(36) 依頼完了と帰宅
ルオ、ファミラ、カノムは高級ホテル<リーフレスト>に向かっていた。
「ねぇ?ルオ、いくつか聞きたいことがあるんだけど?」
先頭を歩いていたファミラが立ち止まり、ルオとカノムも続いて立ち止まる。
「どうかした?」
「いやぁね。まさか<呪い>って、『愛』とか、『祈り』で消えるんだなーって。ルオが真顔で言うのも、おかしかったけど。」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーー!!!」
ルオはあの時のことを思い出して、あまりにも恥ずかしくて顔から火が出そうになった。
「恥ずかしかったんですね。」
カノムがストレートに言う。
「お願いだから、それは忘れて。まじでお願い。恥ずかしくて<地下世界>に行きたいから。」
ルオはしゃがみ込み、両手で顔隠した。
「まーまー、ルオ。ここは<天空王国>ではありませんよ?ほら、そろそろ立たないと、、周りの人が見てますよ。」
カノムの言う通り、周りの人にめっちゃ見られてる。
「うん。分かった。」
ルオは軽く頬を叩き、立ち上がった。
「で、聞きたいことがあるのが幾つかあるって言ったけど残りのは?」
「そうそう! ルオが<呪い>を解くときに最後に放った魔術は何なの?あれって<レーベヘェス式>じゃないよね?」
ファミラはやはり鋭かった。これならばすぐに魔術が上達するはずだ。
「ファミラの言う通りあれは<レーベヘェス式>じゃない。あの魔術は<フロフィノ式>魔術だ。」
「フロフィノ? フロフィノって帝国の真北にある雪国よね?」
「あぁ、俺の母国でもある。」
「は?、母国ぅ!?」
突然の衝撃事実にファミラは口をあんぐりさせた。
「ファミラって、あまり人の個人情報とか全然聞かないから。それに、ファミラにとって生まれがどうとかは要らないんじゃ無いのかなって。だから、今まで言わなかったけど。」
ファミラは不思議な人だ。人の肩書きなんか気にせず、人の顔を真っ直ぐに見る。
「それって、褒めてる? そんな私は<騎士団>の人達に結構笑われてるよ?『時代遅れ』だって。」
ファミラは怪訝な顔でルオを見た。
「そんな事ないよ。ファミラの生き方が今は時代遅れだとしても、何年後、いやもしかしたら数ヶ月後にはファミラの生き方が当たり前になるかもしれないよ?」
魔術連合では、魔術の定義などが変わるのは日常茶飯事だ。連合の魔術師は基本『当たり前』と言う言葉を嫌っている。
どんな認識や定義もいつかは変わる。それを『当たり前』と言うのは矛盾している。ルオも連合の魔術師としてそう思っている。
「そう。じゃあ、褒め言葉としてありがたくいただくわ。ありがとう、ルオ。」
ファミラは怪訝な顔をやめ、満面の笑みで感謝を述べた。
「話を戻すけど、フロフィノ式魔術やビセア式魔術は、<魔術言語>の基本テストが終われば詳しく教えるから。」
「分かった。じゃあ、何としても満点を目指さなきゃね!」
ファミラは猛スピードでホテルへ走っていった。
「別に満点じゃなくても、ある程度覚えていれば良いんだけど・・・。」
元気に走っていくファミラを見て、ルオは苦笑した。
「良いんじゃないですか?結局<レーベヘェス式魔術>を上達させるためには覚えなくてはいけませんから。」
カノムはそんな正反対の2人を微笑ましく見ていた。




