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第1話~はじめの一歩

ある女性を助けるために

自ら少年院にはいった主人公

彼の未来はどうなるのだろうか…

第1章~はじめの一歩



「ふぅ~っ、風が気持ちいいっ~」





その男はその場で大きく手を伸ばして背伸びをし

深く深呼吸した



「くぅ~っ、たまんねぇ~」




何度か背伸びをしたあと、眩しい太陽の光を

片手で塞ぎながら見つめていた



「自由っていいな」




ぽそりとつぶやいたあと、少ない手荷物を肩にかけ

その男は歩きだした


男の名前は神林正義かんばやしまさよし

仲間からはせいぎという愛称でよばれていた


地元ではちょっと有名なやんちゃなグループの長だった

普段はゲーセンに入り浸ってタバコを吸っていたり

ちょっとした喧嘩に巻き込まれたり

人の集まるところで自警団と称してパトロールを

していた位のかわいいグループだった


だが神林が

一人の女の子の万引きを目撃してしまい

自分がやったことにして逃げ

店長に軽い怪我をさせてしまい捕まってしまったのだ



あれから半年が経った

神林は少年院を無事に努め上げシャバに出てきたのだ



「やぁ、君かい?神崎正義くんは?」



太陽を見上げ立ちすくんでいた神崎に

1人の中年が声をかけてきた


神崎は怪訝そうな顔でその中年をにらみつけた



「私は更生保護施設【ファミリー】の

尾上泰介おのうえたいすけといいますが

挨拶が遅れて悪かったね

さぁ、行こうか…」



神崎には両親はいなかった

いやいないというより神崎を捨てどこにいるかも

わからないのだった

唯一居場所がしれた母親も

実の息子にもかかわらず

引受人の役を断ったのだ


神崎は実質的に世の中で一人ぼっちだった


仕方なく

少年院が用意した更生施設のうちの1つを

選ぶことになったのだ



神崎は何も言わず立ちすくんでいる



「少年院は退屈だっただろう?

施設はここから車で2時間かかるから

寝ててもいいよ、ほら、乗った、乗った」



せかすように尾上は神崎の背中を押した


「触るなよ」


神崎はまだ人と触れ合うことに戸惑っていた


「おいっ!これからお世話になる人に

そんないい方はないだろ?

お前中で何を教えてもらってきたんだ?

そんなこといってられないんだよ

わかったか?

お前が一人でやっていけるようになるまで

俺には責任があるんだよ

今は優しい口調だけどお前の態度次第では

こっちにも考えがあるからな

俺に従って自由を勝ちとるか

俺に逆らってまた自由を失うか

お前次第だよ

ほら

まずは車に乗りなさい」



神崎は尾上に押されるままに車の後部座席に

座った



施設についたときはすっかり陽が落ちていた

少し田舎の森林の多い小高い山がある場所に下ろされた


「ここが【ファミリー】だ

ここに入ったらみんな家族だからな

家族に迷惑かけるようなことするんじゃないぞ」


神崎は相変わらず無言だった

車の中でも終始無言で外の景色を見つめていた

だけだった



「おーい

みんな集まれ~

新しい家族のご到着だぞ~」


尾上が大声で施設の玄関で叫ぶと

ぞくぞくと人が集まってきた


「ほら、自分で自己紹介くらいできるだろ

赤ちゃんじゃないんだから」


そう言われ背中を押されみんなの前に出された神崎は

戸惑いながらも、腹をくくって声をだした



「神崎正義です

 よろしく…」


「よろしくー」

「なんかかっこいーじゃん!」

「宜しくお願いしまーす」

「おぉ、よろしくたのむわ~」


沢山の声が神崎に飛び交った


「ここにいる奴らは10代~30代までの男女だ

みんな少年院、刑務所を出たやつらだ

ここにいる期間もそれぞれだまだ1ヶ月位のやつもいれば

3年以上のやつもいる

ここは民間の施設だからちゃんとしたとりきめはないんだよ

お前が出たいときに出ればいい

但し、半年はいい子でいなきゃ出れないからな

保護観察期間なんだ

半年いい子でいたら解除の検討をするよ

もし半年しても世に送り出せないと思ったら

最低1年はここにいてもらうことになるな

規則で決まってるんだ

お前だって早く出たいだろ?」


神崎はこくりと頷いた


「やっと俺の言葉に反応したな

よし

じゃあ今日はお前の歓迎パーティーだ

部屋は大部屋だ

おい、誰か案内してやれ

すぐに夕食の時間だから

それまで大部屋で慣れておけよ」


そういうと

尾上は台所のほうへと立ち去った



「おにぃちゃん、こっちこっち」

突然、神崎の手を握って大部屋へ移動する

小学生位の子供がいた


神崎は(人なつっこい子だなぁ)とすこし心が

穏やかになったが、表情は無表情のままで無言だった



大部屋へとつてれこられた神崎は正直落胆していた

やっと塀から出て自由になれたと思っていたのに

まさかの団体生活

一人部屋さえ与えてもらいえないのかと


神崎の心の叫びを察したかのように

大部屋にいた一人の男がぽつりとつぶやいた


「問題さえ起こさなければ1カ月おきに

部屋移動があって大部屋⇒2人部屋⇒1人部屋に

移っていけるぜ

まぁ1人が寂しくてずっと大部屋にいるやつもいるがな」


神崎は少し安堵した

少なくとも半年はここにいなければいけないから

できれば早く1人部屋を勝ち取りたい

そう心に決めたのだった



夕方になり神崎の歓迎パーティーが行われた

ケーキにチキンにハンバーグにカレー

まるで誕生日会のようなパーティだったが

ちゃんと飾りつけもしてあり

歓迎 神崎正義の文字もあった


自分のことで他人がここまでしてくれたことが

今までなかった神崎は少し涙腺が緩みそうになっていた

しかし相変わらず心閉ざしたままその日のパーティーは

終わった…



それから1ヶ月

神崎は少しずつ心を開きながら

まわりの人との距離をつめていた

それは心から嬉しくてではなく

ただただ1人部屋を勝ちとることを目標にしてだけだった


だから

みんなと溶け込んでいるようにみえて

どこかそっけない態度が続いていた


そんな中、初日に手をとって案内した小学生の子供だけが

神崎に冷たい態度を取られつつもなついていた

その子の名前は横井翔太

この子は少年院を出たわけでもなく

ただ身寄りのない子を尾上が引き取った子だった


1ヶ月後の部屋替え会議の日

神崎は1ランクアップの2人部屋を希望したが

尾上は断った


真面目に売り物をつくる作業をしてきた

掃除洗濯なども進んでしてきた神崎だったが

さすがに感情を抑えきれず

机をたたいて院を出て行ってしまった


「お兄ちゃん」

横井が心配して追いかけていきそうになったが

尾上が横井をひきとめた



「そっとしといてやれ」




神崎は裏の森に入って

ひたすら歩いていた


「俺は何のために頑張ったんだよ

 誰のために頑張ったんだよ

 認めてくれないのかよ…

 所詮大人なんてそんなものだ…

 くそぉ~!!!」



森中に神崎の悔しい声が

切なく響いた…


最初ブログでは序章と1話をわけて書いていたのですが

序章部分が短すぎたため一緒にしました

まだ主人公しか出てきていませんが今後1人ずつ主人公と

出会っていき形を変えて世間と戦っていきます

続きものですのでまた読んでいただけたら幸いです

読んでいただきありがとうございました


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