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あなたにおくる魔法の教科書  作者: 珍獣モフ犬
53/60

(50) ルオとギヌア

 応接間のソファに1人の子供が座っており、優雅に紅茶を飲んでいた。

「ふぅ、、。良い味だ。お主、我が眷属に転職しないか?はずれの神よりかは高待遇だぞ?」


「本体が状態でよくそんなこと言えるよね。流石<創造神>の魔術かな? あっ、確かに美味しいね。ルオ君、この最弱童貞上ニートクソ天使より、僕の方に転職しない?」

 町長ーギヌアは子供に皮肉ったらしいことを言っている。そして若干悪口らしいものも言っている。


「・・・考えておきます。」

 ルオは部屋の出口の近くで、空気になろうとしている。


(なんだか、めんどくさくなってきた)



ーーー数分前ーーー


「さーてーとっ、。<天使>についてだっけ?たしかに単刀直入だなぁ。でも、それよりも前に聞きたいことがあるんじゃない?」

 ギヌアはルオを応接間に招き入れ、真ん中にあるソファにどんと座った。頭に花が咲いていたような雰囲気だが、目は真っ直ぐと一直線にルオに向いている。


(何が目的なんだ?)

「・・・、・・・。ギヌア様は、、何者ですか?」

 ルオは頭の中で浮かび上がる疑問を全て一度退け、絞り出すように言った。


「初っ端でそれ聞く?ま、<天使>以外の話を提案したぼくが言えることじゃないけど。」

 ギヌアは苦笑した。


「俺の正体を見破ったんだ。あんたはただの町長じゃないよ。」

 ルオの声のトーンが下がった。


「だいぶ口調が変わったね? その態度と口調は()()君の、だね。君は色々と引き継ぐタイプ?」


 部屋の空気が鋭い刃物のようになった。 


「・・・、視えすぎた目は自信に禍をもたらしますよ。」

 ルオは全身にうっすらと魔力を込め、戦闘態勢をとった。


「えぇ〜、僕を消すの? 勝てないのに?」 

 ギヌアは棒読みのように言った。目は全く笑っていない。

 そして、全身から恐ろしい殺気が漏れ出ていた。


「・・・はぁ〜。 ・・・・たかが数百年生きた魔獣が、<羽狩り>に吠えるなよ。」


「!?」

 ルオは驚きソファから後ろに跳び下りた。足は僅かに震えていた。


 パチンッ!

 ギヌアが突然指を鳴らし、何処からかティーセットが現れた。

 ルオは突然の謎の行動に困惑し、全身に纏っていた魔力を解いた。


「うんうん。他の8体とは違って話が通じるみたいだ。良かったよかった。大丈夫だよ、()()君。君の正体のことは他言無用にしとくよ。」 


「へ?」

 

「その代わり、僕の正体は君には教えない。これでこの質問の答えとしよう、僕と君は互いの正体を()()()()。どう?」


「・・・チャラってことですか?」

 ルオはギヌアのことを警戒しながら言った。

(表はチャラ、裏は俺の正体の確認、か。俺が動揺させるのが目的か。)


「そーそ。僕も君も、自分の正体は身近な人にはバレたくないでしょ?・・・はい!これで第一の質問終わり! じゃ、次の質問どうぞ?」

 さっきまでの殺気は消え、皆んなの前で接していた、にこやかな顔に戻った。


(この人、本当に何者なんだ?)

 ルオは恐る恐るソファに座った。そして、深呼吸し、再びギヌアの目を見た。

(敵わないな、この人には、一生。)

 


「・・・質問ではなく、俺がここに来るまでの経緯を話します。」

「うんうん。それで、僕は何すればいい?」

「俺の身に起きたことが一体何なんなのか、教えて欲しいんです。」


「う〜ん。僕がそれについて知ってるのだったら答えられるけど?」

 ギヌアは腕組みをして、目を瞑り、自分の知識を確認していた。


「多分答えられると思います。」

 ルオはパサっと羊皮紙の束を机の上に置いた。

「これは?」

 ギヌアは羊皮紙の束を取り、紙に書かれた文字に目を通した。


「昨晩、徹夜してエトンと一緒に調べ上げたことです。」

「エトンが!? 他の人と、一緒にぃ!?」

 ギヌアはルオの口から出た言葉に驚いた。


「エトンがどうかしましたか? あいつは一応俺の後輩に当たりますけど?」

 ルオはギヌアの反応がどういうことか分からず、首を傾げた。


「まさか、あいつが・・・? いや、今は考えないでおこう。だいぶ前のことだし、うん。」

 ギヌアは深呼吸をし、自身を落ち着かせた。


「ギヌアさん?」


「あーいや、大丈夫。なんでもない。ちょっと全く同じ名前の知り合いがいたんだ。

・・・うん、人違いだ。

 それよりも、君の話だ。ちょっと見た限り、()()()()が複雑に絡んでるっぽいし、僕が一番答えるべきかもしれないからね。

 それじゃ、話してくれないかな?」


「はい、分かりました。」


ーーーー


「なーるほど、これはある人物を巡った事件って言ったらいいのかな?」

 ルオの話を聞いたギヌアは顎に手をやり、そう言った。


「ある人物?」

「そ〜。その人物は今キマイラ君の()()()()()()。」


「えっ?」

 ルオは森の中でレイグに言われたことを思い出した。

「白い、翼・・・。」


「もしかして、もう発現したっぽい?」

「はい、教会騎士の1人が白い翼が出てるって。俺は見えませんでしたけど。」

 ルオは自身の背中を見たが、白い翼らしきものは全く見当たらない。


「・・・これは、僕の出番だね。」

 ギヌアは立ち上がり、部屋の端にある棚の引き出しを開けて、何かを探し出した。

「?」


「ルオ君、僕は<羽狩り>という者でね。<天使>や<悪魔>を殺すことが出来るんだ。もちろん、人の身体に宿る<天使>や<悪魔>を引っ剥がすこともできる。」

 ギヌアは引き出しから古い鏡を取り出した。


「そして、君は今、<天使>は魔力の粒子となって、君の魔力と混ざろうとしてる。

 普通は一瞬で混ざって、たちまち生き物の体は<天使>の身体となる。

 でも、君の場合は元々()()()()()()()()()()()()から、三つ目の魔力が混ざりづらくなって、まだ<天使>は君の身体を奪いきれてない。」


「・・・つまり、<天使>を引き剥がすのは今が好機、ということですか。」

「うん、そ。 それじゃあ、引き剥がすよ。」

 ギヌアは鏡にルオの血を垂らし、ルオの姿を鏡に映した。



「ぎゃぁぁあああああああああああああ!!!!」


 悲鳴とともに、白い光がルオの中から出てきた。







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