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キミのくれたモノ  作者: 山路空太
15/53

15.結果発表

 時は校内祭のミスコンへと戻る。

学年トップクラスの美男美女が前に一列に並んでいる。


「それでは結果の紙がこの封筒に入っております。えーまずは男子の部、優勝は……」


周りからは拍手と、

「おおっ」

という声が鳴り響く。

吹奏楽部やロック部による煽りの演奏が続き、それらが一斉に止む。



「エントリーNo.5 空閑 蓮くんです。おめでとうございます。どうぞ前へ」


 蓮はオドオドしながらも前に出る。

会場は広い体育館なので反響し、多くの歓声と少々のため息で包まれる。

応援していた人が通らなかったからだろう。


「続いて女子の部、優勝は……」


先ほど同様拍手と共に盛り上がる。

それらが止むと辺りは静寂に包まれた。

 少しの沈黙タイムの後、それをゆっくりと司会が壊す。


「え、えーと……優勝は……ですね……」


 司会が止まった事となかなか発表されない事により騒つく会場。

そこで司会が一つ咳払いをする。


「オホン。えー大変失礼しました。私も結果を知らなかったため驚きまして……二年生生徒会執行部役員の話し合いの結果、同票で優勝者が二名いたようです」


会場は少し戸惑い沈黙するも、すぐにまた沸き立つ。


「エントリーNo.2 吉岡 夏澄さん、エントリーNo.5 朝比奈 姫華さんです。お二人は前へどうぞ」


 二人共驚いたように顔を見合わせながら前に出る。

会場のボルテージは最高潮だった。


「では早速ですがあまり時間がないので次に進みます。優勝者の特権であるダンスの相手指名権についてですが、これは選ばれた方の拒否権はありませんのでどうかよろしくお願いします。ではまず男子の空閑くんから一言感想とお相手をどうぞ」


 マイクスタンドごと蓮の前に置かれる。


「えーと、空閑 蓮です。優勝できたのは本当に嬉しく思っています。優勝したことで一つ決意したことがあります。また、僕に投票して下さった方々にはお礼を言いたいと思います。ありがとうございます」


 そう言って蓮は深々と頭を下げた。


「ダンスの指名相手のことなんですけど皆さん少しだけ僕に時間を下さい」


 そう言うと蓮は一つ間を取り、深呼吸をした。

それからゆっくりとマイクを遠ざけ左を向く。

 蓮と姫華に挟まれていた夏澄は蓮の視線から何かを察したのか姫華と場所を入れ替わる。

場所を入れ替わった姫華は訳もわからずオドオドしていたが次の蓮の一声で止まる。


「落ち着けよ」

少し火照った顔の姫華よりも真っ赤な蓮が小声で言った。


「えー、朝比奈姫華さん! 小学校の時からずっと好きでした。俺とダンス踊って下さい。も、もし良ければ俺と付き合って下さい」


 蓮は頭を下げて手を前に差し出している。

さっきまでの盛り上がりが嘘のように会場が静まり返る中、皆が姫華の一挙手一投足に注目していた。


 姫華は恥ずかしそうにそっと蓮の手を取る。


「私も小学校の時から蓮が好きでした。こちらこそよろしくお願いします」


 顔を綻ばせながらも精一杯の笑顔を蓮に向ける。

会場が一気に盛り上がったのは言うまでもないだろう。

僕は心の中で二人に、おめでとうを言った。


 司会の人たちは静かにさせようとしたが、こうなってしまったら周りはもう止まらなかった。

ついには諦めて夏澄に近付くと、

「指名権の事は自分で使っていいから」

と謝った。


 何はともあれ、劇も無事終了し、ミスコンも大きな余韻を残しながら、残すは後夜祭のみとなった。

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