始まり方
誤字 脱字等々がございます。
読みにくいとは思いますが暇つぶしにどうぞ。
更新は不定期になりますが、なるべく早めにとは考えています。
感想等々もご自由に。
どうぞよろしくお願いします。
蝉時雨とはよくいったもんだ。
まるで降ってくるかのような虫の鳴き声が聞こえる8月の午後。
所々錆びた二階建てのアパート飛越荘の一室で今年大人の仲間入りを果たした男、祷 達也
何もかもパッとしない容姿。少し長めのスポーツ刈り。若干太めの体。そこに浪人のタグがつけば誰も見向きもしないそこいらの若者。
大学受験に悉く失敗し、今日も今日とて勉強もせず、平和な夏を満喫していた。
「今日も何でもない一日だったなぁ」
部屋の小さな窓辺で暇そうに一人ごち、ゲームや漫画を楽しみ、時刻は午後11時。
「はぁ・・・お休み」
誰とも会わず、外にも出ず、半引きこもりな生活はこうして一日を終える。
決して引きこもりがしたいわけではない。
外にでるのが恐いだけだ。
・・・言い分はあるのだ。
とにかく悪いことしか起こらない。
買い物に行っては不良に絡まれ、なんとか逃げ切れたと思ったら今度は野良猫に追いかけられる。
猫に追いかけられる人をあまり聞いたことがない。
ボロボロになりながらもなんとか帰宅した昨日はもうさんざんだった。
なので今日は一歩も外に出なかった。
今や家から出なくても食品や日用品を手に入れられる時代。
布団に入り、糸で延長したスイッチを引っ張る。
達也はいつも寝つくまでの時間は妄想に耽っている。
今まで見たアニメや漫画、ゲームの世界に自分を登場させ、そこで大活躍する。
いろんな人に喜ばれ、賛辞を受ける自分。
頼られる自分。モテる自分。
そういうモノになるのだ。
そうなりたいと思ってもなかなかなることができない自分が突然ヒーローになる。
漫画やゲームより、とても満たされる時間。
いつものように妄想に耽りながら徐々に眠気に身をまかせた。
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ふと、目をあけてみる。
真っ白。
首を左右に振っても真っ白。
どこまでも続いていそうな真っ白な世界。
「なんだ・・・ここは・・・」
現実ではありえないような世界にここは夢の世界だと思わせる。
目が痛くなるような空間で、ある意味目立つ、特異な所をみつけた。
小さな点。
何かはわからない。
形も色もわからない。
しかし この空間で他に変わったところはない。
「ふ~ん・・・」
とりあえずそこに行ってみることにした。
何の音も聞こえない。
自分の足音も聞こえない。
進んでいるのかもわからない。全てが白い世界は移動の感覚を鈍らせる。
上も下もわからない。
まるで目をつむって歩いているようだ。
夢なのに頭がおかしくなりそうだ。
2 、3分ほど歩いたころ、ようやく点の形が変わってきた。
さらに近づく。
小さな点は見覚えのあるものに形を変えた。
それは猫の手のひらだった。
「は?」
頭も真っ白。
「意味がわからない」
思わずつぶやく。
夢の中だからなんでもありだとは思うが、なぜに猫の手・・・
「・・・あ」
ある。見たことある。
これは部屋にあったぬいぐるみだ。
間違いない。
洋服ダンスの上に置いてあったぬいぐるみのキャットだ。
キャットとはキャットフットの略。
命名は俺だ。
「なんで夢の中に・・・」
すこしの間腕を組んで悩んでいると
「おい」
「!!」
声が聞こえた。
声変わり前の男の声。
キョロキョロとあたりを見渡す。
しかしだれもいない。
「どこ見てんだ」
「!どこだ!!」
いくら探しても声のぬしは見つからない。
「お・ま・え・は少しは察しろよ!」
「ごぁ!」
何かに頭を殴られる。
「な、なんだ?」
頭を擦りながら音の方へ向いてみると
ネコの手が浮いていた。
「・・・」
よし、驚くのは辞めよう。
これは夢なんだ。いちいち気にしていたら身が持たない。
よく見てみると、ねこの手のひらには顔があった。
猫の顔が手のひらにある。
感想は一言で
「かわいくねぇ」
「ほっとけだ!」
肉球で殴られた!
なんだこいつの肉球!?やわらけぇ!!
少し落ち着いた肉球は開口一番に
「異世界に行くぜ」
「説明なし!?」
「夢だからいいだろ」
「じゃあいいよ」
「いいのかよ!?」
よくわからん肉球だが悪い奴ではないらしい。
「それでは説明よろしく」
肉球はふわふわ浮きながら咳ばらいをひとつ、
「よく聞け。今からお前には異世界ガルガントに行ってもらう。理由は単純。呼ばれたからだ。そして世界を救ってこい。以上。質問は?」
達也は手を上げる。
「誰に呼ばれたんだ?」
「いけばわかる」
もう一度手を挙げる。
「何故俺なんだ」
このシチュエーションで言ってみたかったセリフNo.3。
「運」
「元の世界に帰して下さい」
運ではダメだ。
ゼッタイ だめ だ。
不幸な自分に「運」関係はフラグでしかない。
もちろん死亡フラグだ。
夢だからって死にたくはない。
「恐いので帰して下さい」
「いきなり弱気だな!?」
これには肉球もびっくり。
「俺は今までタンスの上からお前を見ていた。そしてお前ならできると確信した」
「さっきと言ってること変わってないか?」
訝しげな目で見ると
「・・・実はな」
と語りだす肉球。
「俺はぬいぐるみであって ぬいぐるみではない」
見ればわかる。
「俺は異世界ガルガントから来た妖精だ」
「異世界の手先じゃねぇか」
「なんでも悪い方に捉えるんじゃねぇ!」
喝を入れる肉球。
「俺はとある理由により、この世界にやってきた。そして たまたま おまえのぬいぐるみに憑依した」
もはや幽霊と変わらない。
「そして達也。お前のことをずっと見てきた。安心しろ。お前には才能がある」
言われてみたい言葉no.1がここで登場。やべ、テンション上がる。
「ガルガントではお前の力が必要だ」
「だが断る」
肉球が空中でずっこける。
「おい!」
俺は首を横に振りながら言う。
「たとえ夢でも不幸は嫌だ。夢ならもっといい夢を見させてくれ」
そう、現実で不幸なことがたて続けに起こる星の下に生まれた達也だからこそ言えること。
肉球が疑問を投げかける。
「所詮は夢なのになぜここまで嫌がるんだ?もっと軽く考えろよ」
それは達也にも不思議だった。なぜだか今度の夢は夢に感じない。その感覚が理由。
しかし肉球の次の一言で事態は変わる。
「ガルガントに行けば英雄になれるのにな」
ピクッ
何?英雄だと?
反応を見せた達也を見て、肉球はたたみかける。
「モテモテになれるのに」
トドメだった。
「行こう、異世界ガルガントへ!」
そういうことなら話は別。
やっと俺の夢っぽくなってきたぜ!
現実では得られなかったモノを得ようではないか。
俄然ワクワクしてきた達也を見て肉球はほくそ笑みむ。
「なら、善は急げだ。すぐに行くぞ!」
心変わりする前にと肉球は人を飲み込める程の大口を開ける。
「さぁ、入れ」
言われるまま口に入る。
口の中は真っ暗だったが恐くはない。
所詮は夢。
どうにでもなるという気持ちが達也の背中を押す。
そして完全に入ると肉球は口を閉じた。
そして達也に襲いかかる眠気。
それがガルガントに行く方法だと直感で感じる。
そして夢で眠るという不思議な体験を経て、達也は旅立つ。
行き先は異世界ガルガント。
そこで待っているのは幸せか。はたまた不幸か。
既に走り出したのならもうどうしようもない。
あらゆる世界の一つの物語が始まったのだ。
読みにくいなか、最後まで見ていただいてありがとうございます。
とりあえずが出来ました。
まだ、恋は登場してはいないのですが早めに出てもらう予定です。
次を早めに出せるよう努力します。
次もよろしくお願いします。