タイトル未定2024/12/07 04:50
わかいころ
こういう生き方を生きたくないと
想っていた生き方を
オレは
生きていないか?
人生なんて語るほど
バカなひとにはなるまいと誓ったのは
白髪を待つ
ハタチのころ
大海を知らないアメンボみたいに
ちいさな水たまりのうえを
スイスイと泳いでいた
空をみあげながら
これからなにが起こるのだろう?
辛いことや悲しいこともあるんだろうけど
とっても楽しいことやしあわせなことも
きっといっぱい待っているんだろうな
悲しいほど
澄んだ青空みたいな
新しくて暖かい夢をみていた
なにものにだって
なれるから
たとえば命がけでなにかに尽くすことも
厭わないとホンキで前を向き
生きられるから
生き抜けるから
なんだってホンキにやれば
できるバズだと
なんだって
叶えることはできるバズだと
そんなやさしくてやわらかい水みたいな
真綿に
全身を撫でるようにくるまれるように
慈しんでくれるな
ヨイ夢をみていた
わかいころ
こういう生き方を生きたくないと
想っていた生き方を
オレは
生きていないか?
あのころのオレが
いまのオレをみたら
なんて想うんだろう
なんて云うんだろう
すべてが終わってしまったことを
知っているかのような
すべてを試しもせずに成し遂げられずに
諦めてしまったような
日々を生きるのに疲れ果てて
灰色の瞳をさらに闇色に染めたような
こんなオレを知れば
あのころのオレは
それでも消えない夢など
まだ
みつづけることなどできるだろうか?
だが、知らない。
どうだろう、だが、
そんなことは
あのころのオレに、訊いてくれ
オレは
いまここで
生きている
オレだから
夢を叶えられず
罪に苛まれ
欲に溺れながら
卑しく怯えながら
でも、生きている
でも。
生きているのは、いまの、オレなんだから
生きて、ゆく。
できるかぎりいまの理想を組みなおし
できるかぎりいままでの人生を呑み込んで
人生なんて
語りたくないなんてそんな
カッコいいセリフなんて
歩道の横を通る暗渠にでも棄ててしまって
人生だって
これからだ、って
もう一度やりなおすことは
いつからだって
できるから、って
それは、夢じゃなく
想い入れじゃなく
想い込みじゃなく
幻じゃなく
無知じゃなく
自信過剰じゃなく
自己評価過大じゃなく
みっともないことでも、ないんだ
そうして、
生きるんだ
そうして、
生きてゆくんだ
なぁ、云っても、いいだろ?
人生だって、これからだ、って?
いつからだって、人生、これからだ、
くらいなこと。