(41) 見学者?と魔道具
「ねぇ、誰かが私達を見ている気がするのだけど、気のせいだよね?」
「「え?」」
ルオとカノムは驚いた。
「2人は気づいてないから、やっぱ気のせいかな?」
ファミラは自信がなさそうに言った。
「もしかして獣ノ隊の方達でしょうか?」
「まさか、、。」
獣ノ隊にわからないような道のりで来たはずなのに、まさか追ってきたのかとルオは焦った。
「・・・ギヌア様が仰った通り、お前たちは何かに追われているのか。」
「「「!?」」」
何処からか聞いたことのある声がした。そう、カノムが迷子になった時に出会ったあのエルフの。
「・・・伝言を届けにきた。」
突然、3人の真ん中に無口エルフのカイが現れた。なんの前触れもなく、瞬きしたら目の前に居た。
「「「は?」」」
3人は今起きたことに理解が追いつかなかった。
しかしカイはそんな事は気にせずに、すたすたと部屋にある机に封筒を置いた。
「では、また明日会おう。」
そう言ってカイは窓から帰ろうとした。
「ちょっ、ストップ、ストーップ!!」
我に帰ったルオが慌ててカイをこの場に止める。
「どうした?」
カイはなんの表情も変えずに答えた。
「なっなんなんですか!?いきなり!?」
ルオは驚いた衝撃でちょっと昔の口調に戻った。
「いきなりとは?」
「いきなり、部屋に入ってきたことですよ!せめて扉から入ってきてください。不法侵入ですよ!」
ルオは部屋の出口である扉を指した。
「俺だって、扉から入ろうとした。」
カイはムッとした顔で言った。
「じゃあなんで?」
「・・・このホテルが<怨霊>に取り憑かれているからだ。」
「ぎぃやぁあああーー!」
カノムが<怨霊>という言葉に反応して悲鳴を上げだ。
「え、<怨霊>がここに?そんなはずはないわ、だってあいつらは・・・。」
反対にファミラは否定した。
「どうしてここに<怨霊>がいるんだ?このホテルが、事故物件であることは聞いたことがないが。」
「扉が勝手に開くんだ。それが証拠だ。現にこの部屋も開けると冷気が出るタンスがあったり、人が閉じ込められた絵がエントランスホールにあった。」
「「「・・・。」」」
「俺は昔ギヌア様に<怨霊>は聖なる力で無ければ払うことはできない、見つけたら触れずに置いとくことが良いと言われた。だから、窓から来た。窓は勝手に開かなかったからな。」
「「「・・・」」」
3人は温かい目でカイを見た。
「あの、カイさん。それは帝国の技術です。」
ルオが落ち着いた声で言った。
「<怨霊>を操る技術を帝国が!?」
「違います。魔導具です。近年帝国とレクテが遊び感覚で作ってしまった技術があり、それが魔導具です。」
「・・・まどうぐ?」
カイは首を傾げた。きっと初耳なのだろう。
「先ほどカイさんが言っていた、勝手に開く扉は<自動ドア>、冷気が出るタンスは<冷蔵庫>、人が閉じ込められた絵はカメラによる<写真>です。どれも帝国とレクテで作られた魔導具です。決して<怨霊>ではありません。」
「なっ!?なんだと!?」
カイにとってはは雷に打たれたような衝撃だった。
「まさか、世界はこれほどの技術を持つなんて。」
「オッホン!それで、俺たちに何の要件があるんですか?」
ルオは咳払いをして、忘れかけていたことを言った。
「その書に書いてあるが、ギヌア様が明日ゲルダの呪いを解いてくれたお礼をしたいから、もう一度町長の家に来て欲しいとのことだ。」
カイは一瞬で元の無表情に戻り、答えた。
3人はこいつ、面白いなと思ってしまった。
「要件はそれだけですか?」
「あぁ。突然の訪問失礼した。」
「いえいえ、ちょっと面白かったから。」
「?」
カイは首を傾げた。
「あ、いや、なんでも無い!」
「そうか、ではまた明日会おう。」
そう言ってカイは今度は扉から部屋を出て行った。
「カノム隊長。」
「なんでしょうか?」
「もしかして、<怨霊>とか苦手なんでしょうか?」
ファミラが少し笑いながら聞いた。
「べっ!、べつにああいう実態のないよくわからない物体はこの世に存在するはずがありません!よって私は<怨霊>は苦手ではありません!」
カノムは赤面して言い訳した。
「<怨霊>が苦手でもいいじゃ無いか。ようやくカノムらしくなってきたんだし。」
ルオはカ懐かしい目でかつての親友を見た。
「たとえこのような姿でも、私は大人として振る舞はなくてはいけないのです!!」
カノムはそう叫んだ。




