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英雄の帰還 ほどほどでいくけど、復讐はキッチリやらせてもらいます。  作者: ヘアズイヤー
愚連ノ章

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狂喜乱舞、のち顔面蒼白


 須比智之会(すひちのえ)、新田原基地の整備員、機動偵察隊(MT)には休憩のための宿舎が用意された。

 俺は問答無用で芦田中将に拉致連行された。黒崎中尉と井堀少尉が付いてきてくれる。


「で、何をしてきたんだ」

「……前に話した通りだ。概ねあの通りに進んでいる」

「おい、それって」

「東京は思っていた以上に状況が悪い。あそこで今一番力があるのは五大商社だ。五社間の競争も苛烈だ。自衛隊としては、御用商人の丸菱重工はこっちに引き込みたいんだがね」

「……」

「次が都知事と警視庁。暴力装置が優位ってことだな」

「防衛省もあるだろう?」

「金食い虫と干されてるよ。政治家の殆どが金に踊らされ、保身に走っていた。うちの大臣はマシなようだが、いつまで持つか」

「……」

「米澤統合幕僚長からの伝言は『ケント少佐の方針を採用する。全自衛隊を実現に向けて奮闘させる』だそうだ。で、その三ツ桜だな」

「……また面倒なことに」

「覚悟を決めろよな」

「お前も道連れだ」

「そうはいかないんだなぁ、これが。テッペンにいる御方に期待されちまってな。中将以上に面倒な事になった」

「テッペンって……」

「桜は菊に勝てないからな」

「……ご健勝でいらしたか?」

「ああ、最後にお会いした時は『若返った気分だ』とご機嫌だった」


 頭を抱えて突っ伏した芦田中将、しばらくして肩が震えだした。


「いいんだな。やっていいんだな」


 くぐもった声が漏れてくる。そう、芦田中将は筋金入りの武闘派だ。


「ああ、やっていい。最後の最後は時期を見定めるがな」

「ふぅー。祝杯をあげたいな。今夜はBAR桜舞だ」

「そいつはいいが、大人数だな。いや、全員の顔合わせは後日か」

「ああ、食材もあるだろうし、近藤さんに相談だな」

「ふむ、後日はほんとに全員にしようかな。場所は士官クラブで、江島と玉杵名市からも参加させなくてはな」

「今夜相談に行こう」



 中将執務室の外が騒がしくなってきた。あの声はサリー董事(とうじ)か。彼にも腹を据えてもらわねばな。


「ケントーーー! 待ってたよー! 魔物ーーー!」

董事(とうじ)! 落ち着いてください!」


「やれやれ。会わんと大騒ぎになるな」

「中将の執務室じゃなく、広い場所がいいんだが……魔物を見ないと納得しないだろうしな」

「用意しよう」

「……長くなりそうだ。BAR桜舞まで付いてくるだろうな」

「覚悟はできている」



 俺を見るなり飛びついてきたサリー董事(とうじ)を連れて、空けてもらった陸自車両駐車場に向かう。

 ブルーシートを敷いたところにオランバディを出す。




「……ケント、こいつ、おかしいアル」


 狂喜乱舞して散々オランバディをいぢり倒した後で、サリーが考え込んだ。


「何がおかしいと思う?」

「この体は重い。こんな貧弱な羽で飛べるわけない」

「そう思うよな」

「航空力学に矛盾する。魔法か」

「たぶんな。タンカーや空母並みの竜も空を飛ぶ。ギッチリ身が詰まった重い体らしい」

「……やっぱりエネルギー変換がキーワードね。間違ってなかった」

「さすがはサリー・(ホァン)。そいつをお願いしようと思ってた」

「甘く見ないで欲しいアルね。ブラックホークとF―35Bをケント用に配備。バイオの航空燃料だけでは運用は無理アル。魔法エンジンか魔力ジェネレーターは必須ネ」

「お見通しか。どんな頭の構造してるんだ」

「当然の帰結アル。燃焼剤なしの魔法銃、そのエネルキーの活用を考えれば行き着くヨ。大体の理論は構築してあるネ。後は実証実験の環境が必要」

「それな。サリー、複数プロジェクトの並列進行管理システムを組んでくれないか?」

「システム?」

「もう始めているプロジェクトに、これから始めるやつ。タイムスケジュールに乗せて同時進行させなきゃならん」

「私も関係するのか?」

「中心のひとりだな」

「プロジェクトはどんなのを考えている?」

「まずは魔法科学だな」

「そう名をつけたのアルか」

「ああ。科学はもちろん、産業の概念が変わる。第三次産業革命だ」

「……確かに魔法エンジンや魔力ジェネレーターなら石炭、石油、天然ガスの化石燃料に取って代わる可能性はあるが」

「本質はそこじゃないと考えてる。魔力を帯びさせることだ。俺の体はこの世界の刃物では斬れない。魔物と同じだ。だが魔力を帯びた刃物なら?」

「斬れるのか」

「俺はこっちのカミソリじゃヒゲが剃れない。魔力をまとわせて剃ってるんだ」

「……物質組成か!」

「ああ、エネルギーと物質組成変化、それと潤滑油代わりもできる」

「ああ、電磁波! 無線波代わりか!」

「魔法魔力の活用には大きな可能性がある」

「確かに第三次産業革命となりうる」

「だけど、そのためには大きな基盤がいる」

「基盤?」

「人材に、資金、資源に土地もな」

「確かに」

「そこにもサリー董事(とうじ)の出番がある」

「?」

「TSMEを母体としたコングロマリット(複合企業体)を作ってもらう。それに付随するもろもろをさばかなきゃならないから、政治、経済、司法、軍備に領土。一国を運営する規模だな」

「一国だぁ?」

「ああ、サリーは財務省大臣と魔法科学省大臣兼務って位置だな」

「だ、大臣って……」

「まずは軍備の調達が急務だ。開発も兼ねるな。拳銃から始まって、小銃、機関銃、機関砲、榴弾砲、ミサイル、ロケット弾、魚雷に水中兵器、現在使用されているあらゆる火器の置き換え」

「いや、まて」

「魔法による新兵器開発もだな。火弾(ファイヤー・ブレット)火槍(ファイヤー・ランス)火球(ファイヤー・ボール)爆弾(ファイヤー・ボム)誘導火弾(ファイヤー・ミサイル)氷弾(アイス・ブレット)氷槍(アイス・スピア)氷針(アイス・ニードル)誘導氷弾(アイス・ミサイル)風刃(ウインド・カッター)星竜砲(プラズマ・キャノン)。俺が使える攻撃魔法を、武器として携帯か装備できるよう開発する。まだあるぞ。戦闘車両、戦車、輸送車両。戦闘ヘリ、戦闘機、輸送機。哨戒艇から空母までの各種艦船。各種ドローン」

「ま、まて」

「魔法エンジンか魔力ジェネレーターが成功すれば、全ての兵器に換装。それに大規模な発電施設や巨大工場。魔法飛行が出来るなら、空飛ぶ巨大空母か空中基地なんてのもいけるだろう?」

「……」

「そこから宇宙への道も開ける。衛星に宇宙ステーション、魔力航行宇宙船なんてのもある。衛星軌道上からの攻撃は決定打になるな」

「開発しろってか!」


 サリーの顔色が真っ赤になった。


「民生品への転用も重要だな。市場開拓はもちろん、流通も考えなきゃ。空飛ぶ自動車なんて欲しいよな」

「……」

「あ、そうそう複数プロジェクト並列進行管理システムのセキュリティはガッチリな。国家安全保障クラスだな。国防総省とかCIA、MI6並みが必要だ」


 真っ赤な顔色が、蒼白になったサリー。


「で、The Deadline。Xデーは1年後な」


 カッパリと口を開けたサリー。

 芦田中将、なにそのニヤニヤ笑い。


お読みいただき、ありがとうございます。

以下は押しつけがましくて本当は嫌なのですが、評価はいらないと思われるんだとか。


客観的に見れていない部分もあり、ご感想、ご意見などお送りいただけると感謝感激です。

誤字脱字もお知らせいただければ、さらに感謝です。

★★★★★評価、ブックマーク、よろしくお願いいたします。

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無茶振りが過ぎるwww
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