(53) ファミラとラジエル
ルオはファミラの手中にあるものを見て、大絶叫をし、白目を剥いて気絶した。
「えっ!? ルオ!? どしたの?」
ファミラは手の中にあるものを落とさぬよう気をつけながら、ルオの肩を叩き、起こそうとした。
ラジエルは顎に手を当て少し考えた後、手をポンっと叩き、テクテクとファミラに近づき、彼女の右手を開かせた。
「うむ、やはりか。 ルオ君も可愛いとこがあるのじゃのぅ。」
「えっ!? 誰あんた?」
ファミラはラジエルの存在に今更気づいた。
「ここに来た時から居ましたよ。 私は町長の客人だと思い、放置してましたけど。」
「私たちも、カノム様に、同感かな?」
「・・・・あぁ。」
クレーネとカイは暑さにやられた虫のように死にかけの顔で言った。
「2人とも、どうして私のことを様付けするのですか?」
カノムはキョトンとした顔で2人を見た。
「ルオ君よ。これは死んでおるからお主に飛びかかってくることはない。
ほれ、起きるのじゃルオ。」
ラジエルはルオをトントンと優しく叩き、ルオの額に、・・・接吻をした。
「「「・・・・・・は?」」」
ファミラ、カノム、クレーネはラジエルの突然の行動に理解が追いつかず、フリーズした。
一方ギヌアは大きなため息をついて、部屋の壁の側に立ち、安全圏に避難した。
「・・・ん? あれ? ラジエル? 俺、気を失ってた?」
ルオは気が付いた。
「ル・オ・くーーん! 目が覚めてよかったよ!
気絶しちゃったから、我がお主と<連結>して起こすハメになったではないか!」
ラジエルはルオに飛びつき、自分の頬をルオの頬にスリスリと擦った。
「・・・ちょっ、ちょっと待って!」
ファミラはフリーズ状態から元に戻り、勢いよくラジエルとルオをブッチリと引き離した。
「お主! 痛いではないか! この偉大なる大天使ラジエル様に何をしてくれる!!」
ラジエルは部屋の壁に思いっきり突き飛ばされた。しかし、ラジエルの体は無傷でピンピンとしていた。
「それはこっちのセリフよ!! あっあんたっ! ルオになにあれをしてくれるのよ!! このスーパー破廉恥野郎!!」
ファミラは顔を真っ赤にして、ラジエルに怒鳴った。
「えーっと、ラジエル、何したの?」
状況が全く分からないルオは2人を交互に見た。
「あぁ、ルオ君を起こすために、我がルオ君の精神に入ったのじゃよ。その為にはルオ君の体のどこかに触れなくてはならなくてはのぅ。
この娘、我がルオ君にちょっと触れただけで興奮しておったではないか。」
「あ・ん・たが! あんなことしたからよ! 体のどこかに触れるんだったら、ちょっと手とか触るぐらいでいいじゃない!!
そ、それをあんな、あんな! 破廉恥な!!!」
ファミラの顔はますます真っ赤になっていった。
(マジで、ラジエル、何したんだよ?)
「ところでルオ、一体何を見て気絶したのですか?」
ラジエルのアレを見た証拠人の1人のカノムはコホンッと一つ咳払いをし、ルオに質問した。
「えーっと、その、俺・・・。
虫が苦手なんです・・・。」
「え、どうして?」
ファミラの手中にあったのは、
虫のスナックだった。




