(7) 襲撃と実践
カーテンの隙間から降り注ぐ、朝日でルオは目を覚ました。辺りを見て、ここはどこだろうと思ったが、すぐに昨日のこと宿屋に泊まったことを思い出した。自分は処刑されかけをファミラに助けられ、そのお礼?として魔術を教えることになった。
「嫌な夢を見たな、、、。」
ルオは昨日見た夢を思い出した。知ることを禁じられた技術を知ろうとするルオを、異端扱いする<学校>のことを・・・。
「俺はもう魔法を知ることをやめて、<魔術連合>に入ったんだっけ。」
(『それは、星騎士に出世するためよ!』)
「!?」
魔法を諦めたことを思うとなぜかファミラのあの自信たっぷりな顔が、脳裏によぎる
カンカンカンカン!
「ん?なんの音? この宿屋式の目覚まし時計?」
眼鏡を掛け、コートを着て、一階のロビーに降りていった。
(あぁ、パジャマが恋しい、、、。)
ーーー
カンカンカンカン!
一階についても音は鳴り止まない。他の客はこの音を聞いた途端、青ざめた顔で部屋に急いで戻る者や、神に祈りを捧げる者もいた。
(流石に目覚まし時計じゃないよな。)
「あのぅ、聞きたいことがあるんですけど。」
ルオは、急いで扉を閉めて防御魔術をかけている従業員に声をかけた。
「何! 今ここの近くで魔物が突然発生したから、必死にここを強化してるの! 聞きたことがあるんなら、早くして!」
(魔物が突然発生!? あの音は、警報だったのか!)
「いえ、聞きたいことはありません。ただ、。」
「ただ?」
「僕も、建物の強化をさせてください。こう見えても魔術師なので。」
そう言いながら、ルオは魔術師の証である、バッジを見せた。
「一等星魔術師ぃぃい!?」
従業員はルオの魔術師の位に驚いた。
「とにかく、建物を頑丈にすればいいんですよね!」
ルオは呆然とする従業員を放置し、魔術で防御結界と強化魔術をかけた。
「これでよし。そういえばファミラは?」
「どっせーい!」
辺りを見回していると、外から聞き覚えのある声を聞いた。ファミラだ。
ルオはドアの部分だけ魔術を解除し、外に出た。もちろん出た後は、しっかりと掛け直した。
「ファミラ!」
ファミラは巨大な魔物に苦戦していた。怪我はしていないものの、肩で息をしている。
「ルオ! おはよう! よく眠れた?」
こんな緊急事態でも彼女はいつも通りだった。騎士だからこういうことは慣れているのだろうか。
「そんなこと言ってる場合じゃないです! 戦況は?」
「被害は少ないし、今のところ死傷者も出ていないけど、長期戦になりそう。剣の刃が魔物に通りにくい!」
魔物のの体は鱗で覆われている。この魔物の名は<ランドドラゴン>、大地を駆ける羽根なし竜だ。<ランドドラゴン>に物理攻撃はほぼ効かない。弱点は、、、
「<ランドドラゴン>には魔術攻撃が効きます!」
「なるほど!じゃぁ、ルオ君よろしく!」
「いえ、、。」
「?」
ルオは思った。今日は、ファミラに魔術を教える日だった。だったら、
「<フィアルエ>!」
ルオが、魔物に向けて火球を放った。火球は魔物に直撃し、悲鳴をあげた。
「ファミラ! 第二回の授業の開始です! 内容は実践です!」