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ホテルで休憩

 ホテルの部屋にて。

 入口から、見えるベッドは二つ。豪奢だけれど趣味の良いアイボリーに絵柄が入っている壁紙と赤い絨毯のこの部屋を、スクナたちは割り振られたのだった。畳の間もあり、四角いちゃぶ台や座椅子などもある。外の景色が見えるようにか、大きく取られた窓の外は雪景色……というより吹雪の様子がよく見える。その側には揺り椅子とテーブルが置いてあった。


「ラーメン美味かったっす! 人間は愚鈍で蒙昧っすけど、食い物だけは褒めてやってもいいっすよ!!」

「そう……よかったね」

「ナイア、静かにしてください。我らが父は読書中です」

「見てわからないのかしらぁ」

「我らが父も一緒に行けばよかったのに」

「ぼくは朝からラーメンは食べられないの、胃が重くなる」

「歳っすか?」

「殺すぞ」


 畳の間に敷いた布団にうつ伏せになりながら、会話しつつも本から目を離さないスクナに、これ以上言っても無駄だとナイアはぶすくれて黙った。

 ヨグはため息をついて、自分で淹れたお茶をテーブルに置き、揺り椅子に揺られている。

 シュブは先程からベッドで跳ねながら遊んでいる。

 やがて、ぱたんと音を立ててスクナは本を閉じた。


「これ、【水の大規模ダンジョン】のモンスター図鑑みたい。見ててなかなか面白いよ」

「読み終わったんっすか? じゃあうちにくださいっす!」

「お前は鍋敷きにするからだめ。ヨグ、読む?」

「いいんですか?」

「もう覚えたからね」

「さすがは我らが父、それではお借りします」


 スクナがうつ伏せのまま腕だけヨグの方に伸ばして本を渡そうとする。当然のように距離があるため無理だが、そこはヨグが椅子から立ち上がって取りに行った。


「我らが父、不精すぎないっすか?」

「いいんだよ、面倒くさいんだもん。ヨグなら取りに来るだろ。お前は投げろとか言いそうだけど」

「え! なんでわかったんすか!?」

「わからいでか」


 ナイアの性格を考えればである。

 それから各々の時間を過ごしていたが、昼食の時間を少し過ぎた頃。食事を摂る必要がないスクナたちだが、ずっとホテルの部屋にいるのも暇。


 ということでやってきたおみやげコーナー。

 お菓子にキーホルダー、ぬいぐるみご当地キャラまで。幅広く揃っているおみやげコーナーに浮かれ、あれもこれもとかごに入れていると。

 近くで温泉に入っていい気分だったのか、近くの椅子で話し込んでるおじさんたちがいた。


「ここから近くってぇと、かみのダンジョンだろ? 危なくないのかねぇ」

「甥っ子がダンジョンの研究してるんだけどよ、踏破されてねえと根付かないとかなんとか。踏破されちまえば危なくねえんだとよ」

「だがよぉ、もう十五年も経つんだぜ? こちとらこえーよ。お国の決まりも色々増えて覚えらんねぇってのに」

「なあ。なんだっけ、ダンジョンを踏破したら市役所に届け出るとかなんとかな」

「踏破出来たらな。他にもほれ、勝手に入っちゃあいけねぇダンジョンがあるとかさ」

「よっぽど危ねえんだろうなあ……あ? かみさんから電話だ」

「おー行って来い行って来い」


 スマホの着信音をBGMにそんな会話を耳にして、スクナは思った。


(あれ、届け出、出してなくない?)


 本当に届け出をしなければいけないのなら、のんびりしている場合ではない。

 だが外は吹雪である。この様子で市役所がやっているとは思えない。頭を捻らせた結果。


「ま、吹雪が止んだら行けばいいでしょ」


 あっさりとそう決めて、もとのお土産選びに専念するのだった。おみやげと言っても、持って帰るようではなく、部屋で食べる用のお土産なのだが。

 それから三日間は吹雪がやまず、外に出かけられないなんて思わずに。

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