月
季節は、ずれて仕舞いましたが…
プラトニックな淡い二人の恋を星に纏わるエピソードになぞらえて行きます。
お楽しみ下さい
こんなに冷え込みのキツイ夜
今…僕の横で
静かに寝息を立てている。
絵里とのエピソードが頭をよぎる。
僕らがまだ…
高校生の頃…
誰もが認める恋人同士だった。
が
絵里は愛を確かめたいのか…
僕にみんなの前で
デートに誘って…
と
恥ずかしがり屋の
僕には難問とも言えそうな、おねだりをしてきた。
絵里に愛を示す為には期待に応え無ければいけず
必死にその方法を模索した。
ある朝、学校に着いた絵里は…
黒板に大きく書かれた。
月の一文字を見つける…
その横には…
照幸…
の名前が…
照幸の仕業だとは
誰がみても一目瞭然なのに…
意味が判らない…
照幸に聞いてみても教えてくれない…
その日…
絵里は一人で家に帰った。
夜の8時をまわった頃…
何気なく窓の外に目をやった絵里は
玄関の外に白い息を吐きながら寒さに耐えて、立ち尽くして居る照幸を見つけ
『何やってんのよ』
と声を掛けた。
絵里の声に応えた
照幸は
『今日…黒板に書いてただろ…
絵里をデートに誘いに来たんだよ』
『ちょっと待ってよ』と絵里は台所で
熱々のココアを
照幸の為に入れ
上着を一枚羽織り
玄関の外へ出た。
差し出されたココアで手を暖めたあと
一口啜り…
『美味い…』と
一言呟いた。
じっくりと、温もりを確かめる様に
ココアを飲み干した照幸は…
『さあ…絵里…
公園のベンチへ
行こう。と
絵里を誘った。』
誘われるままに
照幸の後に付いていき。
公園のベンチに二人で座り
ただ…
月と星を眺めていた。
照幸の左手が…
絵里の右手に重なる。
静かに二人きりの時間が流れた。
一時間程そのままに二人だけの刻が過ぎた頃…
『絵里…今日はもう帰ろう…』
意味不明の行動に戸惑う絵里…
これが…デート?
色んな考えがよぎる内に…
絵里の家の玄関に着いた…
『じゃあまた明日』と照幸は帰って行った…
次の日の朝…
黒板には
星 照幸と
書いてあった。
星とは?月とは?
謎の文字を黒板で絵里に告知する照幸…
その真意とは?