(37) 『リーフレスト』と石碑
高級ホテル『リーフレスト』は植物と美しいハーモニーを奏でている。この街の自慢のホテルだ。
ホテルの門を通り過ぎ、敷地に入っていくと、数多の植物が自然のままに、しかし整った、奇跡のような庭園が見れる。
「うおっ!凄!」
真っ先に足を踏み入れたファミラは驚き、一度退却した。
「うわぁ、流石高級ホテルだ。今まで泊まってきた宿屋とは格が違う。」
後に続いてルオとカノムが門を通った。
「2人の言う通りです。本当に綺麗です。あっ!あれは光蝶!初めて見た!ルオ!捕まえにいこ!・・・あ、すみません。今のことは忘れてください。」
カノムは年本来の反応だ。ルオは10歳の子供としていれば良いのにと思った。一体何がカノムをそうさせたのか・・・。
建物の扉の前には、1人の男性が立っていた。
3人の姿が見えると男性はきっちりとした礼をした。
「ようこそ、ホテル『リーフレスト』へ。あなた方3人はギヌア町長の友人とお聞きしました。」
「友人?え、早。」
まさかもう、友人とは。町長の娘を奇跡的に助けることができただけなのに。
「良かったじゃない。つまりルオは町長に認められたんでしょ?」
「まぁ、ね。今まで町長とは会っていなかったけど。これからウィルベリーには楽にこれそうかも。」
「私は支配人のディルです。ホテルの代表として、案内をさせていただきます。」
「「「よろしくお願いします。」」」
ーーー
建物の中は、やはりウィルベリーとの街だけあって。中も植物が至る所にある。照明は暖かい色で、見るだけで夢の世界に行ってしまいそうだ。
「これは?」
ルオはエントランスホールの中央にある石碑に注目した。
石碑には<神代>の文字で何か書かれてあった。
「亡国の王、レピオスが言ったとされる者です。」
「レピオス王、確か<世界樹の国>の最後の王でしたね。若い頃から医術の知識に長けており、その手で貴族や庶民だけでなく、敵国の兵士まで命を救った人物です。」
カノムは淡々と説明する。以前は歴史が苦手だったのに。今はとても詳しくなっている。本当に一体何があったのか。
「歴史にお詳しいのですね。おっしゃる通りレピオス王は心優しき王で国民からは医術神とも呼ばれていました。しかし、敵味方身分関係なく人を救っていたことから、国民に顰蹙を買い、反乱が起き、火炙りの刑となりました。」
支配人がカノムの後に続いて言う。
「レピオス王、何だか可哀想。」
ファミラは悲しい顔で言った。
「でも、そうなるのは仕方がないことなんだ。レピオス王の時代は大陸戦争時代。敵国を助けるなんて、屈辱の時代だ。 レピオス王も自分が処刑されることは承知の上で人を助けることを選んだ。」
「そうだけど、でも、、。」
ルオの言葉にファミラは小さな反論をした。
「それでも、今、彼は世界で有名な偉人の1人だ。長い時を経てようやく彼の優しさに世界が気づいたんだ。
だから、今は嘆くんじゃなくて、称賛するべきなんじゃない?」
ルオはそう言って。ファミラに向かってウィンクをした。
「うん、そだね。偉人さんって大体かなり時間が経ってから讃えられるよね。」
ファミラは悲しい顔から元の明るい顔に戻った。
「レピオス王は晩年、偉人にについて言い、後にこの石碑に書かれました。」
ー ー
この世の英雄の手は他人の血で汚れ、
この世の愚者の手は自分の血で汚れる。
偽りの英雄は生きている間に称賛され、晩年以降批判される。
真の英雄は生きている間批判され、晩年以降は称賛される。
この世の英雄は<偽りの英雄> か <真の英雄>、果たしてどちらか。
ー ー




