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部屋について黒狼が扉を開けた。
わ~い
わふわふ
「ただいまぁ~」
羽をぱたぱたさせながらリルファが入っていく。
「お邪魔します。ピッ」
青い鳥ぴーくんはペコリンと黒狼にお辞儀をしてから入る。
「あ、どーぞ」
黒狼が言うのに、リルファ達も続けて言った。
「どおぞぉ~」
わふっ、わふっ
リルファ達は黒狼の部屋にすっかり馴染んでいるようだ。
リルファは扉の横にある棚の上で、靴を脱いで揃えて置いた。
リルファ用の小さい小さい靴箱が置いてある。
そして、もふもふのスリッパを履く。
子狼達は棚の上の子狼達用の足拭きマットの上で待機だ。
黒狼の部屋は土足禁止なので、黒狼も靴を脱ぐとスリッパに履き替えた。
リルファや子狼なんてほとんど飛んでるから、スリッパとかいらないと思うのだが、小さい子達はなんでも真似したがるのだ。
小さい子達のスリッパやマットも全部専用のもので小さく作られていた。
ミニチュアなだけでかわいいのに、色や形も工夫されていてリルファ達もとってもお気に入りだったりする。
黒狼は子狼達の足を順番に拭いていたら、青い鳥のぴーくんがじっとこちらを見ていた。
ぴーくんは小さい足をもじもじさせている。
「あのー、ボクも足を拭いたほうがいい?」
「ぴーくんは拭かんでもええけど、気になるなら拭いたげるよ」
トトトと、棚の上を歩いてくるぴーくん。
ピッと片足を上げる。
黒狼がぴーくんの足を拭いてみたら、やっぱり汚れてなかった。
でも、ぴーくんは嬉しそうにお礼を言って、リルファ達の方に飛んでいった。
『ぴーくんのもいろいろ用意せんとなぁ』
黒狼はいろんな人から頂いた、小さい子グッズからぴーくん用のを探すことにした。
黒狼は少し広めの部屋を、間仕切りやカーテン、家具などで上手に区切って使っている。
リルファ達は、部屋の奥の間仕切りの向こう側にいた。
そこにはベッドが置いてある。
壁際にはいろんな収納があり、対策室の室長や銀狐のお土産がきれいに並べてあった。
ベッドの頭の方にも壁をくりぬいたような場所があって、黒狼は寝る前の読書用の本や小物を置いていたが、今はリルファと子狼達の寝床になっている。
ふんわりお布団でリルファは寝ているのだが、ときどき『なんでだか、しらないけどぉ~』黒狼の顔に乗って寝ちゃうんだそうだ。
銀嶺さまとお話しできる鏡は、ベッド横の出窓の所に置いてある。
鏡には布が掛けてあって、その前でリルファが青い鳥に鏡の説明をしているようだ。
「じぃじぃがぁ、ぼくといっしょにいないときにぃ~このかがみでおはなしするのぉ」
「鏡でお話しできるのか?すごいぞ。ピッ!」
鏡はまだ見えないのに、鏡に向かって覗きこもうとするぴーくん。
「そぉ~なのぉ~。すごいのよぉ~」
リルファはにこにこで鏡自慢だ。
黒狼はその様子に微笑ましく思いながらも、声をかけた。
「りーくん、手は洗った?」
リルファはパッと振り向いて
「ろーくん、わすれてたよぉ~、あらってくるねぇ~」
羽をぱたぱたしつつ、手を洗いに飛んでいくリルファ。
青い鳥も自分の手羽を見つめる。
なぜか子狼達も前足を。
いや、君達は洗わなくてよいと思うよ。
皆でリルファが戻るのを待つのだった。
「じゃあ、じぃじぃよぶねぇ~」
リルファは布の端をちょっとだけめくって、ちらりと覗きこむ。
「あれぇ~」
皆のほうを振り返り、反対側に行ってまたちらり。
「あれぇ~?」
どうやら誰も映らないようだ。
「りーくん、とりあえず銀嶺さまをお呼びしてみたら?」
鏡の布を全部取り払い、再度チャレンジだ。
ようやく見えた銀嶺側の部屋の様子は、いつもと違うようだった。
銀嶺さまの部屋は水晶がきらめく部屋なのだが、鏡に映る部屋は普通の部屋だった。
「じぃじぃ、ちがうとこにいるのかなぁ・・・・・・。え~とぉ。じぃじぃ~~~。じぃじぃ~~~。どこなのぉ~~~。じぃじぃ~~~」
リルファは銀嶺さまの声が聞こえないか、鏡に耳をつけて待っている。
小さい子達もじっと我慢だ。
すると、しばらくして扉が開く音がした。
リルファは待ちきれず、背中の羽をぱたぱたさせながら銀嶺を呼んだ。
「じぃじぃ~。じぃじぃ~。りーくんよぉ~」
わふわふ、わふわふ
ぴ
だが、鏡に現れたのは銀嶺ではなかった。
リルファの羽のぱたぱたが止まる。
「ひつじ・・・し、しつじさん!こんにちはー」
リルファがペコリンとお辞儀すると、子狼達も青い鳥もペコリンとお辞儀した。
黒狼ももちろんだ。




