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白狐
北陸地方の山間にしめ縄に紙垂で囲い
がされた農地がある
ここが野中家が先祖代々供物を
納める為に守ってきた農地である
「白ちゃん」
千佳子は大きな声で呼んだ
すると山の中から一匹の白い狐が
現れた、農地を守るシラヌイである
「千」千佳子に駆け寄ろうとした白狐は
異様な気配を察知した
「邪気」そういうと身体から霊気を発した
千佳子は何か身体が軽くなった気がした
「何処に行ったんだ?妖がお前に
付いてここまで来たようだ」
千佳子はいきさつを説明した
「なるほどな」
農具小屋で作業着に着替えながら
千佳子は供物に何をするのか思い巡らす
今は春、作るなら夏野菜だ、
トマト、きゅうり、茄子、スイカ、とうもろこし、カボチャ
この辺りだろう
千佳子は土を耕す為トラクターを動かした