう)行きの電車が参ります。危険ですので黄色い線の内側までお下がりください」

 アナウンスが流れる。


「やべっ、急ぐぞ」

 ギリギリで電車に乗り込む。

 目指すは三駅先の「笠松駅」だ。

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