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「『おっと……』」


 そんな言葉とともに画面がブレ、カメラが方向を変えたのがわかる。映し出された光景は、まだ遠いが画面に向かってくるきらめく群れを映した。

 最初は遠すぎてよくわからなかったそれも、近づいてくればガラスでできた置物に似た鳥の集団だとわかる。

 ミクニに向かって攻撃のつもりなのか、一斉に飛びかかってきた。ミクニが身を伏せて避けると、ガラスの鳥は再度狙わんと頭を低くした、しかも知能が高いのか矢尻のような陣まで組んで。


「『うっわ、きれいなのは見た目だけってね。でもここは土の大規模ダンジョンの系譜だからな、見ててくれ!』」


 ミクニが手のひらごと指を上に向けると、その指先にオレンジ色の炎が灯る。静電気に似た音がして、オレンジ色の細い炎がジグザグに指の間を駆けた。

 そのまま腕を振りかぶって一閃。オレンジ色の炎が迸って、ふれたガラスの鳥たちを一瞬で蒸発させる。

 かつん、かつんと何か透明な石のようなものが二つ落ちる。


「『お、これはラッキー! 魔石だ。しかもふたつもドロップしたぜ! やっぱりダンジョンは夢があっていいよな! というわけで、ここから先は探索に専念したいから今日はここまで。後で動画あげるけど、みんな楽しみにしててくれよな!』」


 そう言って、ミクニが画面に向かって手を振り、画面が切れる。当たり障りない広告が続いて流れる中で、動画に見入っていた観衆たちがざわめき出す。


「ミクニすげー! 魔石二個だぜ!?」

「オレもダンジョンアタックしようかな……やっぱり男なら一攫千金ねらいてえじゃん?」

「えー、探索者の彼氏ほしー」


 いろんな言葉が飛び交う中で、スクナは口をぽかりと開け目を瞬かせた。

 一気に騒がしくなった場に嫌気が差したのかと、ナイアたちが考える中。スクナの口からはこぼれたのは。


「なにあれ、面白そうだね!」


 面白いことを前にした子どものごとく、無邪気な声。

 それと同時に握りつぶされた、クレープの包み紙には無慈悲だったかもしれないが。

 さっそく召喚者のスマホで、あまり人の多くないダンジョンを調べる。検索にいくつもヒットした。

 が、その中でも「面白いけどモンスターが強すぎ」「火魔法しか効かなくてやりづらい」「二度と行かねーわ、星ひとつ!」などの感想で占められている、札幌にある【かみのダンジョン】に決めた。

 理由は簡単、ダンジョンの人気ランキングで最下位だったこと。あと響きが好き、それだけ。それならダンジョンにいる人も多くないだろうし、という考えである。

 原宿から札幌、普通ならば躊躇してしまう距離だが、スクナたちには関係ない。



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