12 おいしいごはん
遅くなりました
さて、ごはんの続きである。
布を敷きおわったら、皆で布の上に座る。
もちろん、くつを脱いで。
りーくんはほとんど空を飛んでるし、小さいからくつは履いたままでいいと黒狼は言ったのだが。
りーくんはくつを脱いで、きちんとそろえるのだ。
小さい子がちまちま動いてるのって、なんてかわいいんやろ。
黒狼が内心そんな風に思ってにこにこ見ていたら、突然りーくんの動きが止まった。
じーーー
りーくんは子狼達をじーーーっと見ている。
じーーー
子狼達も見られてちょっと固まっていたが、どうしていいかわからないのだろうソワソワしだした。
「りーくん、あーくんとかーくんがどうかしたん?」
りーくんはくるりんと振り返り黒狼を見た。
眉がへにょりんと下がっている。
「あーくんとかーくん、おくつぬげないの・・・」
ここで笑わなかった黒狼は、自分をほめてあげたいと思った。
いや、くつを脱ぐのは汚れるからだとりーくんに説明はしたけど・・・。
子狼達はりーくんがくつのことで悩んでいるのがわかってるらしく、足を交互に上げたり下げたりして困ってるようだ。
黒狼はりーくんの頭を優しく撫でた。
「りーくん、大丈夫やで。あーくんとかーくんはくつ履いてないから、足の裏ふいてあげるわ」
黒狼は背中のリュックから取り出した。
ちゃらららっちゃら~♪
おしぼりですけどね、りーくんあんまり期待しないで困る。
子狼達の足をおしぼりで丁寧にふいてあげる。
ほら、ちゃんと足を自分で上げてくれるし、簡単に済んだよ。
ちなみにリュックには、子守り必須アイテムがたくさん入っている。
薔薇さまのお姉さまが用意してくださったものだ。
お姉さま達は、華やかで美しい上に優しく淑やかな方々だ。
今回、薔薇さまから黒狼が子守りをすることを聞いて、いろいろ揃えてくれたのだ。
こうして思わぬ人から気にかけてもらったりして、黒狼は自分一人ではなく皆に助けてもらって子守りしてるんやなぁ、と思ったのだ。
足がきれいになったので、子狼達も布の上に落ち着いた。
次こそ、ごはんの用意だ。
りーくんはいつも肩から掛けているお花のポシェットから、ボウルを取り出した。
じゃーん!
パチパチパチパチ
わふわふわふわふ
かわいいお花柄の、りーくんにとっては、大きなボウルだ。
だって、りーくんがすっぽり入るくらいの大きさだから。
どうしても、自分のポシェットにしまうと言って、きかなかったのだ。
軽々と扱っているから、大丈夫だろうが。
そして、出すたびに得意げな顔をするので、黒狼は毎回拍手をしている。
それから、もう一度ポシェットから小さな杖を出す。
りーくんの手首からひじ位の長さのものだ。
杖の先にはこれまた小さなかわいいお花がついている。
りーくんは杖をかまえて、子狼達と共に踊りだす。
ボウルの周りをまわりながら。
歌いながら。
ランランランランランララ~ン~♪
ぼくのぉ~おいしいぃ~おはなぁ~ごぉはぁん~♪
とってもぉ~おいしいぃ~おはなぁ~ごぉはぁん~♪
だれでもぉ~たべられなぁい~おはなぁ~ごぉはぁん~♪
おいしいぃ~おいしいぃ~おはなぁ~ごぉはぁん~♪
ボウルの周りをまわる、りーくんの体が浮いていく。
ぱたぱたぱたぱた
背中の羽をぱたぱたさせて。
子狼達はそのままボウルの周りをまわっている。
ある程度の高さになると、ピタッと止まる。
このタイミングが微妙で、子狼達もりーくんが止まるのと同時に止まる。
足が上がっている時は上げたまま。
ランランランランランララ~ン~♪
おいしいぃごはん~たのしいぃ~ごはん~♪
たっぷりぃ~たべたいなぁ~♪
呪文のように歌っているりーくんは、杖を下にお花のボウルに向けてくるくるくるりんと、まわしはじめた。
きらきらきらきら
きらきらと共に花びらが降ってくる。
りーくんの顔ほどもある大きめの花びら。
ふわふわふ~んわり
ふわふわふ~んわり
ボウルにこんもり入ると、最後にきらきらが降ってきて終了。
りーくんはくるくるくるりんと軽やかな足取りで降りてくる。
子狼達は足がプルプルしている。
足、止まった時に上げたまま、終わるの待っているのだ。
ず~っと。
プルプルプルプル
りーくんはボウルに向けて一礼、黒狼に一礼する。
子狼をナデナデ、子狼達もやっと足を下ろした。
何だろうね、慣れ?タイミング?早くピタッと合うようになればよいのにねぇ、頑張れ!と黒狼は心のなかでエールを送った。
やっと本当に、ごはんの時間になりました!
りーくん、かーくん、あーくんの順に並んで待っています!
かーくんとあーくんの順番が違うのは、あーくんが順番を譲ったからで、黒狼は思わずあーくんをナデナデしてしまった。
その後で、りーくんとかーくんもナデナデ。
そう、みんないっしょ。
黒狼はお花ごはんをトングでつまむと、りーくんに。
「はい、どうぞ」
あーん
ぱくっ
でも、ひと口で食べられないから手で持って、後はゆっくり食べている。
シャクシャク
モグモグ
にこにこ
次はかーくん
ぱくぱくっ、ゴクン
あーくんも
ぱくぱくっ、ゴクン
わぅわぅ
あー、狼はよく噛めないから仕方ないなぁ。
りーくん達には大きくても、小さいボウルだからごはんは、あんまり入っていない。
ゆっくり食べてもすぐに終わる。
最後に残った1枚は
「あい、ろーくん、あーん」
「りーくん、食べへんの?かーくん、あーくんは?」
小さい子達は優しいので、おいしいごはんを大好きなろーくんにもあげたいのだ。
「ごはん~とっても~おいしかったね~♪」
「ほんとにね」
わふわふわふわふ
おいしいおはなごはんは、とっても美味しかったようだ。
みんなで大満足して、ごはんの時間は終了した。
帰りは黒狼は静かにそっと歩く。
小さな子達は、頭と肩の上にいない、黒狼の尾に巻かれて寝ているのだ。
食後に、黒狼の尾で遊んであげたらりーくんがとっても喜んだ。
子狼達までも。
「ろーくん、ふわふわふんわり~だねぇ~」
わぅわぅ
尾で皆を巻いてあげて上げたり下げたり、自分達は飛べるからちっとも怖くはない。
皆でいっしょくたにふわふわにつかまって、きゃっきゃ言うのが楽しかったようだ。
あまり重くはないけど、ちょっと一休みしているといつの間にか、りーくん達が大人しくなっていた。
一人と二匹はぎゅっとくっついて寝ていた。
りーくんは特に、最初から最後まではしゃいでいたから疲れちゃったんだろうなぁ。
寝る子は育つって言うし・・・りーくん達、育つのか?
むしろ、縮んでないか?
子狼達、はじめて会った頃はもっとシユッとしていたような気がする・・・黒狼はちょっと悩んだ。
「今度、身長と体重はかろう」
たしか、子守り必須アイテムの中にいろいろ入ってたはず。
小さい子達はまた、きゃっきゃ喜びそうだなぁと楽しみな黒狼だった。




