(29) ウィルベリーと頼み事
町長は天井のランプを見上げたり、周りを行ったり来たりしながら、カイの帰りを待っていた。
ガチャ
「お! 帰ってきたか!おかえりぃ!」
カイが扉を開けた。町長は待ってましたと言わんばかりにカイに駆け寄った。
「只今戻りました。」
「連れてきたか?」
「はい、こちらに。」
カイの後ろにはカノムとファミラ、そしてルオがいた。3人とも不満そうな顔をしていた。特にファミラは・・・。
「あの、町長。俺たちは何の御用で呼ばれたのですか?まさか、俺の事・・・。」
ルオは恐る恐る町長に聞いた。まさか自分が騎士団から脱走した囚人である事がバレたのかと思っている。
「魔術師なんだろ!?しかもかなりの実力の!」
「あへ?」
思いのよらぬ解答にルオの思考は一時ストップした。ファミラとカノムもキョトンとしている。
「まさか、カイが何かしたのか?」
3人の反応で町長はカイが何かしたのかと思った。
「えっと、私が道に迷っている時に彼が来て、人質にされました。」
「そして、カノムを返して欲しければ来いって。」
「道中逃げようとしたら一瞬でカノム隊長の息の根を止めるって言ったの!コイツ!!」
「・・・。カイ君・・・。」
町長はカイの顔を見た。
「すみません、ギヌア様。少し強引になりました。」
カイは謝罪のため土下座をしようとした。
「いい!いい!僕が悪かったから!ちゃんと言うべきだった!」
町長は慌てて静止する。
「君たちには本当に申し訳ないことをした!これは大馬鹿の僕の責任だ。本当に申し訳ない。」
町長が3人に向かって、頭を下げた。
「あ、いえ、大丈夫です。それで、一体何の御用でしょうか?俺は町長の仰った通り、魔術師ですが?」
町長は顔をあげ3人と向き合った。しかし、カイは扉の前で無言で立っていた。
「そうだな。君は何等星魔術師だ?」
「一等星です。でも実力そこまでありません。」
「いーや、ある。少なくとも簡単な<呪い>を解ける実力はあるだろう。」
「そうですけど、よく分かりましたね。」
「<魔眼>待ちだからかな。相手の魔力の質で魔術の実力が測れる<眼>なんだ。おかげで君を見つけれた。」
「<魔眼>って何?」
ファミラがルオに質問する。
「<魔眼>とは先天的、あるいは後天的に得る特殊な眼のことであり、対象を<視る>事で特別な効果を発揮する事ができる。とても有名な<魔眼>で<蛇神の眼>があるんだ。
<魔眼>を持つ人はとても少なく、魔術のサポートができるから、魔術師の資格が一般の方よりもある。」
「資格があると言っても、僕は魔術を使うのが苦手だけどね。」
町長は苦笑した。
「ま、たとえスタートラインが違っても、努力次第で進歩は変わるもの、それが魔術だ。」
「私も頑張らないとね!」
「さてと、話を戻して。君に頼みがある。どうか私の娘にかかった<呪い>を解いて欲しいんだ。」




