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君は天使かヒロインか  作者: 快速海月
2/5

恋バナ教師のヒロイン発見伝

じりりりり!

4:30分、天田優斗の朝は早い。成長期の優斗がこんな時間に起きる理由は、

「メシはまだかメシは!」

境内に響く天使の声。まるで昭和の親父の様に叫ぶ天使ラブリエルに、優斗は弱みを握られている。

困った事に優斗のある言葉を録音されていたらしく、脅されて家事全般を任されているのだ。

しかも、何故だか知らないがラブリエルは自分用の制服を優斗に注文してきた。何に使うのかは定かではないが、ラブリエルが録音をバラせばいつでも死ねる状況にある以上、渡さない理由はない。

ラブリエルにご所望のパンケーキを食わせる一方、自分は鯖水煮とキムチでご飯を食べ、昨日を思い返す。

優斗は貯金を切り崩し、自分も頼んだ制服屋で女子の制服を注文するという羞恥プレイを強要されたのである。

笑顔が売りの制服屋のおばちゃんも、心なしか笑顔が引き攣っていた。もしや、ラブリエルはこれが目的だったのでは、とも考えたがすぐにそうではないと気付かされた。なんとパンケーキを食い終わったラブリエルは、

僕が昨日買ってきた新品の制服を着て、

「優斗、早く学校に行かないと遅れちゃうぞ」

あまりの衝撃に、いつの間にか呼び方が優斗に変わっている事に気が付かない。

(がっ学校に行くだって?行く必要あるのか?)

それにもっと気になることもある、

「お前出席簿に名前あるのか?」

思わず聞いてしまう。転校手続きにしろ幾ら天使とはいえ、保護者がいなければ相手にしてもらえないだろう。

しかし天使は、優斗の言葉にもキョトンとしている。そして、すごいことを言った。

「だから、優斗を保護者にした」

(保護者にした?え、それって、、、)

「あぁそうだ、もう学校にはもう話を通してるよ。」

「どこまで話した?」

「私が天使っていうこと以外全部」

優斗ゾッとする。つまり、優斗がラブリエルと同棲していることも先生には伝わっていると言う事。

(マズイ!あの先生ならバラしかねない。)

つまりここで優斗が取るべき選択肢は、

「行くぞ!ラブリエル!」

ラブリエルと一緒に学校へ行き、口止めするしかない。

ラブリエルもニヤニヤしながら着いてくる、がさすがは天使すぐに追い抜かれ、引きずられる様に学校へ着いた。

「あ、そういえば、学校では私のこと愛莉絵瑠あいりえるって呼んでね。」

校門を背にして、ラブリエルは言い放つ。つまり愛をラブにしたら、ラブリエルという事。

だがここである問題が生じる。

「私のことは、絵瑠って呼ばないとダメだよ。同棲してるんだからさ。」

ニヤニヤしながらラブリエルは言うが、別に今までも、ラブリエルと名前で呼んでいたので、(特に変化はない)と、優斗は考える。

「早く職員室向かわないと、絵、、、絵瑠。」

しかし、言葉にしてみると意外と照れ臭い。ただ日本人の名前、と言うだけでこんなにも恥ずかしい。

不思議なものだと優斗は思う。だが、いずれ木下さんの名前を呼ぶ身。こんな所で挫いてはならない。

優斗は、たぎる思いを胸に職員室へ向かった。

「はい、そう言うことでおねがいしお願いします。」

今、担任の上野空(うわのそら)うつつと話をつけて来た。内容を簡単ならまとめれば、

1僕と絵瑠は従姉妹。

2今、絵瑠は両親が海外に行っており、優斗と一緒に神社で暮らしている。

3優斗と絵瑠は恋仲ではない。

特に大事なのは3番。優斗の教師上野空は、教師にあるまじきラブコメ脳を持っており、生徒との恋バナが生きがいらしい。そのため仕事中も、恋バナのことばかり考え上の空である。普通に気持ち悪いが、上野空先生が生徒たちから頼れる先生扱いされているのは、生徒が拒絶したらすぐ辞めるものの、持ち前の勘の良さで相談に乗るし、若くて美人だからである。それに加えておバカキャラだけれども、やる時にはちゃんとやる性格も起因しているだろう。因みに僕が一番初めに木下さんとのことを聞いたら、

「「え?何か接点あったっけ?」」

と、真面目に聞かれてしまった。僕は先生を信頼するのを辞めた。

まぁ、とにかくこれで不穏な芽は摘んだ。と、思っていたのだが

「天田くん、残って。」

「え?わかりました。絵瑠、ちょっと先いっててくれ。」

(それにしてもなんだろう僕だけ残す理由はなんだ?)

そう考えている優斗に、うつつ先生は

「優斗君、君は薄情者だねぇ。木下さんは無理だとわかったら次は幼馴染なんて。」

(何を言ってるんだ?)

優斗は思考停止する。そして、理解する。この間0.5秒。

「ち、違いますって!アイツ、、、絵瑠は天、、、」

そこまで行ってしまって優斗は気づく。(危なかった、先生に絵瑠の正体をバラす所だった。)

しかしうつつ先生はこう言い放った。

「あの子は天使でしょう。」

「は?へ?それは天使みたいに可愛いって意味ですか?」

優斗は慌てふためく。何故この人は絵瑠のことを知っているのか。その疑問を見透かしたかの様に、

「分かるわよ、仲間のことぐらい。」

いつの間にか、うつつ先生には羽が生えていた。まるで天使の様な羽。絵瑠に比べると随分と分かりやすい天使っぷりだ。

「え、先生も天使なんですか?」

「聞かないとわかんないの?」

うつつ先生は何故か憎たらしげにこちらを見ている。

「大体、貴方みたいな人間に頼らないとダメだなんて天使も堕ちたわね。」

なぜ、そのことを知っているのだろうか。

「貴方みたいな人間の嘘なんて造作もなく見抜けるわ。まぁその事はいいとして、貴方に気をつけて欲しいことがあるわ。それは、絶対に自分から告ってはダメということよ。下手すれば、下僕にされるわよ。」

「な、、、僕は木下さん一筋です。変なこと言わないでください。」

優斗の必死の反論虚しく、うつつ先生は立ち上がりドアノブに手を掛けた。そしてふと、

「遅すぎることだけはない様に。いつだって別れは突然よ。」

そう意味深なことを言って出て行った。

僕は1人残されたまま呆然とする。分からないことが多すぎる。何故あの天使は教師などしているのか。そしてこちら側に接触を図って来た意図とは何か。最後に言ったあの言葉の意味は。頭がパンクしそうだ。これから授業だというのに。




上野空うつつは感動していた。うら若き神主に、銀髪の天使。しかも同棲。想像するだけで興奮してくる。

こんなことは5000年生きた中でも初めてだ。天使と人間とヒロインのラブコメなんて、面白いに決まっている。

上野空うつつは、他の天使と比べ力は低いが、天使としての特殊能力を持っていた。心が読める、これは他の天使はおろか、神でさえも数名しか持っていない絶大な力である。今までは、この能力を使い人々の恋を導くだけだった。でも今回ばかりは、、、

「私も干渉しちゃっていいよね♡なんたって天使だもん。」

教師上野空うつつは、天使サトリとしてこの恋を導く事に決めた。時に過激な手を使ってでも。

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