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英雄の帰還 ほどほどでいくけど、復讐はキッチリやらせてもらいます。  作者: ヘアズイヤー
帰還ノ章

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24/60

どれどれ


 ラウンジ蘭の入口。

 客引きをする佐藤組三下黒服が、店に向かって歩いている俺に気がついた。


「あれみろばい。高そうなスーツ着とるやつが来る。逃がしなすなや」

「おお、よか男やなあ。女たちが喜んで引きずり込んでくるるごたる」

「逃げられなすなや」


 全部聞こえてるんですけど。ま、普通はこの距離なら聞こえないと思うのか。

 


「にいさん、よか娘いるばい。ちょっと飲んでいかんね」

「極楽ばい、極楽。最高ん女に最高ん酒。最高にきしょくようて、ぶっ飛ぶばい」


 何でぶっ飛ぶんだろうね。


「うーん、ほんとにいい娘いるの?」

「おらす、おらす。きっと気に入る」

「いい娘がいなかったら帰るぞ」

「ちょっと覗くだけでんよかけん」


 重そうな両開き扉を開いて店に入れてくれる。

 照明の落とされた暗い店内に入ると、充満ってほどじゃないがタバコで煙っている。

 この甘ったるい独特な香りはマリファナだな。

 大麻は古代から繊維素材と食用として日本で広く栽培されていた。吸引麻薬として使ってなかったのに、違法にしたのはヒステリックなGHQ。食用、衣料品用だったんだけどなぁ。

 熊本には葉タバコが一面に広がっている畑もある。いつもいつも外からの圧力で物事を変えられてきたのが、日本なんだよね。


 店には客が歌っているのか、オンチの演歌が鳴り響いている。

 うー、勘弁してほしい。演歌苦手なんだ。おまけにオンチときては。


「ささ、奥へ奥へ。スーちゃん、ご新規しゃんご案内―」

「はぁーい」

「へぇー、キミがスーちゃん? 美人だねぇー。じゃ、ちょっといいもの見せようね」


 そう言ってスーちゃんと黒服に笑いかけ、右手の人差し指を掲げる。


障壁(シールド)! 振動結界バイブレーション・バリア!」


 指先から大量の光の粒子が天井に吹き出し、渦を巻いて壁の中へと消えていった。

 これで建物全体が障壁に囲われて、誰も逃げ出せないようになる。あっちの裏組織のように地下に抜け道があっても、地中まで囲っているからだいじょーぶ。


「きれかー! 手品? 上手ねぇ」

「きれいだろう?」


 スーちゃん、美人ってお世辞いったが、まあまあ普通かな。手配書持ちだな。

 店内をみまわすと、彼女を含めて女性たちは際どい衣装。

 紗を上に羽織っているけど、セクシーランジェリー姿だ。なにも着てない女性もチラホラいる。そういう店だからねェ。


 席に案内しようとするのを無視して、ニコニコ笑いながらズカズカと一番奥の席に向かう。


「やあ佐藤孝之介、お初」

「なんや、きさんは」


 隣の席に座る男たちが立ちあがる。


麻痺(スタン)!」

「あびぶっ!」

「あばばばばっ!」

「ぎゃん!」


 佐藤孝之介と同席している者たちは痙攣(けいれん)する。


「すこーし強めにしたから、しばらく動けないよ。あ、きみらもね」


 隣の若い衆(わかいし)たちにもかける。仲間はずれは可哀想だしね。


「グウッ、グゥー! はぁ、はぁ、ペ、ペースメー……がぁ……」

「え?」


 若い衆(わかいし)といっても中年の組員が、鎖骨あたりと胸を押さえて苦しみだした。


「ひょっとして……心臓が悪くてペースメーカー入れてる?」


 中年組員はふらりと失神した。


「こりゃ悪い事したな。って手配書持ちだからいいか。……そうかぁ、あっちじゃ気にしなかったけど、こっちじゃ麻痺(スタン)が禁忌の人もいるか」


 麻痺(スタン)の使い方を考えないとなぁ。しかしこのご時世じゃ電池交換大変だろうな。



 孝之介たちを後ろ手にして結束バンドで拘束する。


 黒服たちが大声を出しながら、入口や階上に散っていく。何人か抜き身のドスを持って近づいてくるのもいる。

 そうそう結束バンド品薄だったけど、買い占めてしまった。ゴメンね。


 バックヤードにも麻痺(スタン)を放つ。空電ノイズとともに唐突に音楽がとまる。

 陶酔しているオンチさんは、伴奏がなくなってもまだ歌っている。いい加減腹が立ってきた。あ、こいつも組員じゃん。結束バンド行きだ。


 近づいてくる組員たち。抜き身のドスを突きつけてくる。


「おんどりゃー! 何さらしてけつかんねん!」


 お、こいつは九州じゃないのか。


「きさん親分になんばしとるったい!」


 こっちは熊本か。しっかし、こっちの裏組織は随分とヌルいな。あっちならもう刺してるぞ。問答無用で。


 亜空間収納(アイテムボックス)から魔法銃を取りだす。


 バンッ! バンッ!


 ドスを持つ腕と太ももを撃ち抜く。魔力を調整し発射音が大きくなるようにしている。


 バンッ! バンッ!


「あぎゃー!」

「あつっー! いてー! ヒー!」

「撃たれたー!」

「そぎゃん、チャカは撃てんはずや!」


 組員が一歩後ろに下がって叫ぶ。


 パンッ! パンッ!


 そいつにも転がってもらう。

 血にかまわず、全員結束バンドで拘束する。


 銃声を聞いた客と女性たちが、一斉に出口に向かったが外にでられずに騒いでいる。

 転んで大股開きの女性、オッパイも丸出しだが色気がないな。組員が撃たれたのを見てパニックになり泣き出したおじさんも。


「宴会は始まったばかりだ。ゆっくり歓談しようか。順次の居場所を教えてもらう。『新宿のオジキ』ってのはどこにいる?」


お読みいただき、ありがとうございます。


客観的に見れていない部分もあり、ご感想、ご意見などお送りいただけると感謝感激です。

誤字脱字もお知らせいただければ、さらに感謝です。

★★★★★評価、ブックマーク、よろしくお願いいたします。

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