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 「はっ、ここはドコや?」

 目を開けたら、見知らぬところに寝ていた。


 黒狼は、横になっていたことに気付き、体を起こすと辺りを見回す。

 雲のような真っ白いものに覆われていて、他には何もない。

 見たこともない景色のはずなのに、なぜか懐かしいような...。

 「あれ?オレ何してたっけ?」

 疑問の答えが出そうになったとき、アノ歌が聞こえて来た。






 「ランランランランランララ~ン~♪

 ぼくはとってもうったが~すぅきぃ~♪」

 

 遠くで小さいのが、踊りながらこちらにやって来る。

 子供が一人と犬?が2匹。

 くるくる踊る子供のまわりをわふわふ言いながら?はねている

 自分に起こった不思議を吹き飛ばしてしまうほどの、ノーテンキな歌。

 アレ?

 オレハアレヲシッテル・・・・・・・・・



 ああっ!



 黒狼が気付いたとき、相手もこちらを見た。

 小さかったが、大きな目を見開いたのがわかった。


 遠く見えていたのではなく、もともと小さかったのだ。


 手のひらに乗る大きさ。


 金の髪と青と緑の瞳。


 背中でぱたぱたしてる羽。


 「夢の天使!」


 お行儀悪いが、黒狼が相手を指差してしまったのは仕方ないだろう。

 また、会うなんて。

 天使は両手を広げて笑顔全開でこちらにスピードをあげてやって来た。

 と、思ったらハッとした顔でピタリと止まった。



 そして、聞こえる不思議なメロディ。

 メロディ?メロディでええんか?



 ドンドコドコドコドコドンドコドコドコドコ

 ドンドコドコドコドコドンドコドコドコドコ


 「また、それかいな」

 黒狼は脱力感で狼耳と尾がへんにゃりしてしまう。

 天使はそれにかまわず、肩から掛けたポシェットからお約束の長い棒を取り出した。

 

 

 そして、天使は黒狼をちらりと見るとニコッと笑った。

 いや、黒狼にはニヤリとしか見えなかったけど。

 

 この前は長い棒は何かの台に渡してあったけど、今日は2匹の犬・・・いや、狼だ・・・狼がくわえるのか?

 

 違う、2匹の頭の上にのせた、と思ったら落ちた!

 ああっ!

 あぶない!

 

 子狼は俊敏に避けた!

 良かった!

 長い棒は落ちて、ボヨヨンとはねている。

 

 天使はしょんぼり肩を落としている。

 そんな天使をなぐさめようとしてか、子狼は天使のまわりをうろうろしている。


 「口にくわえさすのは、あかんのか?」

 黒狼の言葉にコテンとかわいく首をかしげる天使。

 

 え?もしかして『あかん』の意味わからんかった?

 「こいつらの口にくわえさしたらだめなんか?」

 天使はもじもじしながら、答えた。

 「あのね、お口でがんって、イタッ!ってなったらダメなの」

 「きみ、優しいなぁ」

 黒狼はその様子に微笑ましくなって、天使をなでなでしてしまう。

 天使もなでられた頭を小さな両手で押さえて、てれてれしている。

 てれてれて何?と言われても、天使だからてれてれなのだ。

 とか、何となく言い訳にしながら黒狼もにこにこしてしまう。


 「あのね、この子があーくんで、この子がかーくんなの」

 天使が子狼の名前を教えてくれるも、残念ながら黒狼には見分けがつかなかった。


 「ぼくのお手伝いしてくれるって!」

 だから、棒をのせたりしてお手伝いの方法を、天使なりに考えた結果のようだ。

 「あーくん、かーくんもお利口さんやな」

 黒狼は子狼たちもなでなでした。

 

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