尋問開始
出口で騒ぐ女性と客たちの中から、手配書持ちを選別する。
手配書持ちは結束バンドで拘束して、亜空間収納に突っ込む。
ほんとに罪のない客に、銃を持ったまま微笑んでお話しする。
「見ての通り、俺は賞金稼ぎだよ。オモテには佐藤組のヤー公がまだいるから、すぐには出せない。あいつらを始末するまでもうしばらくおとなしく待っててね」
コクコクコク、みんな賛同してくれた。
シビレている孝之介のところに戻って兵士の剣を取りだす。抜き身と銃を両手に、みんなを見まわす。
「えーと、あんたが事務局長ね。それとこっちの組員ふたり。立って。それ以外は麻痺の重ねがけな」
指名された組員が俺を睨んで立ち上がらない。
「ほらほら、言われた通りにさっさと動く。痺れても立つくらいできるだろ? ……しょうがない」
こちらを睨みつけるひとりの頭に、銃を突きつけ引き金をひく。
バンッ!
血と脳漿を撒き散らし後ろに倒れ込む組員。それをみて「ヒッ」って悲鳴が漏れ、尿の匂いが漂ってくる。
「素直じゃないやつはいらないから。代わりに隣のヤツ、さっさと立つ」
三人を他の組員たちから離れたところに連れていき、佐藤孝之介に背を向けて床に座らせる。ここなら話し声程度は孝之介に聞こえない。
「質問は聞いてたな。『新宿のオジキ』ってのはどこにいる、どんなやつだ?」
「……」
「そう、黙秘ね」
組員の太ももに、剣をゆっくり刺し込む。
「ぎゃああ!」
「時間はたっぷりある。手足は四本あるし、突き放題、切り落とし放題だな」
刺した刃をグリグリとまわす。
「いう気になった?」
「グォー! ゆわんぞ。俺たちば甘うみるな!」
「大した忠誠心だな。そうかぁ、じゃ、仕方ない」
バンッ!
組員の頭を銃で撃ち抜く。
倒れるのを無視して、もう一人の組員に剣を突きたてる。
「きみは素直かな?」
「いてぇー! ヒ、ヒィィー。殺しゃんでくれ!」
「素直なら殺さないよ」
「……し、新宿んオジキは、新宿須久奈会ん谷崎敏史組長んことや」
小声で答えてくれる。
「きさま、何ゲロっとっとか!」
事務局長がうるさい。
「うるせーな。それより自分のことを心配しろよ。こいつの言うことは本当か?」
突きつけられた銃口から目が離せずに、事務局長がゴクリとつばを飲み込んだ。
「う、うう。本当や」
平組員よりもっと声が小さい。
次の三人を座らせる。
こいつらは何も喋らなかったが、孝之介からは背中しか見えていない。
俺は孝之介をちらちら見てうなずき、聞いているふりをする。時々、手足を剣で刺し銃で撃ち抜いて悲鳴を上げさせる。
剣と魔法銃だけってのもマンネリだな。
幾人かには火魔法を使う。火球で手足の指先を焼く。
鋭い氷針を爪の間に挿し込む。
「物事は二重三重に確認しないとね。あんたは若頭補佐だっけ? それとそこの下っ端ふたり。次だよ」
さらに三人を別のところで床に座らせる。
「さて、何度も質問するのはめんどうなんだよね。このふたりは孝之介の腰巾着だったね。望み薄かな」
腕と足に斬りつける。悲鳴を聞きながら、質問を繰り返す。同じことを喋ったが、新しいことはなにもない。下っ端組員ふたりを射殺する。
「……すまんな。あんたは江島の盃を受けてて、孝之介の監視をしているんだったな。後で逃がすが無傷ってわけにもいかんだろうから、こらえてくれ。右利きか?」
うなずいた若頭補佐の左肩を撃ち抜く。盛大に悲鳴を上げてくれた。
外にいる組員に声をかける。
「おーい、全員中に入れって、親分が呼んでるぞ」
「ちょっと待て、にいさん。他ん者はどぎゃんした。なしあたが呼びぎゃきた?」
「中のみんなは葉っぱできまっちゃってさー。ベロベロのドロドロ。あんたらの親分から呼んでくれって頼まれた」
「ほんとか?」
「兄貴、すぐにいかんば会長ん機嫌が悪うなるんじゃ……」
「全員急いで入れって、もう怒ってるよー。あ、この中にペースメーカー入れてる人っている?」
お互いに顔を見合わせ、「入れとらん」と返事してくれた。
不審げな顔をする黒服たちが店の中に入ったところで、麻痺。
店内にいた組員全員と順番にお話しさせてもらったあとは、みんな亜空間収納に収容する。人数オーバーで息苦しいだろうけど、我慢してね。
「さて時間がかかってホント面倒だった。佐藤孝之介、新宿のオジキって新宿須久奈会谷崎敏史組長だってな。迎えと一緒に順次は新大久保に向かったんだろ?」
「……」
「そう睨むなよ。じゃ先いって、順次を待ってろよ」
孝之介の両腕、太ももに剣を突き刺し悲鳴をあげさせ、十分な苦痛を与える。
ギャーギャー喚く孝之介の爪の間に氷針を挿し、指先を焼く。
ついでに股間を蹴り上げ、踏み潰す。
「順次の育て方間違ったんじゃなくて、親子で同類じゃあね」
そう囁いて、佐藤孝之介の額を撃ち抜いた。
無罪の客たちを店の外に解き放った。
「悪いことすると報いを受けるってわかったろ? 大いに宣伝してくれ」
ラウンジ蘭を上から下まで再度確認する。
三階、特殊な性癖用の部屋に全裸の男を残している。
返り血を浴びて真っ赤になり、摩羅をおっ立てたままだ。拘束したが、そのまま置いていく。
今回だけじゃないな。微かに古い死臭も漂っている。
宙に吊るされ息をしていない少女のまぶたを閉じてやり、合掌する。
「ごめんな。警察が来るまで辛抱してくれ。この男に報いは受けさせるからな」
男はクスリで飛んでいて、虚ろな目をして涎を垂らしている。股間を蹴り上げ、踏み潰しておいた。
陰鬱な気分のまま、ラウンジ蘭をあとにする。
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