序
おう、そこのお前、そうそうお前じゃ。
そこでぼけーっとしておるお前。
なになに? 子供がとらっくにひかれそうになったから、助け出そうと身代わりになって、確かにひかれたと思ったのに気が付いたらここにいた?
……ああ、たまにあるらしいの。
そして、はじめは異世界転移だ、ラッキー! と喜んでいたが、言葉も通じずどうしていいかわからす立ち尽くしていたと。
……ふむ。仕方ない、ここであったのも何かの縁じゃ。
しばらく面倒見てやるわい。
なに? わしが誰か? どうしてわしだけがおぬしの言葉がわかるか? そもそもこれはどういう状況か?
ええい、一遍に聞かれても答えられんわい。
とりあえずわしは……魔術師マーリンとでも名乗っておこうかの。
……いや、おぬしの世界で有名なあれではない。
だが同じくらい魔術に通じておるのは確かじゃぞ。
なに? 弟子入りしたい?
ふむ……まあ、それ自体は別に構わんが……
なに? 異世界なんだから便利な魔法を覚えたら無双できるに違いない?
……はぁぁぁ……
まあよい、このまま放っておいた碌なことにならんじゃろ。寝覚めが悪くなりそうじゃし、いいからついてくるがいい。
いいか、まずはじゃな……