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幻想星勇伝  作者: 五三竜
7/10

第6話 会議っぽい何か

 ━━3分後……


 カスミ達はソファの上に座って話し合っていた。


「それで、成果はあったのかい?」


 カスミの隣でにやけながら聞いてきたのは、先程カスミを起こしに来た男。そして、カスミが所属する国の王。その者の名は『ユリウス・エメル』。


 彼はカスミの昔からの友だ。ひょんなことから出会い、ひょんなことから友となった。色々訳ありな王様だ。


「聞いたところで無駄だ。どうせ何も無かったのだろう?」


 ユリウスの問いかけに女は答える。その女は、先程カスミとユリウスの話を聞き、怒って殴り気絶させた人だ。そして、それと同時にカスミの救助に来た人でもある。


 その女の名前は『ルミア・イリス』。背中に割と大きめな剣を背負っているが、かなり華奢な体をしている。この話だけを聞くとかなり凶暴な人と思ってしまうが、彼女にはそれらをかき消すだけのある物を持っていた。


 そう、それは胸……ではなく美貌だ。彼女はとてつもないほど美しかった。この国で1番可愛いと言われても納得するほどの美貌だ。そして、それは本人の自慢でもあるらしい。


 また、ルミアの身長はバカ高いとかバカ低いとか言う訳ではない。カスミ達が175cmくらいなのに対しルミアは155cmくらいだ。それも相まって可愛さが倍増している。


 だが、ルミアについて驚くことはそれだけではない。先程もちらっと話には出したが、ルミアのメイン武器は割と大きめな剣だ。男が扱っていたら、『まぁ、ちょっとデカイね』と言われそうな武器を軽々と持ち上げ使用している。


 彼女には、その華奢な体のどこにあるのか分からない筋肉を持ち、カスミやユリウス達のような男ですら適わないほどの力を持っていた。


 あと、胸は思ったより大きい方だ。


「おい、今私を見てエロいことを考えたな?このケダモノめ」


 ルミアはカスミにそう言った。


「何も考えてねぇよ。明日の朝の1歩目は右足にしようか左足にしようか悩んでたんだよ」


「いや、僕達の話を聞いてよ。てか、僕達に話してよ。成果を聞いただろ?」


 ユリウスはカスミにそう言った。カスミはその言葉を聞き、手をポンッと叩くと言った。


「あぁ、そう言えばそうだな。で?成果は?」


 カスミはルミアに向かってそう聞いた。


「何故お前が聞く側になるんだ?」


 ルミアはそう言ってカスミを殴る。


「ごめんごめん、冗談だよ。それで、成果はね……まぁ、うん、ほら、いつも通り何にもないよ」


 カスミはそう言って笑った。


「……ま、そんなところだと思ったよ」


「そんなガッカリするなよ。こっちだって大変だったんだぞ?フラグメントレリックを見つけたら禁忌持ちの変な男に襲われるし、ビンゴブックに載ってるらしいし……」


「「「何!?」」」


「ん?どした?」


 カスミの話を聞いたユリウスとルミアは驚きカスミに詰寄る。


「カスミ……お前見つけたのか!?」


「見つけたよ。取られたけどね」


「取られたって……お前何やってんだよ」


 ユリウスは頭を手で抑えてため息を一つつく。そして、カスミに向き合い話をよく聞く。


「一体何があった?」


「戦った。そして殺されかけた」


「……それだけか?」


「それだけだ。まぁ、簡潔に言えばの話だけどね」


 カスミは腕を組みながらそう言う。


「詳しく説明しろ」


 横からルミアがそう言ってきた。そして、剣まで突きつけてきている。


「そ、そんなに殺気を立てるなよ。あの時は結構焦ったんだぞ。ラミィも連れてたし、魔法が通じなかったんだよ」


「禁忌持ちだからか?」


「そうだな。しかも、特に相性が悪い相手だ。そもそも、俺は見たことがなかったからな。戦略もクソもない」


「何の目を持っていた?」


 ルミアが聞いてきた。カスミはルミアの目を見ながら少し考える。


「……お前にはかなり詳しく教えておいた方がいいのかもしれないな。今回俺が戦った相手は『次元眼ディメンティア』を持っていた。その能力は言わなくても分かるだろ?」


「「「っ!?」」」


 2人は驚き言葉を失う。


「まさか……この世に存在したとは……」


「まぁ、俺も驚きだよ。そもそも、遺物があったこと自体おかしいのに、俺以外に禁忌持ちが現れること自体不思議でならない」


 カスミは腕を組みながら足も組み、どこか悩むような表情を見せそう言った。そして、ルミアを横目で見る。


次元眼ディメンティア……まるで御伽噺に迷い込んだ見たいだ。よく生きて帰ってきたな」


 ルミアはそう言ってカスミの胸の当たりに目を向ける。そこは、ちょうどカスミの背中の傷の直線上に当たる位置だ。


「ま、それは俺もそう思うよ。ただ、ルミアは意外と相性がいいのかもしれないな」


「何故だ?」


 ルミアは不思議そうに聞いてくる。カスミはそんなルミアを見ながら言った。


「お前は近接戦闘を中心に戦ってるだろ?だからだよ。今回戦って初めて分かったのが、次元眼ディメンティアが相手だと魔法が通用しない。まず、発動式を歪められて発動しないし、発動しても次元移動で逃げられる。だけど、近接戦闘なら次元を削り取る攻撃さえ気をつければ良いからな」


 カスミはそう言った。すると、ユリウスは少し考えて言ってくる。


「そんな技を使ってくるのか……。だとしたら、ルミアでもかなり相性は悪そうだぞ。発動式を歪める威力なら、武器や体も歪められてしまいそうだし、たとえ近づいても次元移動で逃げられてしまうからな。もし次戦うことになったら、それなりの手を考えなければ何も出来ずに殺されてしまう」


 ユリウスの話を聞いた2人は納得し、更に苦しげな表情を見せる。そして、カスミはため息をひとつ着いて言った。


「まぁ、何にせよ次会ったら殺されかねないってことだな。ただ、なんでか分からないが俺に対して殺意があった訳ではなかったんだよな。ま、それが本当かどうかも分からないが」


 カスミはそう言った。その時、ルミアの頭の中にフッと疑問が降りてくる。


「待て、カスミは次元眼ディメンティアを持った男と戦ったんだよな?だったら、何故魔法攻撃でつけられた傷跡がある?まさか、お前みたいな例外なやつか?」


「あぁ、あの傷は別に相手に付けられたものじゃないよ。逃げる時に色々とあってね。その時に自爆したものだ」


「何かって何だ?」


「さっきも言った通り次元眼ディメンティアには発動式すらも歪めてしまう力があるらしいからな。逃げる時にわざと魔法を使って目くらましにしたんだけど、その時に暴発した1部の雷球らいだまが当たったんだよ」


 カスミがそう言うとルミアは少しだけ呆れたような目を向けてくる。そして、ため息を吐いて言った。


「まったく、自爆とは恥ずかしいものだ」


「そう言うなよ。あの状況だとどうしようもなかったんだ。殺す気がなかったとは言え、1歩間違えれば体が無くなっていた。ラミィを守りながら逃げるにはこれしかなったんだ」


 カスミはそう言った。しかし、ルミアはそんなことを一切聞いてなかったみたいだ。ずっと嫌な感じの目付きでラミィに何か言っている。


 ラミィは何故か楽しそうだ。しかし、それを見てもカスミは楽しくなれなかった。


「お前も戦ってみたら分かるよ。速いし強いし怖いし、まるで剣聖だよ。マジで魔法が使えず精霊の加護を失った剣聖みたいな感じだったな」


 カスミはそう言って自分の手を見た。そして、回想シーンに入りそうな顔をする。


「何でそんな物思いにふけるような顔をする?」


 ユリウスが聞いてきた。カスミはそんなユリウスに自慢げに話す。


「フッ、わかってることを。尺をかせ……」


 その時、ゴンッという音と共にカスミが倒れた。そして、その目の前には剣を握りしめ高々と笑うルミアが立っていた。


「ハッハッハ!このケダモノめ!なんか、あれだから一旦寝ろ!」


 そして、なんやかんやあって一時的に会議っぽい何かは中断された。

読んでいただきありがとうございます。

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