UNKNOWN
結局、いつかは起こることなのだ
避けられないものなのだ
今日は、最低な日だ
俺は、バイトに向かっていた
俺は、フリーターだ
すごくさまざまなバイトをやってきた
レジ打ちから、工事現場、ライフセイバー、裏の仕事まで
今日のバイトは、町内パトロールだった
最近、町内の治安が悪いということで、その町が、パトロールのバイトを雇い始めたのだ
給料はなかなか高く、自給１０００円
６時間はたらけば１日で６０００円だ
さらに、問題を解決すれば特別にボーナスがつくらしい
こんなに儲かるバイトは、そうそうあるもんじゃない
ということで、このバイトをすることにした
「今日の、２２時からだったよな～。」
スマホの待ちうけを見ながら、俺は、集合場所でつぶやいた
まだ、先方は来ていないようだ
それから、しばらく待っていると、赤いはっぴを着たおじさんがやってきた
赤いはっぴには、町の名前が書いてあったため、すぐに先方だと分かった
「あ、あの、パトロールのバイトできたんですが。」
話しかけてみた
「おお、おお、来てくれたか。」
ガハハハと笑いながら、どんどんと背中をたたかれる
「じゃあな、まずこの書類にサインしてくれ。」
「書類ですか？」
書類には、『町はあなたの身がどうなろうと保障しません。給料は町が払います。』とだけ書いてあった
特に問題はなさそうだったので、サインする
不良に絡まれて怪我しても保障しないよということだろうと勝手に解釈したのだ
今思えば、このときが最後のチャンスだったのかもしれない
「おし、じゃあ、早速行ってきてくれ。」
おじさんからは、懐中電灯と、警棒と、ゴミ袋と、トング、カメラを渡された
警棒は護身用で、基本的にはカメラで悪い行為をとってくれれば、警察が何とかしてくれるらしい
ポイ捨てされたごみは拾うようにといわれた
とりあえず、給料をもらう以上はそれなりにはたらかなければならない
そう思い、夜の町に出た
夜の町は異常に静かで、とても治安が悪いと思わなかった
普通、治安が悪いのであれば、不良がたくさんいたりして、クラクションが鳴り響いたりするものだろう
しかし、町は奇妙な静けさを醸し出していた
しばらく歩くと、６歳くらい女の子が、電柱の下でしゃがみこんでいた
パトロールだから、話しかけておく
「もう、遅いから帰ったほうがいいんじゃないかな？」
女の子はこちらをギロっとにらみつけてきた
別に何も悪いことしてないけどなと思いながら、質問してみる
「お父さんかお母さんは？」
女の子は、うつむき
「いない」
と、いった
孤児だろうか
「どこに住んでいるの？」
おうちどこ？と聞こうとしたが、もし、孤児だったら、女の子を傷つけることになる
「あっち」
女の子は、指を上に向けた
「え？」
子供の考えてることは分からない
こういうときは、意味が、分からなくてもうなずいておくべきだろう
「へ、へえ、そうなんだ。」
「うん。」
「じゃあ、もう、遅いから帰りなよ？」
これで、問題を一つ解決できる
そうすれば給料もはずむだろう
「一人じゃ怖いから、一緒に帰って。」
女の子は今度は、俺に甘えるような目で見つめてきた
まあ、家まで送るだけですぐパトロールに戻れるだろうと
「分かった。じゃあ、おじさんと一緒に帰ろうか？」
そういった瞬間、夜の暗がりのせいで、何も見えなくなっていた道の先のほうからたくさん人がやってきた
もしや、不良？と思ったら、違った
すごく小さな男の子から、とても年老いた老人まですごくさまざまな人がいたのだ
不良グループにそんなにさまざまな人がいるわけがない
人の集団はどんどんこちらに迫ってくる
少し怖くなり、逃げ出そうとする
しかし、片手が、女の子にぎゅっと握られていた
「ねえ、一緒に帰ってくれるんでしょ？」
女の子は笑った
とても、恐ろしいものを秘めているようだった
人の集団に飲み込まれた
帰れない
悟った
今日は、最低な日だ
＿「うちの子、バイトに行ったきり帰ってこないんです。捜索願を出してください！」
「ああ、行方不明ね。分かりました。捜索願だしておきますね。ただし、あなたのお子さんが見つかるかどうかは分からないですけど。」
お風呂で妄想してた
行方不明こえーよ；；
