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長くなってしまいました。



 よいしょっと・・・・・・・・・・・大丈夫か?・・・・・いや、あかんて!・・・えっ、そこで離すん?

 

 あ~~~~~~!

 きゃ~~~~~~!

 ぴぃ~~~~~~~!

 がらがらがっしゃ~~ん!


 いや、羊毛の人形だから実際にはこんな音はしない。

 だけど、頑張って積み上げて来たものが崩れ落ちる音は、こんな音に違いない。


 結局、かーくんの選んだ『くじらさん』は積み上げるには難易度が高すぎたようだ。

 形がね。

 そして、なぜか失敗したかーくんがケロリとしていて、あーくんが落ち込んでいるという。

 かーくんは崩れた人形の周りを走り回り、あーくんは尻尾をへんにゃりさせてとぼとぼと歩いている。


 リルファはというと、

 「あ~あ、あ~あ、くずれちゃったぁ~♪」

 そう言いながらスキップして、ぐるぐる人形の周りを回っていた。


 「あれだけ積むとやっぱり難しいなぁ」

 「すっごくドキドキしたけどぉ、おもしろかったよぉ~」

 リルファは羽をぱたぱたさせて黒狼のところに飛んできた。

 子狼達もやって来る。

 あーくんはリルファに頭を撫でられて、尻尾をふりふりしている。

 復活したようだ。

 

 「次は何して遊ぼうか?」

 「あのねぇ、ろーくん。おにんぎょうぜんぶであそべなったから、こんどはみんなであそべるのがいいのよお~」

 わふわふ、わふわふ

 確かに箱の中にはまだたくさんの人形が残っていた。

 全部が参加できる遊びって何だろう?


 




 びゅ~~~~~ん!

 きゃあ~~~~~~!

 ぴぃ~~~~~~~~!

 わふわふ、わふわふ~~~~

 

 目の前を小さい子達がすごい早さで右から左に走り抜けて?いや、滑り去って行く。

 空中に白い帯状のものがぐるりと輪を作って、部屋いっぱいに広がっている。

 その上をリルファや子狼、人形達が連なって滑っていく。

 曲がり角などけっこう体が傾いているのだが、帯から飛び出すことはない。

 白い帯はリルファや子狼達や人形が座っているところが、ほのかに光っている。

 そこにある魔方陣で個体を認識し、制御しているようだ。

 帯の上にいくつも魔方陣が書き込まれ、それらが順序よく滑って上に乗っているものを運んでいるのだ。

 


 「りーくん、そろそろ終わる?」

 「ううん、もおちょっとぉ~~!」

 わふわふ、わふわふ

 ぴぃぴぃ

 

 

 小さい子達が騒いだそばから帯がうねり、形が変化して上下の高低差が激しくなる。

 また、悲鳴やら歓声やらが上がった。

 人形もリルファ達に合わせて、それぞれ楽しそうにうごいていた。

 先ほど人形積みをしているときは動かなかったから、こんな風に動いてほしいときは動けるようにしているのだろうか?



 はじめてからけっこうな時間が経ってるのだが、りーくん達は飽きないようで、黒狼はさっきのやり取りを何回も続けていた。

 でも、さすがにそろそろ限界じゃないだろうか?

 だんだん速度が上がっているんじゃないか?と黒狼は心配になってきた。

 小さい子達の笑顔を見ていたら心苦しいけど、そろそろ止めないと。

 黒狼は両手をたたき、大きな音を出した。

 「はい、そろそろお昼になるで~。りーくんお昼は何をする時間やろか?」

 「あっ!わすれてた~。ごはんのじかんだぁ~」

 リルファの声が合図になったのか、速度が落ちてゆっくりになる。

 やがて止まるかとおもいきや、帯が真っ直ぐ休憩用のテーブルの上に伸びてリルファ達をやさしく下ろした。

 リルファに続き人形も下りると、帯はひとりでにきれいに折り畳まれ箱の中に着地した。


 「はわぁ~。すごいねぇ」

 リルファはわざわざ箱の中をのぞきに行く。

 「片付けるの大変かと思ってたから、助かったわ」

 黒狼も箱の中を確認する。

 帯はコンパクトに収納されていた。

 使うときも空中に放り投げるだけって、きっと小さい子でも簡単に使えるようにしているのだろう。






 「ろーくん、ちいさいおうちのこ、トリさんだったねぇ」

 「たぶんそうやろなぁ」

 中庭にご飯を食べに行こうと、りーくんを頭に子狼達を両肩に乗せて黒狼は歩いていた。

 人形は片付けておきたかったけど、青い鳥のこともあるしテーブルにそのまま置いてきた。

 箱の横に人形がきれいに並んでいたから、すぐに片付けなくても大丈夫だろう。

 室長と銀狐はとうぶん帰る予定はない。


 帯の上で滑って遊んでいるリルファ達と一緒に遊んでいた、人形のふりをしていた青い鳥。

 人形は話したり鳴き声をあげないのだが、きっと本人も気付いてないのだろう。

 あまりのスヒードとスリルに、ぴぃぴぃと音が出ていた。

 もしかして、騒がしいし黒狼達が何にも言わないので気付かれていないと考えていたのか。


 黒狼とリルファは、青い鳥がこちらに話しかけて来るまで様子を見ることにしていた。

 遊んでいる時も、ときどきハッとしたように動きを止めて人形の振りをしているのを見てしまったので、何にも言えなくなったのだ。

 

 「ひとりはいやなのよぉ」

 リルファはいつもの気の抜けたような話し方だか、黒狼の耳をつかんでいた手に少し力が入った。

 「・・・今は、ひとりじゃないで」

 「あい・・・」

 ひとりの寂しさを知っているからこそ、知らんぷりは出来ない。





 「りーくん、もうちょっとがんばれ!」

 「あい~」

 むぅ~~~~~

 わ、わふ・・・


 今、リルファと子狼達は並んで座ってご飯の最中である。

 小さい子達は頭がぐらぐらして、寝てしまいそうになっている。

 どうやら騒ぎすぎて疲れてしまったようだ。


 リルファは一生懸命に目を開けようとするあまりに、少しこわい顔になっていた。

 目が、開けていられない。

 油断すると、まぶたがくっつきそうなのを我慢していたら、半眼になり眉間にはぎゅっとシワが出来てしまうのだ。

 ねむい、しかしご飯を食べないといけない。


 ぐうぅ~~きゅるるるぅ~~

 リルファのお腹の虫がお花ご飯を食べろと催促していた。

 これがなかったら、速攻で寝ていたはずだ。

 子狼達はひとつだけ食べたら、即寝てしまった。

 リルファは不味いものでも食べているような顔で、やっと最低限の量を食べるとそのまま動きを止めてしまった。


 むぅ~~

 「り、りーくん」

 黒狼はそっと呼びかける。

 ね、寝てる?

 リルファは口をむにゃむにゃしていたかと思うと、こてんと横に倒れた。

 横に子狼が寝ていたが、かーくんは動じることなくそのまま寝ている。

 黒狼はこうなることを予想して持ってきていたバスケットに、小さい子達をそっと寝かせた。

 リルファのお腹の虫もとりあえずは納得したようだ。


 

 今日はとりあえず、黒狼はこのまま部屋に帰ることにした。

 リルファ達が自分達で遊んでくれていたので、用事がほとんど済んでしまったのだ。

 

 小さな青い鳥は、部屋の壁にくっついてる小さなお家の主だと黒狼は思う。

 リルファもそう思っているようだ。


 青い鳥は黒狼の両手に乗ってしまうリルファより、小さい。

 ふわふわの羽毛は雛の羽のようだ。

 何の鳥かわからないので推測でしかないが、幼いような気がする。

 リルファ達と楽しそうに遊んでいたし。

 今までは大人達ばかりなので、警戒してあの家から出てこなかったのだろう。

 だけど、リルファ達の声を聞いたら我慢できなくなったのかもしれない。


 青い鳥はひとりというか、一匹だけだろう。

 仲間がいれば、あんなところにこもっているはずがない。

 

 なぜか、暗いところで羽毛をふくらまして寒そうに一匹だけでポツンとたたずんでいる光景が浮かぶ。

 

 明日、リルファ達が遊んでいたらまた出て来てくれるだろうか?

 

 

 

今のところ週2日くらいのペースで更新しています。

いつも、ありがとうございます。

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