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キミのくれたモノ  作者: 山路空太
22/53

22.帰り道(蓮サイド)

これは勉強会帰りの蓮と姫華サイドのお話です。

 勉強会を終え蓮希の家を出る。


「さぁ、公星。俺は姫華送ってくから夏澄ちゃん送ってやれよ。じゃーなまた学校で。テスト頑張ろうぜ」


「バイバイ公星、夏澄ちゃん。頑張ろうね」


 手を振る二人を背に姫華と歩き始める。




 この辺りは車の通りは少ないが道が狭く歩道がない。

俺は黙って車道側に移動する。


「ありがとね蓮」


 お礼を言われるとは思わなかった。

蓮は少し照れ臭そうに、


「んー」

とだけ返す。


「今日楽しかったな。まぁ明日は勉強しねーとテストがやべーけど」


「そうだね。明日こそは勉強しないとね」


 少しだけ沈黙が流れる。


 ゴオォォォ。

前から少し荒い運転の車が来る。


「あぶねぇっ」


 咄嗟に姫華を抱き抱える形で壁際に接近する。

車のサイドミラーを間一髪のところで避ける。


「ったく、あぶねぇなぁ。大丈夫か、姫……華?」


姫華の方を向くと思っていたよりも顔が近い。


「大丈夫……」

二人して顔を真っ赤にしすぐに離れる。


 少し時間を置き、二人は落ち着くと再び歩き始める。


「しっかし、蓮希はゲーム弱いよな」


沈黙を嫌った俺は笑いながら言った。


「まぁ最後のババ抜きに関しては蓮完璧に負けだったけどね」

すかさず姫華が小声で呟く。


「うぅ……まぁ確かに、自分でも見苦しい言い訳だったな」

痛いところを突かれ、少し反省する。


「私が負けてたら恥ずかしくてもちゃんと言ってたけどなぁー」


 そんなことを言って俺の顔を覗くように見上げる姫華と目が合う。

俺は姫華の視線から目線を外して明後日の方向を向く。

この上目遣いは卑怯だ。

先程から行方知れずの姫華の左手に自分の右手を重ねる。


「あっ、繋ぎたがってるの……バレた……?」

顔を赤らめた姫華が言う。


「ふらふらさせてるわ何回か手当たるわでバレバレだよ……」

「てか俺も繋ぎたかったし」

と聞こえないように付け足す。


「で、好きな人は?」

 上手く誤魔化せたつもりだったがダメだったらしい。


「俺の好きな人なんて二年じゃ知らない奴いないだろ」


「えー、私知らないなぁー」

白々しくそう言う姫華。


「言わなきゃダメか?」

「言わなきゃわかんないんだもんっ」

姫華はニコニコと微笑んでいる。

やっぱり可愛い。

言葉遣いも仕草も何もかもが愛くるしい。


「俺の好きな人は、おま……姫華だよ。小学校の時からずっと好きだったよ」

「私も大好きだよ。蓮!」

 姫華も間髪をいれず返す。


 改めて言うのも言われるのも恥ずかしい。

嬉しそうに微笑む姫華を見て、また今度言おう。

先ほどよりも一層強く手を握った。




 姫華の家に着く。

しかし、姫華は手を離そうとはしなかった。


「テスト終わったら……二人でどっか行くか?」

蓮は手を離し少しうつむき気味の姫華の頭を撫でながら言う。

「……うん」


 二人は約束を交わして別れる。

今日一番の笑顔で。

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