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白狐
「あんたいくよ」40過ぎの
巫女姿の女性はそう言うと手のひらに
霊気を集中させた
それに合わせるように巫女姿の男性も
手のひらに霊気を集中する
ずるずるずる
妖怪は少しずつ後退していく
「千佳子」
母親は叫んだ
千佳子は立ち上がり
霊気を含んだ薬剤を撒いた
消えていく妖怪達
夜は静寂を取り戻したのだった
「ありがとう、お父さん、お母さん」
母親は白狐の方へ歩いていき怒鳴りつけた
「あんた、もっと千佳子をサポートしないか」
白狐は涙目になっている
「あんたの父親はもっと優秀だったよ」
白狐は下を向いた
白狐もまた代々供物の巫女に仕えてきた
今でも156代目になる
白狐もまた修行の身であった