プロローグ
ジャンルが難しかったけれど、ファンタジーかな。
初投稿です。
五月病――。
学校や社会生活の中で昨日まで仕事に邁進していた人がある日、突如として魂が抜けたかのように、やる気をなくしてしまう事、俗に言う無気力症候群と言われている病気の事だ。
最近は、その五月病が集団感染症のように至る所で起こっている。
それらの五月病患者達の発生場所に共通点があるとすれば、それら全てはオフィス街の近辺で起こっている事。
そして昨日まで仕事していた人間が翌日突然に五月病になるという訳ではなく、日常生活の最中、操り人形の糸が切れたかのように突然に無気力症状になるとい風情だ。
メディアは揶揄するようにその事件を操り人形症候群と銘打って近頃のニュースは、その話題で持ちきりだ。
メディアは、無気力症候群と操り人形症候群を一連の同一の事件として断定しているけれど俺にはどうもその二つの事件が同じ事件だとは思えない。
何にせよその二つの事件を同一の事件をと断定してしまうのはどうかと思う。
そもそもが本当にこれが“事件”なのかどうかそれすらも謎だというのにその謎を究明すべき警察は、事件が発覚した三ヶ月程前でこそ忙しなくオフィス街の立ち入り規制までして捜査をしていたが、ある日突然に立ち入り規制を緩和し、忽然と警察官の姿も見受ける事がなくなった。
そこから先は、先ほど話したとおりにメディアが面白がってこの二つの事件を一つの事件として面白おかしく連日連夜報道と称してバラエティ番組のように笑いを提供している。
大規模となると、百人単位のストライキで倒産に追い込まれている会社すらもあるというのにそれを揶揄して面白がっているとか正気の沙汰とは思えない。
いつの時代もメディアというのは社会の敵、被害者の敵なのだろう、時には、第三者から加害者にすらなってしまう団体なのだから。
そんな日頃の陰鬱なニュースを見ながら俺は、真冬だというのに季節外れな一人暮らしをここ万里市で始め、運び込まれたダンボールの山と格闘を始めようとしていた。