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あなたにおくる魔法の教科書  作者: 珍獣モフ犬
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(52) ルオとラジエル

「ふぅ、、。良い味だ。お主、我が眷属に転職しないか?はずれの神よりかは高待遇だぞ?」


「本体が状態でよくそんなこと言えるよね。流石<創造神>の魔術かな? あっ、確かに美味しいね。ルオ君、この最弱童貞上ニートクソ天使より、僕の方に転職しない?」

 町長ーギヌアは子供に皮肉ったらしいことを言っている。そして若干悪口らしいものも言っている。


「・・・考えておきます。」

 ルオは部屋の出口の近くで、空気になろうとしている。


(なんだか、めんどくさくなってきた)


「ルオ君、お主はなぜそんな場所におるのじゃ?我の側に座ったら良いのに。」

 ラジエルはソファの座面をトントンと優しく叩いた。


「ルオ君はこっちに座った方がいいよ。<天使>にまともな奴は居ないんだから。」

「おい!ギヌア! 何度我を侮辱すれば気が済むのだ!」

 ラジエルは呪文を唱え、ギヌアの顔面に向かって魔術を放ったが、発動した魔術はロウソクよりも小さい火で、ギヌアに到着する前に消えた。


「じゃあ、俺は座らず立っておきますね。」

 ルオはどっちに座ってもめんどくさいことが起こると察した。


「座ってくれないのは不満であるが、ギヌアが居るから仕方がない。

 では、<天使>について説明しよう。」


 ルオはごくりと唾を飲み、ラジエルの説明に耳を傾けた。


「<天使>とは<自立式魔術>の種類の一つだ。<自立式魔術>は自動で行動できる魔術。その中で<天使>は魔術式に実体を持たせた魔術だ。」


「自立って、『自律』じゃなくて?」

「あぁ、我ら<天使>は創造主の命で行動するからな。」

「ってことは、魔導の<ゴーレム>に近いのかな?」


 ゴーレムとは、魔導式(プログラミング)に従って行動する泥人形のことだ。

 

「その通りじゃ。流石はルオ君!

 ゴーレムは<自立式魔術 天使>を元につくられた技術で、<天使>よりもコスパが良いと言われておる。」

 

「<天使>は色々いてね。ラジエルは<知の天使>で1番最後に生まれて、最弱。僕が羽を狩らなくてもグーパンで倒せるね。」

「ギヌア!我の説明に横槍を入れるでない!」


「ラジエル以外にはどんな天使がいるのですか?」

 ルオは昨日の事を思い出した。

 クレーネに罹った呪いの正体は<自立式魔術 花の天使>だったのだ。


「えーっと、<正義の天使(ミカエル)>、治療の天使(ラファエル)自然の天使(ウリエル)忠義の天使(セラフィエル)、と昨日エルフから引っ剥がした花の天使(ガブリエル)などじゃ。

 天使は創造の天使(ラドゥエリエル)のおかげで数え切れないくらいにあるのだ。」


 ラジエルは指折り数えながら天使の名を言っていったが、多すぎて言うのをやめた。


「ガブリエルって、昨日の魔術の?」

「・・・あいつか。」

 ギヌアの周りの空気が重く鋭利な刃物のように鋭くなった。


「残念ながらやつは、我とルオ君の<共演>によって<天界>に放り投げたから、再会するにはちょっとめんどくさい方法になるぞ。」

「・・・今は、再会しないよ。クレーネとカイの結婚式が行われるまではね。」

 ギヌアの周りの空気が元に戻った。


「てか、ラジエル・・・。」

「なんじゃ♩ ルオ君♡」

 ラジエルが嬉しそうにこちらに振り向いた。


「俺と勝手に<共演>したの?」

「まーな♪」

 ラジエルはニコニコの笑顔でVサインをした。


「どうやってしたの?」

「うーんと、詳しくは説明できんが。我はルオ君が<フロフィノ式魔術>を使うことを知って、<逆さ型輪唱>をしたのじゃ。その時にキマイラ君の魔力を使ったがな。」


「・・・マジ?」

「うむ! 全ての魔術を知り、使える我にとって<フロフィノ式魔術>の上位技術を使うなんて朝飯前じゃ!」

「魔力ないから詠唱すらできないけどね。」

「我とルオ君の会話に口を挟むな!ギヌア!」

「はいはい、わかりました、ヨー。」


「・・・全ての魔術を使えるってことは、<マギア・アルケミスト>も?」

「モチじゃ!」


「うっそ・・・。」

 ルオは口をパクパクさせ、石のように固まった。


「どうしたのじゃ?ルオ君?」

ラジエルは自分が言ったことの重大さが分からなかった。

「だって! <マギア・アルケミスト>は、この世で最も()()()()()

魔術なんですよ!?

 しかも、太古の魔法戦争で<錬金術師>はおろか、<錬金術>も1()()()()()()()()んですよ!?」

 ルオはラジアルに詰め寄り、顔の近くで早口で説明した。


「<錬金術>が滅んだって、マジか。」

 ラジエルは<錬金術>が滅んだことは知らなかったようだ。


「はいはーい! とりあえず落ち着いて、ルオ君。

 <錬金術>は消滅したけど、跡は残ってるから。」

 ギヌアが手をパンパンと叩き、そう言った。


「跡があるんですかぁあ!!」

 ルオは今度はギヌアに詰め寄った。


「ちょ!? ルオ君!? ギヌアに浮気するのか!?」


「ラジエルはちょっと黙って! コホンッ! 

 <錬金術>の跡は確かに残ってるけど、ルオ君はそれよりも先にすべきことがあるでしょ?」


「はっ! 確かに・・・。俺はもう一度<クローギヌ>に行って真実を確かめなくっちゃ!」

 ルオは正気を取り戻した。


「真実、か。 ルオ君とキマイラ君には教えらないな。・・・」

 ラジエルはぼそっと誰にも聞こえないように言った。


 ガチャ


「たっだいまー!」

「ファミラ!?」

 部屋の戸が開き、外からファミラ達観光組が入ってきた。カノムは満面の笑みで、クレーネとカイは死にかけの顔をしていた。

(・・・、あ。 早速カノムに振り回されたのか。)

 ルオは察した。


「ルオルオーー! ウィルベリーで面白いものを見つけたのよ!」

 ファミラはガサガサと紙袋から何かを取り出した。取り出したものはファミラの右手の中にあり、ルオには見えない。


「何を見つけたんですか? もしかして<なりきりエルフセット>ですか?それとも、<なりきり獣人セットですか?」

 ルオはこの街の定番のお土産を挙げた。


「違うわよ。 正解は、ダラダラダラダラーーダンッ!」


ファミラは右腕を大きく回し、ルオの目の前で停め、指を開いた。


「え?・・・・ちょ、まっ・・!?

 ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

ああああああああああああああああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


 ファミラの手の中にあった物を見て、ルオは人生最大とも言えそうな悲鳴を上げた。

「え!? ちょ! ルオどうしたの!?」

 ファミラはいきなりの悲鳴に混乱した。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<問題>Q

ルオが悲鳴を上げた原因はなんでしょう?


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