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 「じぃじぃ、ぼくねぇおともだちができたのぉ」

 「そうなの、良かったですねぇ」

 にこにこにこにこ。

 銀嶺が癒しの天使を自分の手に乗せ、持ち上げて顔に近づけて話している。

 天使は手に乗るほど小さく、こうしないと話しにくいのだ。

 

 

 天使が銀嶺をじぃじぃ呼びしている理由も真っ先に聞いた。

 もちろん、薔薇が。

 精霊だから長く生きてはいるが、麗しの精霊さまが『じぃじぃ』・・・あまりに合わない。


 「はあっ?そんなこと言ったのか!」

 思わず、男前に叫んでしまう薔薇。

 そんな話し方も出来るのか、と銀嶺以外の者は思ったとか思ってなかったとか。

 

 「私がずいぶん年寄りなのは、本当の事だよ」

 だから、天使に自分の事を説明するときに、『じじいと言っても間違いない年齢だしね。』とか言ったらしい。

 天使は『銀嶺』も『じじい』もピンとこなくて、『じぃじぃ』を思い付いたようだ。


 銀嶺が癒しの精霊に『じぃじぃ』と呼ばれてにこにこ返事をしているのを見ると、ダメだとか似合わないとか言える者はいなかった。

 むしろ言ったものを、(とが)めてしまうだろう。

 付き合いの長い薔薇などは、誰かが銀嶺を『じじい』呼ばわりしたのかと思ったり。

 今回珍しく銀嶺が頑張っていたのは、癒しの精霊のためだけでなく、自分も自覚していない銀嶺の寂しさのためでもあったのだろうか、と考えさせられたりしたのだった。






 扉の開く音に一番に反応したのは、天使のリルファだった。

 「ろーくん!」

 大きな声で名を呼ぶと、羽をぱたぱたさせて銀嶺の手のひらでぽよよんぽよよん飛びはねている。

 部屋の中の視線が、黒狼にあつまったものだから彼は部屋に入りかけて、扉のところで止まってしまった。

 しかし、部屋の者全員が水簾の部下である黒狼の活躍を知っていたので、皆が気軽に手招きした。

 遠慮がちにこちらに来る青年を、皆微笑ましい様子でみているのだった。


 リルファは待ちきれずに、じぃじぃをじーっと見て、銀嶺が頷くと

 「ろーくーん」

 とまたもや名を呼びながら、背中の羽をぱたぱたさせて黒狼の方に飛ぼうとしている。

 いや、本人は一生懸命飛んでいるのだが、あまり前に進んでいないのだ。

 手をふりふり、足をばたばたさせて懸命に飛ぶ姿はかわいいもので、じぃじぃなどはにこにこして見ている。

 が、子狼の2匹は手伝おうか悩んでいるのか、銀嶺の膝の上でオロオロうろうろしている。

 『お、遅い』

 いや、遅いのが悪いわけじゃないけど・・・大丈夫なんだろうか?と部屋にいる者もハラハラしているようだ。


 黒狼は慌てることなく、ある程度進むとリルファ来るのを待っていた。

 「ろーくーん、とぉちゃーーく!」

 そう言うと天使は黒狼の左肩にしがみついた。

 そして、足をばたばたしてキャッキャッ喜んでいる。 


 天使のようなリルファは、とっても小さくてかわいい精霊だった。

 あまりにミニマムなので、精霊族としてはめずらしい部類に入るはずだ。

 といっても多少珍しくても、精霊族のものが精霊族だから・・・で納得するような種族であるので、特にどうということはない。

 問題があるとすれば、そのかわいさのようだ。


 黒狼は癒しの精霊は大人気だと聞いたのだった、そう言えば。

 今も黒狼の肩でキャッキャッしているリルファを、皆が(かま)いたそうにしているが、なぜか天使がお話ししたりくっついたりするのは、銀嶺と黒狼のみだった。

 銀嶺はともかく、黒狼は少し困惑していた。





 鏡から癒しの精霊がこちらに現れた後、黒狼も眠りから覚めた。

 「おはよう。天使は無事にこちらに来られたよ」

 真っ先に銀狐は黒狼に教えてくれた。

 「ご苦労様でした」

 そう言って黒狼を誉めてくれたのは、水簾だ。

 二人ともこの場で寝てしまった黒狼が何をしていたのか、把握していたのだ。

 対策室所属の水簾とその部下の銀狐と黒狼が呼ばれたのは、問題が起こったときの解決担当なので、役目を果たしたと言える。

 

 対策室としての仕事で、黒狼が何らかに巻き込まれるのはいつものことで、同僚の銀狐は異変をいち早く察して、解決のために動いたり、黒狼のフォローしたりするのが常であった。

 だから、ちょっとした会話をヒントに、銀狐が回答にたどりつくのもお手のものだ。

 黒狼はこうして理解してくれている二人にいつも本当に感謝していたのだった。 

へんなところで途切れてすみません

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