表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/28

17



 「こんにちはー、だれかいませんかぁ」

 リルファは壁にくっついている、小さなお家の小さな扉をノックしてみた。

 返事はない。


 「ろーくん、だれもいないみたい」

 リルファが羽をぱたぱたさせながら、黒狼の所に戻ってきた。

 「そうみたいやね。じゃあ掃除をさっさと済まして、皆で遊ぼうか」

 「ほんとにぃ?」

 わーいわーい

 わふわふ、わふわふ

 リルファと子狼達は喜んで大はしゃぎした。

 やっぱり掃除より遊ぶ方が楽しいよなぁ、とちょっと安心した黒狼だった。


 

 「はわぁ~~~か、か、かわいい~」

 わふわふ!

 リルファは両手をほっぺにあてて、目はきらきらと箱の中身にくぎ付けになっている。

 子狼達もリルファのまわりを走り回り、大騒ぎだ。



 この箱、銀嶺がリルファにと持たせてくれたものだ。

 「ろーくん、じぃじぃがねぇ、これであそびなさいってくれたんだよぉ~」

 リルファよりずっと大きな箱は黒狼が運んだのだが、大きさの割には軽くて何が入っているのか想像がつかなかった。

 木で出来ている箱は白色で優しい色の小さいかわいいお花の模様が全面に散らされている。

 

 リルファや子狼達では開ける事が出来なくて、黒狼が開けるのを邪魔にならないように、でも一番に見えるであろう所に浮かんで覗きこむようにして待っている。


 わくわくわくわく

 「じゃぁ、開けるで~」

 わくわくわく・・・・オープン!



 

 箱の中には狼、猫、トラ、鳥などかわいく形作られた人形が入っていた。

 細部は忠実に再現されているが、かわいさを損なうことはなく作者のこだわりが見える。

 リルファは箱の中に入りこみ、人形に埋もれている。

 子狼達は箱の縁にあごを乗せて、尻尾をふりふりしながらリルファのようすを見ていた。


 人形はリルファの頭くらいのものから、手のひらくらいのものまで、いろいろな大きさのものがあった。

 小さい子達が遊ぶからだろう、全て羊毛のようなもので作られている。

 『たぶん、やわらかい羊毛を丸めて針でひたすらチクチクさして形作るやつ』

 黒狼は以前薔薇さまのところで見た、羊毛の人形作りのことを思い出した。

 

 「ろーくん、おにんぎょうかわいいねぇ。なにしてあそぼぉ」

 「うーん、悩むなぁ。あ、手紙が入ってる・・・・・・えーと、『人形の遊び方』りーくん、ここに遊び方書いてあるわ」

 「ほんとぉ、ろーくんみせて~みせてぇ~」

 リルファが人形を小脇に抱えたまま、ぱたぱたとやって来る。

 黄色いまんまるい鳥だろうか?


 広げた手紙をリルファと黒狼でのぞいていると、子狼達やって来てのぞきだした。

 子狼達、文字は読めるのか?

 ちなみに、リルファは読めているようだ。

リルファが読みながらウンウンうなづいていると、子狼達も何やらわふわふ言っている。

 黒狼は言葉をはさまず、小さい子達に任せる事にした。


 

 「じゃあねぇ~つぎは、ぼくのばんねぇ~」

 リルファが箱の中から人形を選ぶと、羽をぱたぱたさせて飛びながらテーブルの中央に持っていく。

 そこには人形がごちゃごちゃに、今にも崩れそうなのに絶妙なバランスで積まれていた。

 リルファはその上にまた人形を乗せようとしている。

 ドキドキドキドキ

 「ここかなぁ。・・・あっあぶない!きゃぁ!」

 

 ドキドキドキドキ

 黄色いトラさんの人形を、黒い猫さんと赤い鳥さんの上に乗せようとしたのに、赤い鳥さんがグラリと動いてしまった。

 

 「あぁ、あぶなかったぁ~。ふ~~。ろーくん、ドキドキするねぇ~」

 わふわふ、わふわふ

 子狼達も自分達が次に乗せる予定の人形をそばに置いている。

 なんと、子狼達も人形を積む積む遊びに参加しているのだ!


 「りーくん、あわてなくていいからソーッと乗せるんやで」

 「あいっ。そーっと、そーっとねぇ~」

 ドキドキわふわふドキドキわふわふ

 よいしょ

 なんとか置けた?


 「わ~~い、わ~~い」

 人形の一番上には黄色いトラさんがちょっと斜めになって、それでもきちんと乗っていた。

 1個人形を乗せるたびに、リルファと子狼達は大喜びできゃっきゃ言いながら走り回る。

 だれがたくさん乗せられるかという競争ではなく、どれだけ皆でたくさん積めるかという挑戦なのだ!

 

 「ふ~、緊張するなぁ。なかなか侮れん。次はかーくんか?」

 わふわふ

 人形は高く積みあがってきていて、そろそろ危ない感じになってきている。

 崩れそうでドキドキするけど、どれだけ高く積めるか考えるだけでわくわくしてくる。


 かーくんは自分よりも大きな人形を引きずってきた。

 何それ!

 皆で?と考えてしまう。

 『くじら』手紙には動物の絵と名前も書かれている。

 黒に白いお腹の魚みたいな大きいのは『くじら』と言うらしい。

 「りーくん、『くじら』さんやって。実物はお家くらい大きいらしいなぁ」

 かーくんはよいしょ、と口でくじらさんの尻尾をくわえると、人形積み積みの方に運んで行く。

 「はわぁ~、くじらさんおおきいのぉ。かーくん、がんばれぇ~~」

 わふわふ

 あっ!

 きゃあ~~!


 かーくんはリルファの声援に答えて『わふわふ』と返事したためくじらさんが落下した!

 人形積み積みのすぐそばに!


 「あ~~びっくりしたぁ」

 「ほんまに・・・・・・」

 ・・・わふわふ

 それでもくじらさんを選ぶのね。

 ドキドキドキドキ

 

 子狼は今度は慎重に乗せる場所を考える事にしたようだ。

 人形をその場に残し、人形積み積みの周りをぐるりとまわり、どこに乗せるか考えている。

 ちょっと時間がかかるようなので、黒狼は箱の中にどれだけの人形が残っているのか確認することにした。

 すでに10個以上使ってるのに箱の中にまだ同じくらい残っている。


 『あれ?』

 箱の外に青い鳥さんが落ちていた。

 『だれか落としたっけ?・・・・・・・・・!』

 人形を拾おうと手を伸ばしかけ、止めた。

 この人形はアレだ!


 黒狼はあわててリルファを見る。

 リルファもじーーーっと青い鳥さんを見て、黒狼を見てこくりとうなづいた。

 

 黒狼もうなづいた。

 青い鳥さんはアレだ。

 

 間違いない。

 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ