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居酒屋の二人

次の日。会社。

また、杉沢係長と会える~♪

楽しい時間のはじまり。


「…あれ…この数字…。」

「なに?どうした?」

「あ…係長。いえ…この数字があわなくて…。」

「あ~、ふんふん。これ、ややこしいんだよね~。ここがさ、こうなって、こうなって…。」


すごい…横顔もカッコイイ…。

いいな~。こんな人が彼氏だったら…

喜んで、家で待ってるのに…。


「わかった?佐々木クン。」


あ!見とれてて聞いてなかった…。


「スイマセン。よくわかりませんでした。」

「やっぱり?オレも最初これやったとき、全然わかんなくてさ~。何回も課長に聞いたからね。じゃ、もう一回。」

「はい!」


なるほど…そうなって、こうなるのね~。

係長、教え方上手だな~。

ちゃんと説明してくれるし…。

ホント。いい上司に恵まれたよ…。


がんばれば…彼女になれるかな…??

晋也と…係長…。う~~~ん。

2対8で係長の勝ちかなぁ~。

大差だな。ふふ。


そして…家に帰っても一人…。

晋也はまたパチスロかなぁ…。

アイツのご飯作って…テレビ見て…

ただ待つだけ…。

はぁ…。


22時30分か…コンビニいこう…

ちょっと上羽織れば…まぁ大丈夫でしょ。


コンビニで…何買おうかな…


あ!!杉沢係長!!

今仕事終わったんだ…。

え?どこいくんだろ…。


ちょっとつけてみよっと…。


路地裏を入った、小さい縄のれんの居酒屋?

へー…こんなところあるのか…知らなかった…。


あ…係長が一人で飲んでる…。


「こんばんわ…」


「あースイマセン…もう看板なんですよ~。」

と、あたしより少し年上くらいの若い女将さんが洗い物をしている手を止めて顔を上げて言った。


「あ…でも、その人は…?」


と、係長を指すと係長はこちらに顔を向けて


「あれ?佐々木クン。」

「あれ?カズちゃんの知り合い?」

「うん…会社の後輩…。どうしたの?」

「あ…コンビニ行こうと外に出たら、係長見かけて…ついて来ちゃったんです。」

「あ、そうなの?じゃぁ、座ったら?」

「あら、カズちゃんもう看板よ?」

「まぁまぁ、30分くらいいいじゃん。どう?佐々木クン飲む?」

「あ…じゃぁ、頂こうかな?うふ。」


と言うと、女将さんはおしゃれなグラスを係長の隣りに置いて

「ふふ。どうぞ。カズちゃんの隣に…。いつもカズちゃんがお世話になってます。」

とビールを注いでくれた。


「じゃ、どうぞ…カンパイ!」


チン!


わーー!思わぬ幸運!

係長と二人っきりで呑めるなんて~~!

神様!ありがとーーー!!


「はい、カズちゃん。レバニラ。」


と、女将さんは係長の前にレバニラ炒めを置いた。係長はうれしそうに


「おーー!女将さん分かってるね~。」

「ウン。そろそろ、カズちゃん、レバー食べたい頃だと思って。でも、ゴメンね~。鶏レバーで。」

「あ~。そだね~。牛か豚の方が好きかなぁ~。」

「言われなくても分かってますよーだ。」


あれ…なに?この二人…。

ちょっと妬ける…。

仲いいんだ…。


「ハイ。カズちゃん。晩ご飯。」


え?焼いた鶏肉の丼と…お漬け物…。

係長のご飯…??


「えー女将さん、早い、早い、早い~。ゆっくり飲ませてよ。」

「だって、もう閉めないと…。」

「もう…。」


係長は、レバニラ炒めを食べながらビールを飲んでご飯を食べ始めた。


ビール…味噌汁変わりかよ…。


「ハイ。エイヒレ。二人でどうぞ。」


あ…エイヒレ…

ちょっと炙ってマヨネーズに唐辛子…

ビールにあいそう…。


「ん!どれもオイシイな~。」


なんか、係長がいつもより子供っぽい…

なんで?


でも、ここがトークチャンスだよね。


「あの…。」

「え?」

「係長、いつも丁寧に教えていただいたり…助けていただいたり…ホントに…ありがとうございます!」

「あー。いーのいーの。」

「いつも、係長、一生懸命で…誰よりも残業して…カッコいいです!」

「ふふ…ありがと…お金貯めなきゃねぇ。」

「え?そうなんですか?」

「うん。今、家を建造中!」

「へーすごい!若いのに!」

「え~?そんなにすごいかなぁ~?」

「同年代でそんな人いませんよ~。」


「へへ。女将さん!すごいって!」


と、女将さんの方を向いて話しかけた。


「ハイハイ…。付き合わされる人は大変です…っと。」


でも、家だって…すごい。

若いのに、計画性があるなぁ…。

結婚は?まずは一戸建てからなのかなぁ…。


でも係長、いつもこの店でクダ巻いてんのかしら…?

女将さんあきれ顔…

ん…でもキレイな人…。


あれ…?係長の女将さんを見る目が…

なんか…チガウ…。


「女将さん…すごいですね…若いのにお店切り盛りして…。」


と言うと女将と係長は、顔を見合わせて、


「…あら、違うのよぉ…。あたし雇われ女将なの。でもまー、一月やってるかなぁ?」

「そ…ここの大将がペットの亀に死なれてペットロスで人前にでれなくなっちゃってさ。」

「まー。仕込みはやってくれるから、19時から、バイトしてるだけなの。」


へー…じゃぁ、一月の付き合いなのね…。

じゃ、付き合いでいけば、まだあたしに分があるかも!

入社して1年。営業のノウハウを教えてくれたのは係長。

会社じゃ、ほとんど一緒だしね…。


「佐々木クン。オレと、名前に共通点あるって知ってた?」


わ。係長の方から話しかけてくれた!

え?共通点?


「え?杉沢係長…お名前…和斗さん…わたし…百合…?」

「ふふ。ねぇ。女将さん分かる?」

「はいはい…M高卒さんの深いお考えには気づきませんよ…。」

「え!?…杉沢係長…M高なんですか?」

「いやぁ…まぁ、そこは置いといて…。どう?わかった?」

「えー…花の名前でもないし…なんでしょう?降参です。」


係長は、自信満々に


「オレの名前「斗」の字があるでしょ?で、「かず」は1に通じます。つまり1斗。すなわち18リットル。で、百合ゆりという字は100合と書きます。100合は10升。10升は1斗。つまり18リットル。さぁ、どうだ!女将さん!」

「おー。ちょっとビックリした。」

「あ!ホントだ!すごい!全然気づかなかった…。」


「だから、オレは「杉沢百合」とも書けるってことだね。」


やだ!「杉沢百合」だなんて…。

なりたい!

ひょっとして、そうしたいってサイン??

仕事でも優しいし…。


あたしに…

あたしに気がある?杉沢係長…。

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