(31)<呪い>と魔術
ルオ達は町長の娘、クレーネがいる寝室に行った。
クレーネは寝台ですやすやと寝ている。しかしその表情は穏やかでは無い。長い長い悪夢を見ているようだ。
「1週間前から、クレーネは起きなくなった。まさに眠り姫だ。時々苦しそうな声もしている。」
町長は淡々と娘の症状を説明した。
「・・・ "眠る"、"起きない"、そして"悪夢"。うん、典型的な呪いだ。使われている魔術がたったの3つだ。成功すれば何の後遺症もなく治る。」
「本当か!? さすがだ!」
ルオの言葉聞いて、町長は喜んだ。
「ルオ、<呪い>って何? 魔術と関係してるの?」
ファミラが質問する。
「あ、そうか。まだ教えてなかったか。後日これについての授業をするから簡単に説明するよ。
<呪い>は素人にとって、解除が難しい魔術だ。<呪い>は大体魔術の複雑な重ねがけをしてるんだ。それは糸が絡まったかのように、解くのが難しい。つまり、解けない悪質魔術=<呪い>って思えばいいよ。」
「ふむふむ、分かったわ。ありがとう。重ねている魔術が3つだから、少し簡単なのね!」
「それももちろんあるけど、使われた魔術が<レーベヘェス式>であることも簡単な理由だ。<レーベヘェス式>以外の魔術の型は、理解するのがとても難しい。だからもし、<レーベヘェス式>以外だったら、苦戦する。」
「魔術って色々な型があるんだ。」
「本当に町長の<眼>は凄いです。俺が何の流派であることも見抜くだなんて。」
ルオは感歎した。
「ありがとう。じゃあルオ君、早速出来るかな?」
「はい!解くための魔術式が立てたので、始めましょう!」
ーーー
「<呪い>の解き方の基本は、重ねがけされた魔術の中で1番上にある魔術を一つずつ解いていきます。イメージで言うと、大量に重ねられた座布団を上から一つずつ取っていく感覚です。
今回の<呪い>の正式名称は<花の悪夢>です。これは被害者に最初は良い夢を見させて、後から悪夢を見させて起こさないようにしています。」
「最悪ね。」
ファミラはそう言うと同時に、クレーネの顔を見た。
「まず、魔力でクレーネさんにかかった魔術式を 浮かび上がらせます。その後に、上から<呪い>を消していきます。
「よし!ルオ君始めよう!」
「待ってください!」
ルオは町長を止めた。
「<花の呪い>は確かに簡単に解けますが、プロの魔術師でも失敗するとはどの、ある危険な物体です。下手したら、こちら側が<呪い>にかかってしまうことがあるので。
慎重にいきましょう。」
「あぁ、分かった。先走ってすまない。」
町長は謝罪した。
「全然大丈夫です。お願いがあるんですが、町長は娘さんの手を握ってくれませんか?」
「勿論そうさせてもらうが、何か理由があるのか。」
「オホンッ! <呪い>に完全に打ち勝つためには、相手を不幸にさせる<呪い>と対となる、相手を幸せにさせるもの、つまり祈りや、希望、愛を<呪い>と戦わせることです。
願掛けのようですが、娘さんをこの世で一番助けたいのは町長なのですから、町長の娘さんに対する思いを<呪い>にぶち当ててください。」
「・・・・、分かった。やってみる。」
町長は娘の手を恐る恐るだけど、強く握った。一瞬だが、娘の顔から苦しみが取れたのが見えた。
(どうか、<呪い>が解けますように。)
ルオは優しい親子の幸せを願った。




