(54) ルオと虫
後半に少しグロデスクなシーンがあります
ルオは昔から虫がだいきらいだった。
虫がどこにでもいて、ビジュアルが受け付けられない。
それに、あの小さい体で自分の体の死角に入られると、びびってあばれることが幼い頃によくあった。
フロフィノは雪国で大体の虫は生息することが不可能だから、フロフィノで生活した時は虫とは無縁の生活を送れていた。
「うっそ! ルオって虫が苦手だったの!? 私虫を食べるのが好きそうと思ってた!」
「なんで、俺が虫食べるのが好きな方いくんだよ!? 好きそう だったら分かるけど、食べるの がは聞いたことがないけど。」
「え〜、だって、虫食べそうな顔してたんだもん。」
「俺の顔って虫を食べらそうな顔してんの?」
「してないです。 というか、虫を食べるのはビセア人と獣人の一部だと思います。」
「だよね。」
カノムはルオの味方だった。
「虫食べるのって、ビセア人と獣人だけなの!?」
ファミラは初耳だったようだ。
「ウィルベリーは、元々ウィルベリー王国っていうエルフと獣人の国だったの。 獣人って肉食だったり、草食だったり、雑食だったらするのよね。
一部の獣人だけが昆虫食を食べてたけど、そのうちエルフも一部も虫を食べるようになって、結果今の街に昆虫食の文化が残ってるって言われてるのよ。」
現地民のクレーネが説明してくれた。
「クレーネちゃん、そうなの!?」
(いつのまに ちゃん付け!?)
「私は食べないけどね!! 一応アレルギーの人でも食べれるように聖術をかけてるみたいだから、誰でも食べられるのよ。私は、食べないけどね!!」
クレーネは2度同じことを言って念を押した。
「ま、昆虫食以外にも菜食主義の人も一定数いるみたい。 私はお肉も食べるけど。」
「つまり、ウィルベリーは獣人が住んでいた影響で豊富な食文化があるってわけか。」
何度もウィルベリーを訪れてはいるが、食に関しては全く気にしていなかった。なにせ、最近は<帝国製携帯食>で栄養をとっていたのだ。
「獣人か〜、私全然会ったことないや! クレーネちゃんは会ったことあるの!?」
「・・・うん、あるよ。 」
「どんな獣人!!?」
「えっと、・・・そだね、コウモリの獣人だったかな? でも、獣人にはあまり会ったことないかな。」
クレーネは若干言葉を濁していた。
「女騎士よ。あまりウィルベリーの民に獣人の話をするでない。」
ラジエルがさっきとは違う冷静な雰囲気でファミラに釘を刺した。
「どゆことよ! この破廉恥天使!」
「ウィルベリーにとって、獣人は裏切り者。1000年もの間ずっと憎んでいる。 いや、ウィルベリーだけではないな。あらゆる種族が彼らを嫌っている。 場合によっては獣人という単語を言っただけでも、斬り殺される時もあるぞ。」
ファミラに破廉恥と言われても、ラジエルは冷静なままだった。
「・・・そうなのね。 ごめんねクレーネちゃん、嫌な質問しちゃって。」
ファミラは一瞬沈黙し、クレーネに謝罪した。
「別にいいのよ。私は獣人を嫌ってないし。」
「嫌ってないのはクレーネやギヌア様、さらに俺ぐらいだけだがな。」
「カイ!!」
ウィルベリーにとって獣人は複雑な事情があるのだろうとルオ達3人は思った。
「あ!そういえば! ルオ君! 我の性別はなんだと思うかな?」
暗い話を無理やり切り替えるかのようにラジエルはルオに自身の性別を問うてきた。
「え、男とか?」
「はぁ〜!? 男ぉ〜!? 」
ファミラは何故か過剰に反応した。
「ざんねーん! 不正解じゃ!」
「てことは、女?」
「それは無し無し!!!」
ファミラはまたまた性別云々に過剰に反応した。
「ぶっぶー。残念なのじゃ!」
ラジエルは両手でばつ印をつくった。
「もしかして、ラジエルさんの性別って、ないんですか?」
ルオの代わりにカノムが答えた。
「大正解じゃーーー!」
「「「「「は?」」」」」
この場にいるギヌア以外はまさかの答えに、驚いて固まってしまった。
「天使は性別を選ぶことができるのじゃよ! そして、我は今も性別無し!」
ラジエルは胸を張って自慢げに言った。
「マジで天使って、何?」
ルオは自分が思ったよりも天使が複雑であると思った。
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整備されていない道に、1人の女性が倒れてい
た。
全身血まみれで、左の腕は肘の辺りで切断され、切り離された方は血で紅く染まった弓が握られていた。
肩から腰にかけて深い刀傷があり、そこから大量の血が溢れていた。
彼女は後悔していた。
あぁ、どうしてもっと早く気づかなかっただろうと。
もう、遅いのだ。 今気づいても。
このことが本当だとしたら、
あの化け物とあの人は生贄のために大量虐殺を行うだろうと。
もう、自分では止められない。止めることができない。
唯一止めることが出来る者は・・・




