(55) クレーネと⬛︎⬛︎
またグローいシーンが少しあります
「そういえば、君らっていつここを出るの?」
ラジエルの性別発表の衝撃が収まりかけた時、ギヌアが言った。
「今日ですね。」
「今日なのか。早いね〜。もうちょっとここにいてもいいのに。ま、今は仕方がないか。」
(ルオは町長にクローギヌ遺跡の事について話したのですね。 こんな短期間でルオは町長が信頼できる人物と思ったのか? あるいは脅されたとか?)
「どうかしましたか? カノム隊長?」
カノムのすぐ目の前に同じ目線で、しゃがみ込んでいるファミラがいた。
「いえ、なにもありません。」
カノムは笑顔をつくった。
( 何なんでしょうか、ルオが私に距離を置いている。いや、それよりも10年前のルオとは何が違う。)
「ん?」
「どうかしたのか、カイ?」
「ルオ、この街に見知らぬ魔力が入ってきた。」
「見知らぬ魔力って、まさか!? 侵入者!?」
!?
クレーネのギヌアの顔が青ざめた。
「どゆこと?」
訳のわからないファミラはそう言った。
「見知らぬ魔力というのはウィルベリーの隠語で、
意味は侵入者。検問所や専用の転移魔術で入らずに、結界を破って入ってきた人のことだ。」
「それってやばいやつじゃない!」
ルオは目を瞑り、意識を一点に集中させて侵入者の魔力を探した。
「場所は、世界樹の根だ。」
「世界樹を襲うつもりか・・・。」
カイは真っ先に窓から飛び出して行った。窓を見ても、カイの姿は見えなくなった。
「早いな。俺たちも行きましょう!」
カイの後に続いて残りの6人も外に出て、世界樹に向かって走って行った。
ーーーー
「あっお主ら、はぁはぁ。・・・そんなにも、速く
、走らなくても、はぁはぁ。よいではないか。」
ラジエルが息を切らしながら言った。
「世界樹が大変なことになったらやばいからね。流石に急がないと。」
ルオは辺りを見回し、カイを探した。きっとあいつならもう侵入者を見つけているはずだ。
「遅いな、お前たち。」
カイが木の枝から飛び降りてきた。
「侵入者は?」
カイは後ろをを見た。
「!?」
ルオはカイの目線の先にあるものを見て、戦慄した。
血まみれの女性が倒れていた。
「お前がやったのか?」
「俺じゃない。この槍を見ろ。血に汚れていないだろ?」
「じゃあ、誰が?」
「さぁな。俺が来た時にはすでにこうなっていた。多分ウィルベリーに来た時からこの状態のはずだ。この怪我は少し前のだ、それも数分前のな。」
(誰かにやられて、偶然ウィルベリーの転移陣に触れて入ってきたのか?だとしても、どうして転移先が世界樹に?)
「カイ!ルオさん! ・・・侵入者は!?」
クレーネが走ってきた。
「この人が侵入者だ。ちなみに俺とルオは何もやっていない。来た時からこうなっていた。」
「・・・ひどい傷。 すぐに手当てしなくちゃ!」
クレーネは治癒魔術で肩から腰にかけて斬られた刀傷を塞いでいった。
「うわ、左腕が切断されてる。しかも、弓を握ってる。」
ルオは自分の足元に倒れている人の左腕が転がっているのを見つけてしまった。
「クレーネさん、俺も手伝います。一応一等星なので。」
「ありがとう、助かるわ。」
ルオは魔術補助結界を貼り、切断された左腕を女性の体に元の形に合わさるように合わせ、上級治癒魔術<リジェニィラティオン>を発動させた。
「うそ、ツェルカ先輩、なの?」
ファミラは女性の名を言った。
「知り合いなの?」
「うん、私の先輩。教会騎士獣ノ隊一級騎士ツェルカ=ラゼン。」
「そんな人がどうしてこんな状態に?」
「分からない。」
ファミラは首を横に振った。
「この刀傷、すごい酷い。よくこれで体が繋がっているわね。」
クレーネはツェルカの背中を見て「!?・・・・」 目を見開いた。
「どうかしましたか?」
隣で腕をくっつけているルオが言った。
「ううん、なんでもないわ。よくこれでまだ息があるのねって。」
「確かにそうですね。 あ、ようやく腕がつながりました。」
「よし! カイ、お父さん! 担架を持ってきて!
家で治療を続ける!」
「病院ではなく?」
「・・・これは病院に見せてはいけない。それに、私、治癒術師見習いだし!」
「それは一体・・・。」
どういうことなのだろうか? ウィルベリーの医術は世界的にも高度なはずだ。
「・・・・・。」
クレーネの顔は思い詰めた顔をしていた。




