(34)<花の天使>と<知の天使>
空から誰かの声が聞こえた瞬間、空から降ってきた一本の矢が天使の体を貫いた。天使は悲鳴をあげ、真っ黒な血を吹き出しながら、花畑に倒れた。
「え? 何が起きたの?」
一瞬の出来事にクレーネは何が起きたのかわからなかった。
「ご主人の<魔法>を、解くなんて・・・。まさか、ウィンデヘェルが!?」
天使は足をふらつかせ、口から真っ黒な血を吐きながら、立ち上がり、空に向かって叫んだ。
「・・・お父さん、と他に誰かがクレーネのすぐそばにいる・・・!」
クレーネは夢の外の世界に誰かがいることに気づいた。
彼女の体が輝き出し、夢の世界から消えかけていく。
「ま、待って。そ、う、ワ、サセナイ。」
天使立つだけで精一杯だが、花を操り必死でゲルダ
を花畑に止まらせようとした。
「くっ!」
花の蔓やがクレーネの手や足に巻きつき、行かせまいとする。しかしクレーネは頑固な蔓を引きちぎり、自分の世界に帰ることを強く願った。
「こうなったら、ご主人様の<魔法>で、、、。」
諦めが悪い天使は、夢の世界の形を箱の形に変え、クレーネを閉じ込めようとした時、
「お主は相変わらず、諦めが悪い。いい加減諦めたらどうだ?」
「!?」
天使ーガブリエルの頭上に、彼女同様白い羽が生えた子供が空中に立っていた。
その子供は6歳ほどの容姿で、髪は子供の背ほど長い。
「おま、えは、、!」
ガブリエルは子供の姿をしっかりと見た途端怒り出した!
「裏切りものが、なぜ、ここに!?」
「キマ君の中にいたからだ。」
子供は淡々と答える。
「エルフの子よ、其方の家族が外で待っている。ここは我がなんとかする。だから行け、こやつは我のけじめ。心配するな、」
子供はさあ言うと、クレーネを空に浮かせた。
「ここは夢の世界だ。其方の思うがままに世界はなる。用は空を歩きたいと念じれば歩ける!出口は空にあるあの穴だ!」
子供は空にヒビが割れたような穴を指した。
「・・・ありがとうございます! お気をつけて!」
クレーネはそう言って、夢の世界に穴が空いた場所に走っていった。」
「さて、ガブリエル。お主には退場してもらおうか。お主の出る幕はもっと後だ。」
子供は手に魔力を込め、それをガブリエルに向けた。
「まっ、待ちなさい!」
ガブリエルは自身の羽を輝かせ、結界を生み出した。
「この世界の生き物が嫌いなお前が、どうして!?」
子供はガブリエルの問いにふっと笑った。
「わからない。でも、キマ君ならご主人様を止めてくれると思うから。」
「あら? <知の天使>であるお前が、推測を言うだなんて。その魔術師がよほどお気に入りなのかしら?」
ガブリエルは子供ー<知の天使>の予想だにもしない発言に驚き、鼻で笑った。
「さぁ? 我の答えを言ってもお主は理解できない。せいぜいあの場所で馬鹿なご主人と遊んでな。」
「なん、だと!」
ガブリエルは<知の天使>の返答に怒った。
「終いだ、ガブリエル。金輪際この世界樹の街に来るな。」
「ふ、ざ、け、る、なぁーーー!」
「我は、<知の天使>。我は魔法を紡ぐ。『呪いは解かれる、悲しき涙は止まる、永遠の悪夢は終わる、そして惑わす天使は消える。』」
花畑に巨大なブラックホールが現れた。そしてガブリエル諸共花畑を飲み込んでいった。
「やめろ! ラ・・・。」
ブラックホールが消えると夢の世界は何もない世界になった。
「さて、キマ君の元に帰るか。」
<知の天使>は淡い光となって、夢の世界から消えた。




