救援出動
投稿再開です。
アクセス解析が詳細になってることに、今更ですが気がつきました。
アクセス数が4,354PV 、累計ユニークアクセスが1,660人 。
ブックマークが10件、総合評価44 pt。
ありがとうございます。うれしいです。頑張らなくてはです。
関門橋を渡って下関インターチェンジで下道におりる。
そこから十分かからずに谷間の斎場跡地、湧き穴討伐の接収敷地だ。小倉駐屯地から三十分ってとこだ。
高速の高架をくぐったところで警務隊白バイと合流する。
偵察オートは監視中と高橋一佐に報告している。
警務隊員は二人ともひどく顔色が悪い。迷彩のドーランではないようだ。
「ヒドイことになっているようだ。偵察オートの報告を待って救援を開始する」
高橋一佐が俺を見て話してくる。指揮隊向けの用語は使わないでくれてるのかな。
まあ、どんな様子かわからないと作戦の立てようがない。どう考えても近接戦闘、それも剣、鉾、槍の集団戦に慣れているとは思えないしな。
「高橋一佐、上空からの偵察を提案します。『提案』じゃなくて『具申』でしたっけ?」
「浅野特務三尉、上空からなど」
「佐田、まて。出来るのか。魔法かね?」
「できる。ドローンを飛ばす」
亜空間収納から大型の式神くんを数枚取り出して、魔力をまとわせる。
「斥候式神!」
式神くんに飛行とあわせて認識阻害をかける。
「消えた? どこいった?」
式神くんが認識できなくなって高橋一佐たちが訝しげな顔をした。
魔石HDDとノートPCを取り出し、式神くん映像と接続する。
「このPCで映像が確認できますよ」
式神くんはフワッと浮き上がり、画面に上空からの映像が映し出される。
「いけ」
式神くんに編隊を組ませ、湧き穴に向かわせる。上空に一機(ん? 機か? 枚?)、少し高度を変えて左右に展開させた。
両側から山がせり出した谷間に沿って飛ばす。
すぐに道の脇に停めた偵察オートを見つける。
偵察隊員は前進して斎場跡地のそばに屈み込み、双眼鏡で観察している。
式神くんは無音だが、オートバイのエンジンは、いくら消音しているとはいえ音がする。隠密の斥候には向かないからね。
樹木を切り開いたと見られる荒れた山肌。コンクリートと石材の壁に囲まれた湧き穴。その前に広がる討伐用地。
凄惨としか表現できないものが映しだされた。
湧き穴の横で大きな火が起こされて、杭に刺された人間が炙り焼きにされている。
何匹かのゴブリンたちは、血が滴る生で人の足にかぶり付いている。
数はゴブリンが四十余、オーガが十、オークが十。軍旗持ちオークが二ってとこか。西方魔王軍だ。
次の食料なのか、止めを刺されずに怪我をした自警団員と自衛隊員が山にされている。血を流しながらもがいている。
PCを見ていた指揮隊員たちから怒声が漏れた映像は、討伐用地の真ん中でオークたちに犯されている女性たちの映像だった。救護班と給食班だろう。
「ぐっ! 総員下車! 隊列を組め。分隊ごとに攻撃をする!」
「高橋一佐、俺がオークとオーガをスナイピングする」
「オーク?」
「女性を犯しているヤツラだ。ゴブリンよりも頑丈で頭がいい。慣れない武器で自衛官たちが接近戦をしては危険だ」
「スナイピング……」
「さっき見せた火弾。射程距離は単発なら4000mはいける。偵察隊員たちのところからは大した距離じゃない。狙える」
「了解した。浅野特務三尉が先頭。オークへの狙撃を合図に分隊で攻撃する。抜剣は戦闘直前に行うのを徹底させろ」
「了」
「スカウト01、こちらビショップ。送れ」
『ビショップ、こちらスカウト01。送れ』
「ビショップ現着、スナイパーが進攻する。送れ」
『スナイパー了解。送れ』
「スナイパーのコールサインはクイーン。送れ」
『クイーン了解、送れ』
「ビショップ終わり」
俺って「クイーン」なの? 王配だからかな。まあいいか符号だしな。それじゃフラッシュ・ゴードンのテーマでいきますか。
「高橋一佐、湧き穴を中心に障壁もはる。道路から小隊を進攻させてくれ」
「障壁?」
「そういう魔法だ。ヤツラが山に逃げ込むのを防ぐ」
「了」
「では、クイーンも進攻する。光学迷彩!」
姿を隠し移動を始める。みんなは急に姿が見えなくなって驚いている。
偵察員の潜む草むらまで一直線に走っていく。
不意に現れたら驚かせるな。
「スカウト01、こちらクイーン。送れ」
『クイーン、こちらスカウト01。送れ』
「クイーンは、スカウト01の隣に位置する。終わり」
光学迷彩の魔力を絞り、薄っすらと姿をあらわす。
スカウト01はギョッと驚いたが、騒ぎはしない。よく訓練されてる。
やっぱり無線は便利だ。今回は特別に使わせてもらっているが、全兵士に個人無線装置を装備させたいよなぁ。
ハズラック王国では中隊規模の連絡に、配属された魔術師が魔法で意思疎通する。戦闘中の指揮伝達は貧弱だった。なので乱戦は兵士の力量にかかっていた。
この位置からは見上げる格好になり、ターゲットの視認が難しい。
「射撃位置まで移動する。射撃開始は合図する」
「了」
高い場所を求めてみまわすと、すぐそばに送電線の鉄塔がある。あそこなら狙えるだろう。
草むらと低い灌木の中を、揺らしたり音をだしたりしないよう注意して進む。フェンスを乗り越えて鉄塔を10m登れば、湧き穴と討伐用地全体を見下ろせた。
犯されている女性たちはグッタリとして、オークたちにされるがままだ。ギリッと唇を咬み、鉄の味が口内に広がる。
標的は、オーク。次いでオーガ。
全部で二十二。
全ターゲットロックオン。
「ビショップ、こちらクイーン。送れ」
『こちらビショップ。送れ』
「クイーンは右側の送電塔に射撃位置を確保。準備完了。送れ」
『ビショップ了解。ポーンは展開中、完了を合図する。送れ』
「クイーン合図を待つ。終わり」
小隊の展開を待つ間、ロックオンを切らさずに観察する。犯されている給食班。玉杵名なら、モナミちゃんがやられているんだ。鉄の味が濃くなった。
見下ろす用地、自警団員か? 逃げようとしている人影を見つけた。障害物の陰を血まみれで這いつくばって、道路を目指している。スカウトか分隊に鉢合わせするか。
「スカウト01、こちらクイーン。送れ」
『こちらスカウト01。送れ』
「討伐用地から道路に向かう自警団員一名、注意。送れ」
『クイーン、こちらでも発見。送れ』
「小隊に警告せよ。騒がせるな。終わり」
タイミングを合わせている今、騒げば援軍の存在を気づかれる。
分隊が進んできた。
んっ! オークの動きがあやしい。
一体が這っている自警団員を何度か指さして、他のオークに声をかけ笑いだす。
知ってて見逃したな。いたぶりたいのか。それとも釣り餌か。
自警団員が、進んでくる自衛官を見つけたのかよろよろっと立ち上がる。
「おおーい! こっちだぁー! 助けてくれぇー!」
オークが二体、笑いながらゆっくりと自警団員に近づいていく。他のオークたちから、はやしたてるような声があがった。
喰うことに夢中だったゴブリンとオーガのうち何体かが、オークの動きに気がついて関心を示している。
前を行く自警団員は、追いかけられていることに気づいていない。
まずいな。
「ビショップ、こちらクイーン。自警団員が発見された。射撃を開始する。終わり」
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以下は押しつけがましくて本当は嫌なのですが、評価はいらないと思われるんだとか。
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